テラーノベル
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物が無くなったり、痴漢されたり、
眠たかったりが、
そんな詰まらない理由から起きているのだとしたら。
俺と夏樹が試合して、こてんぱんに俺が負けて、
圧倒的な差があれば、皆の手前、部長も夏樹が部長になるのを納得するしかないだろうし。
「とにかくさ、誰かを疑ってヤキモキするより、いいんじゃね?」
難しい顔をする夏樹に、足でバシャバシャとプールの水を蹴り当てる。
「止めろよ」
「んな、難しく考えるなよ。塩素とストレスでハゲぞ」
「お前……誰の為に禿げてると思ってんだ」
禿げを否定しない夏樹に指を指して爆笑すると、
やっと肩の力を抜いて首を振った。
「まぁお前がいいならいいか。何で勝負する?」
「100M自由形!」
というか俺が唯一まともなタイムで泳げるのは100M以下だし。
「じゃあ、部長と副部長にそう言うか」
やる気はなさそうだが、夏樹は100Mなんて本気を出さなくても勝てるだろ。
俺と夏樹は、次の日の部活で試合をする事になった。
なのに三限目は体育で水泳。
男は水中騎馬戦やらリレーやら意外と動き回された。
お陰で、四限の古文なんか記憶にない。
ノートに涎が垂れるぐらい眠っていた。
「俺、今日は無理かも」
五限の後、机に突っ伏し既に負け宣言だ。
勝てる気なんて最初から無かったけど。
「部活まで寝るのか?」
夏樹が俺の前の席に座り、紙パックのお茶を飲み始めた。
「うん。起こして」
頬を冷たい机に貼り付けて、右を向いて俺は寝る。
部活まで30分はあるはずだった。
俺から離れないと言っていた夏樹が、俺を起こさないように消音にして、スマホでゲームを始める。
あれ? 俺、この光景覚えてるかも?
俺、この時寝たふりをしたような……。
忘れていた、いや忘れていたかったパンドラの箱が目の前に現れた。
最初は嘘だった。
嘘だったけど、寝たふりをしなければと。
嘘を現実にするために俺は眠り姫になったはず。
あの時、夏樹は『寝た?』と聞いてきた。
「十夜、寝たか?」
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