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「ドレスアップを? だけど、そういった服は、私はあまり……」
いつも完璧に決まっている彼に釣り合うような服は、頭の中でクローゼットのラインナップをざっと思い浮かべてみても見当たらない気がした。
「服は、私からプレゼントをさせてもらえないかな」
「えっ? でも今日は、特別な日でもないのに、プレゼントだなんて……」
思いがけないことを言われ、びっくりして聞き返すと、
「特別な日ではないと、プレゼントはしちゃいけないのかい?」
彼が微笑んで話して、
「私は、特別なことなどなくても、いつだって君にプレゼントをしたいと思っているよ。
愛する人に、贈り物をしたいと思うのに、何の特別もいらないだろう?」
そう言葉を続けると、私の頭をぽんぽんと優しく叩いた。
「……あっ、は、はい……」たまらない嬉しさが胸を込み上げて、思わず声が上ずる。
「ありがとうございます……」
彼の広い背中に腕を回して、嬉しさいっぱいで抱きつくと、
「ああ、構わない。では、さっそくこれから出かけようか? 二人でデートに」
彼からも応えるように、ぎゅっと抱きしめ返された……。