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ゆゆゆゆ
#Paycheck
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ランチタイムのピザ屋。
店内は賑やか。
オーブンはフル稼働。
エリオットはカウンターで注文を取っている。
にこにこ。
その時。
一人の男が入ってくる。
派手なスーツ。
そして――
やたら目立つネクタイ。
赤と金の柄。
光沢あり。
やたら主張が強い。
男はカウンターに肘をつく。
「おすすめは?」
エリオット。
「マルゲリータ」
男は笑う。
「君のおすすめ?」
エリオット。
「うん」
でも。
視線。
チラ。
ネクタイ。
また。
チラ。
男が気づく。
「これ?」
ネクタイを軽くつまむ。
エリオット。
にこにこ。
「いいね」
男が笑う。
「でしょ?」
エリオットは少し身を乗り出す。
じーっと見る。
「派手」
男。
「好き?」
エリオット。
「うん」
また。
チラ。
チラ。
ネクタイ。
――カウンターの端。
チャンス。
無言。
コインを指で回している。
カラン
でも今日は雑。
回転がブレてる。
視線は。
ずっと。
エリオットと男。
チャンスの眉が少し寄る。
エリオットが言う。
「それさ」
男。
「ん?」
エリオット。
「触っていい?」
チャンス。
ピタッ
コインの動きが止まる。
男が笑う。
「いいよ」
エリオットが手を伸ばす。
ネクタイに触れる。
指でなぞる。
「すごいね」
男。
「輸入物」
エリオット。
「へぇ」
楽しそう。
――チャンス。
カラン…
指に乗せていたコインが床に転がり落ちる。
落ちた事にチャンスも気づいていない。
エリオット。
楽しそう。
ネクタイ触ってる。
笑ってる。
チャンスが小さく言う。
「……」
立ち上がる。
ゆっくりカウンターへ。
男の横に立つ。
エリオットが顔を上げる。
「チャンス」
チャンスは男を見る。
それから。
エリオットを見る。
ネクタイを触っていた手首を掴む。
派手なネクタイは男の元に戻った。
エリオット。
「なに?」
チャンス。
低い声。
「仕事中」
エリオット。
「してる」
チャンス。
「客のネクタイ触るな」
エリオット。
「気になった」
チャンス。
「やめろ」
エリオット。
にこにこ。
「嫉妬?」
チャンス。
「違う」
エリオット。
「顔」
チャンス。
「……」
男がくすっと笑う。
「仲いいね」
チャンスは無視。
エリオットを見る。
少し近い距離。
エリオットの手首を掴む手。
力が入る。
「それより」
エリオット。
「?」
チャンスは少しだけ顔を近づける。
「やるなら…」
エリオット。
一瞬止まる。
それから。
にこっと笑う。
ネクタイ。
ぐい
「でしょ」
チャンスは小さくため息。
男は面白そうにそれを見ていた。