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チャンスの手。
その上に――
コイン。
まだ伏せられている。
エリオットは覗き込んでいる。
近い。
かなり近い。
エリオット。
「チャンス」
「ん」
「早く」
チャンス。
「急ぐな」
エリオットは笑う。
「怖い?」
チャンス。
「怖くない」
エリオット。
「顔」
チャンス。
「うるさい」
沈黙。
二人ともコインを見ている。
チャンスがゆっくり言う。
「エリオット」
「ん」
「もし表だったら」
エリオット。
「うん」
チャンス。
「さっきの話」
エリオット。
「責任?」
チャンス。
「そう」
エリオットは少し笑う。
「いいよ」
チャンス。
「……」
エリオット。
「覚悟ある」
チャンスが少し眉を上げる。
「ほんとか?」
エリオット。
にこにこ。
「うん」
それから。
ネクタイ。
ぐい
チャンスが少し前に引かれる。
エリオット。
「だから」
チャンス。
「……」
エリオット。
「見て」
チャンスはため息。
それから。
ゆっくり手をどける。
コイン。
二人の視線。
沈黙。
そして――
表。
エリオットが小さく言う。
「お」
チャンス。
「……」
エリオット。
「表」
チャンスはコインを見る。
それからエリオットを見る。
エリオットは嬉しそう。
「チャンス」
「なんだ」
エリオット。
「責任」
チャンス。
「……」
エリオットは一歩近づく。
そしてまた。
ネクタイ。
ぐい
二人の距離。
ほぼゼロ。
チャンス。
「癖」
エリオット。
「うん」
チャンス。
「それやめろ」
エリオットは笑う。
「やだ」
チャンス。
「……」
エリオット。
少し静かに言う。
「じゃあ」
チャンス。
「?」
エリオット。
「責任」
少し真面目。
「取って」
チャンスが止まる。
店の空気が静かになる。
その瞬間――
カラン
店のドアベル。
客。
エリオット。
「……」
チャンス。
「……」
沈黙。
それからエリオットが小さく笑う。
「続きは」
チャンス。
「……」
エリオット。
「閉店後」
チャンスは顔をそらす。
でも。
少しだけ笑っていた。