テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
これは千年以上前の海外に隠された歴史の話。
地球から、別世界へと繋がる扉を閉じた 、後に英雄となる青年とその仲間たちの話。
1000年前
ノルウェールーカッタ北帝国
ハバキネルの湖
ここに一人で木こりを営む赤髪の青年がいた。名をカジという。服はボロボロでひどくやせ細っている。それは、彼の親がルーカッタ中央区で、窃盗、強盗の容疑で逮捕され、ルーカッタ南帝国のアルトイプ監獄に収監されているからであった。カジは、毎日木を切っては北帝国の小さな村で薪を売り、借金返済に充てていた。彼の主食は虫食いの野菜だ。
「こんな生活…いつか死んでしまう」
そう。彼自身も分かっていた。こんなことをし続けても、いつか死んでしまう。
しかし、彼には仕事を続ける理由があった。それはー
カンテリーナ村
「あ!今日も来たのね!カジ!」
このカジより少し身長の高い少女、村の宿屋を営むリチナに会うためだった。
「薪はいるかい?リチナ」
カジにとって、リチナと触れ合える時間は何よりの至福であり、彼の人生唯一の希望の灯火でもあった。
そうして、30分ほど話して帰る。こんな生活でもカジにとっては、幸せだった。
(ふーっ、もう夕方だ…早く戻らないと……ん?)
薄がりでよく見えないが、何かが小屋の前に立っている。2mほどはあるだろうか…カジは最初、大柄のクマだと思った。それなら、猟銃でどうにかなった。しかし、右手で持っているものを見て、その考えは震撼へと変わった。
生首だ。青白い肌に、巨大な翼を持つ人の化け物が生首を持っている。しかも、その生物が見ているのはリチナだ。
「なっ!?」
なぜここにいるんだ。そんなことをいったら敵にバレてしまう。……しかし、やるしかない。今の手持ちは猟銃と古びた斧だけ。一息おいて、覚悟を決める。猟銃を構えるーと、化け物が目の前に立っていた。
「ウガアア!」
終わった。逃げろリチナー、と言う前に左手のこん棒が振り下ろされーーーない。瞼を開けると化け物の首が転がっていた。
「!?」
目の前に黒いシャツに赤いコートをまとう、黄色い髪の剣士が立っていた。カジは半ば、何が起きたか理解できずにいた。
「大丈夫か?」
男に問いかけられたので頷く。剣に血がこびりついている。この男が化け物を殺したのは間違いないだろう。あのーと、言おうとした瞬間。
「やはり、命令を聞かないから、犬神に殺されるんですよ」
先程の化け物の長と思われるものと、5匹の群れが出てきた。
犬神…という言葉は理解できずにいるが、それより今は緊急事態だ。黄色い髪の男に言われる。
「お前らは村の方へ逃げろ」
しかし、カジには家がない。
「いやです」
少し呆れた顔で男が言う。
「命令だ。どこかへ逃げろ」
しかし、カジは分かっていた。ここで引けばなにも変わらないことを。
「…、ならば逃げます。…アイツラを倒して」
「!!………馬鹿な野郎だ。…名は?」
カジです!と、自分を奮い立たせるように答える。
「俺の名はカムイだ。カジ、援護射撃を頼む。」
返事代わりに猟銃を構える。すると敵の長も右手を前に掲げ、叫ぶ。
「地獄の行進!」
カムイが剣を構え、前に突進する。最初に、敵の2匹がカムイに突進する。
「ふっ…やはり雑魚兵だ、」
剣を柄に一度戻し、もう一回振り、唱える。
「斬魄刀蓮海!!」
これだ。この技でさっきの化け物は倒された。また、瞼を開けると、2匹の首がはねていた。しかし一体は意思を持っている。引き金に手をかけ、引く。
ドオン!、という音が鳴り、首が跳ねる。と、同時に、グチャという音が鳴る。他の3匹も驚いたが、すぐに向かってくる。カムイに叫ばれる。
「カジ!弾を俺の頭に向けて撃て!」
予想外の命令に戸惑う。しかし、戦場はコンマ数秒が命取り。すぐにカジは銃を構え、引き金を引く。弾は放たれたが、カムイは勘で避ける。
その弾は相手の頭にヒット!カジが呆気に取られる間にカムイは次の姿勢に入る。
「悪鬼面割!!」
その剣撃は、3匹の顔面を切り裂いた、
すると乾いた拍手が響き、化け物の長が剣を抜く。
「いやはや、これほどまでに強いとは」
カムイが柄に剣を戻して、低い冷酷な声で告げる。
「次が最後の一撃だ」
長も理解したように頷く。
両者が剣を振る!
勝負はすぐに決した。一瞬でカムイが敵の体を真っ二つに引き裂いた。
その瞬間、カジは決めた。
この人についていこうと。
これが、青年の英雄となる人生の序章となり、また、歴史に残る異界戦争の始まりの合図でもあった。
#1英雄は銃を握る
続く
コメント
2件
これが何かは分からないのですが、面白かったです!😶🌫️(無理しないで、ちょっとでも良いので休んでください!🙇)