フレアとシンカの準備が整った。
「これでよし。……いや、後1人がまだだな」
余は魔王だ。
複数の妻を娶ることぐらい、何の問題もない。
「イリス……。お前も来い」
余が呼ぶ。
2人の痴態を見て、興奮していたのだろう。
イリスはフラフラとした足取りで近づいてきた。
……その股間は湿っていたのだが、それは見なかったことにしておこう。
だが、彼女の口から出た言葉は意外なものだった。
「わ、わたしは結構です……」
「遠慮をすることはないぞ」
「いえ……。本当に結構ですので……」
ふむ?
興奮自体は、確実にしているはずである。
だが、その発散相手として余は適切ではないと判断されたのか。
イリスは余の配下ではあるが、パートナーを選ぶ権利は彼女にもある。
彼女が否というのであれば、無理強いすることはできない。
魔王として不甲斐ない話ではあるが。
「そうか。ならば、仕方がないな」
「はい……。わたしは居間で待機しておりますので……。何かありましたら呼んでくださいませ……」
「うむ」
「では、失礼いたします……」
イリスがそう言って、寝室から出ていく。
余はそれを引き止めたい衝動に駆られたが……。
「ディノス。私のことを見て……」
「ディノス君。僕も見てよ……」
フレアとシンカが余にすり寄ってきたことで、その衝動は霧散した。
こちらを満足させてやるのが先か。
今宵は長い夜になりそうだ。
余の妻たちよ。
存分に乱れるがいい。
余はそう思いながら、彼女たちを順番に抱いていく。
「あ、ああっ! ディノスっ! す、すごいわ!」
フレアがよがり声を上げている。
余の上で踊るその姿には、一片の隙もなかった。
イッた回数は既に10回を超えている。
しかし、その動きは衰える気配を見せない。
「ううっ……、うああっ……、はあんっ……」
その隣で、シンカがイキ続けている。
彼女もまた、同じ数だけ絶頂を迎えていた。
余は、彼女たちを交互に相手にしているのだ。
今はフレアの相手をしているのだが……。
「バーンクロス……っ! 次は僕の番だ! 替わってよ!」
「何でよ。私はまだイッていないわっ! アクアマリンは、そこで自分で慰めてなさい!」
「そんなのズルいよ! 僕はもう限界なんだっ! 早く替わってよ! お願いだからっ!!」
シンカとフレアが喧嘩をしている。
喧嘩をするほど仲がいいともいうが……。
彼女たちは、本当に相性が悪いな。
「2人とも落ち着け。順番だと言っただろう? 1人ずつ、たっぷりと可愛がってやろうではないか」
余はフレアをメインに相手しつつ、右手の指でシンカの中を刺激してやる。
「そ、それならいいけどさあ……、んんっ」
「ええ。それでいいわ……、ああぁーっ!!」
「まったく……。お前たちは余の伴侶となるのだぞ? 親友になれとは言わぬが、いつまでも意地を張り合ってどうする?」
「だってぇ……、ひゃうん!?」
「人族と仲良くなんて……! あうぅ……」
言い合う2人に対し、余は手の動きを加速させる。
そして……。
「感覚同期(クロティア)」
スキルを発動し、同時にイカせてやった。
「んはあぁ~……!」
「はうううぅ……!」
ビクンと身体を跳ねさせ、ぐったりとする。
2人の呼吸が整うのを待ってから、余はさらに刺激を加えていく。
同時にイクことを通して、何とか仲を深めてほしいものである。
魔王としての余の腕の見せどころだ。
「や、だめ……まだ……、そこは……、はううっ……、ダメだよぉ……」
「やだ……、また……来る……」
シンカとフレアがどんどん昇りつめていく。
だが、絶頂を迎える直前に、余は動きを止める。
「あ、なんで……。どうして、止めるの?」
「ひどい……。こんなのは、嫌だ……」
フレアとシンカが恨めしげな目で見てくる。
今の感情だけは、2人で共有しているようだな。
「いや、余の伴侶として2人がふさわしいかどうか、改めて考えておってな……」
そう言って、中を軽く刺激してやる。
だが、もちろんイカせはしない。
「んんっ! こ、ここまでしておいて今さら?」
「あうっ! 僕の純潔を奪った責任を取ってよ……」
「もちろんそのつもりだったが……。伴侶2人が不仲だと、今後に支障が出るのでな。お前たちが仲良くなれば、余の憂いもなくなるのだがな」
余はそう言いながら、微細な刺激を2人に与え続ける。
「ぐ、具体的には何をすれば……」
「そうだな……。まずはお互いの呼び方を変えてみるか? 『フレア』と呼び捨てにしてみろ」
「フ、フレア……」
シンカが初めてフレアの名前を口にする。
今までは姓のバーンクロスで呼んでいたからな。
フレアもまた、少し戸惑っているようだった。
「よし。今度は『シンカ』と呼んでみろ」
「シ、シンカ……。これでいいの……?」
フレアがぎこちなく名前を呼ぶ。
姓のアクアマリンではなく名前で呼ぶのは、これが初めてだろう。
シンカも戸惑いながら返事をした。
「うむ。今は形式だけのものではあるが、名前で呼び合うことにより距離が縮まるだろう。余は満足だ」
そう言いながら、余は動きを加速していく。
「あ、ああっ! フレア! 僕、もうっ!」
「わ、私もっ! シンカっ! 私もイクわっ!」
「ならば、ともに果てるがいい」
余は、シンカとフレアの弱点を同時に攻め立てる。
感覚共有の魔法も掛けているし、快感は2倍となる。
この世のものとは思えぬほどの快楽が、2人に襲いかかっているはずだ。
「あ、あ、あああああぁっ!!!」
「んああああっ! だめえぇーっ!!」
シンカとフレアが絶叫する。
彼女たちの締りが一段ときつくなる。
「くうぅ!」
余はたまらずに、魔力を2人の中へと注ぎ込む。
「「~~!!!」」
2人は最後に声にならぬ叫びを上げると、そのまま意識を失った。
「ふう……。なかなか楽しかったぞ」
余は汗を拭いつつ、2人をベッドの上に寝かせた。
気を失っている彼女たちの顔は、だらしなく緩んでいる。
おそらく、幸せな夢でも見ているのだろう。
余は、2人の額にそれぞれキスをしてやった。
「余の愛をたっぷりと受け取れ。そして、もっと仲良くなるのだ」
余はそう声を掛ける。
そうして、余たちの夜は更けていった。
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