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???「ねぇ桃時ちゃん、次の授業何だっけ?」???「体育だったはずよ。あんたはまたサボるつもり?」
???「うむ!!!!」
???「自信満々に言ってんじゃないわよ」
「雨花」、「桃時」は次の授業について話していた。
雨花「じゃあ桃時ちゃん。無理しないでね〜!アデュー!」
雨花は、どこかへふらっと行ってしまった。
桃時「全くもう……雨花と来たら……まぁいいわ。アタシは早く体育の準備しなきゃ」
桃時は、体育の準備をして校庭に向かった。
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桃時「もう暑いわね〜日光が眩しいわ」
???「確かにもう夏だからな。桃時。」
桃時「あら。あんた。何でここにいんのよ」
桃時の目の前には「兎白」がいた。
兎白「ん?知らないのか?急遽三年は全クラス体育の合同授業になったらしいぞ」
桃時「全クラス?!結構幅がでかいのね……紅葉先生、何かするのかしら?」
兎白「とりあえず並ぼう」
桃時と兎白は、それぞれ待機場所に座った。
生徒たちはみんないつも通り紅葉先生が来ると想っていた。しかし……
「よう!お前ら!」
「誰ですか?」
「見たことない人だな」
生徒たちの前に現れたのは、見たことの無いがたいの大きい男性だった。
「俺は臨時の体育教師!!今日からしばらくはお前らの体育は俺が請け負うぞ!」
桃時「…………紅葉先生はどうしたんですか?」
「紅葉先生はしばらく休暇を取るそうだ。今日からよろしくな!」
桃時「…………」
桃時「(何かこいつ胡散臭いわね。それに……紅葉先生が休暇?風邪を引いた時すら授業に参加してた先生が……?)」
桃時は臨時教師に疑念を抱く。
「そうだ!お前らにはプレゼントがあるんだ!」
「プレゼント!?」
「何ですか?何ですか?」
臨時教師が開いたのはケーキボックスだった。
「うわぁ!!美味しそう!」
「これって超高級ケーキ屋さんのケーキじゃん!」
教師は大きな声で笑う。
「お前らのために買ってきたんだ!お近づきの印としてな!なっはは!」
「先生!最高!」
「いつもの厳しい紅葉先生より良いかも……」
兎白「すごい人気だな……」
桃時「…………」
「じゃあ」と臨時教師は、急に少し声色を変えて、話し出した。
「お前らにはこれからこの校庭を三十分以内に六十周してもらう!もしできなかったら罰を与えるからな!みんな頑張れ!」
「ば、罰?」「どういうこと?」「ていうか六十周って……」「出来るわけないだろ……」
困惑する生徒たち。
「さぁみんな頑張れ!!」
桃時「すみません。それは違うと想います。」
臨時教師は桃時の方を振り向く。臨時教師の目はギョロっと桃時を見つめている。
「……何が違うんだ?」
桃時「こんな広い校庭を三十分以内に六十周なんて横暴です。ここにいる全員が体育が得意なわけじゃないんですし。生徒たちそれぞれに合った体育の教育方法を行うべきだと……」
そして次の瞬間
桃時「ごふッッ!」
桃時は鳩尾を思いっきり殴られた。
兎白「桃時!!!!」
兎白は急いで桃時に駆け寄る。
兎白「大丈夫か?!」
桃時「…………大丈夫よ。少し気持ち悪いけど」
桃時は、お腹をを抱えているが、何とか致命傷は避けられたようだ。
「そんなに心配しなくても大丈夫さぁ!しっかり手加減してるんだからな!」
兎白「…………桃時を保健室に連れてってくれ」
兎白は他の生徒に桃時を預けた。
兎白「…………俺は紅葉先生の授業を希望します。あなたみたいな非人道的な教師の授業を受けるつもりはありません」
兎白は冷静に話しているようだが、内心は怒りがふつふつと激しく募っていた。
「お前も俺に逆らうのかぁ?仕方ない相手になってやろう!しかしお前が俺に勝てるのかな?」
兎白「あなたは何が目的なんですか?」
「ここには、妖怪が山ほどいる。お前らは魑魅魍魎渦巻くこの学校で過ごしてる人間なんだろ?そんな人間を強く育ててみろ!俺の教師としての名声が上がるじゃないか!!なぁ?」
兎白「つまり、私利私欲のために生徒たちを利用する……と」
「言い方が悪いなぁ。お前たちだって満更じゃないだろ?強くなれるんだからな?」
兎白「俺たちは嫌だと言ってるんです。まだ分からないんですか?」
兎白と他の生徒は、否定の目を先生に向ける。
「じゃあ片っ端からぶん殴って、服従させてやる……ひひっ」
臨時教師は、舌で口を舐めると、まずは、兎白を殴ろうとした。しかし……
「な、何だ!?!?」
兎白「お前は……」
「「雨花!!!!」」
雨花が臨時教師の背中を蹴り飛ばしのだ。
雨花「やっほ〜兎白くん!ごめんね?気づくの遅れて……ずっと図書室で眠っててさ?桃時ちゃんは保健室だよね。後でお見舞いに行かなきゃ」
兎白「そ、そんなこと言ってる場合じゃ……」
「ぐっ……ひひひひっ。お前が「黒い彼岸花」か。流石の蹴りだな」
雨花「ねぇおっさん。名声がどうとか言ってたけど、これぐらいのことをするほどのもんなの?わたしには分からないなぁ〜分かりたくもないけど。おっさんは随分固執してるみたいですね」
「俺はなぁ……昔から頭が良くなかったんだ。でも運動神経は良い方だったんだ。だから、俺を馬鹿にした奴に吠え面をかかせてやるんだ!!!!」
雨花「あなたの苦悩とわたしたち生徒は関係ない。」
「うるさいな。お前そろそろ黙れ」
雨花「自分のためなら何をしても良いと思ってるんで……」
臨時教師が殴りかかってきた。しかし、その拳を手で受け流した。
「ふん……まぁ中々やるんだな。まぁ俺ほどでは……」
雨花「でもわたしに二回も攻防されてますよね?あなた頭も良くないんでしょうけど……」
「「運動神経も良くないんじゃないですか?」」
雨花は目のハイライトを消して、悪い顔で臨時教師を煽る。
「ふ、ふざけるなぁ……!!!!!!!」
臨時教師は今度こそと力を思いっきり込めた拳をぶつけに、突進してきた。
雨花「よっと」
「なっ……頭から手を離せ!!」
雨花「あんた人間ってより、イノシシだね」
雨花は片手で臨時教師を止める。
雨花「それでさっきの質問の続きなんですけど……」
「あ”あ”?」
雨花「あなた自分のためなら何をしても良いと思ってるんですか?」
「そりゃあそうだ!!お前らは全員俺の名声のための道具なんだよ!!」
雨花「…………なるほど」
雨花は臨時教師の頭からポイッと手を離した。
雨花「あなたはそこまでして承認欲求を満たしたいんだね。その強欲さ……うん!個人的には嫌いじゃないかな。でもさ、あなたが自分のためなら何をしても良いと思ってるなら……」
「「わたしも何をしても良いってことになるよね?」」
その瞬間、一気に温度のない息苦しい空間へと変わった。
「な、何だ……何が起こってる……」
雨花「わたしはね。クズにすらなれないどうしようもない奴なの。開き直ってるって想って貰って構わないよ。あなたはわたしよりは上。つまり、クズ以下のわたしは何をしても良いことになる。あなたはクズにはなれるからね。……全く羨ましい限りだよ。まぁつまり何が言いたいかって言うと……」
「「あなたの決めたルール通りなら、わたしは何をしても良いってことなんだよ」」
「例えば」
「「友達を殴り飛ばした復讐とか、ね?」」
「はぁ……はぁ……や、やめろ!!」
雨花は後ろへ転んだ臨時教師の腹に足を乗せる。そして……
「ひぃぃぃぃ!」
臨時教師の顔の寸前で拳を止めた。
雨花「あっれ。気絶しちゃった」
臨時教師はあまりにも緊張感で気絶した。
雨花「……クズになれてるだけまだマシだよ」
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雨花「紅葉先生は、体育館倉庫で発見されたんだって〜睡眠薬を盛られたみたいだね」
兎白「あの臨時教師は、最初からこの学校の生徒たちが目的で、教員免許を持っていたことを利用して体育教師になりすまし、承認欲求を満たそうとしたそうだ」
桃時「そんなくだらないことのために……アタシは鳩尾を抉られたと……」
雨花「桃時ちゃん。今はゆっくり休んでね」
兎白「安静にしろよ」
桃時「分かってるわよ。大袈裟なんだから」
こうして、桃時、兎白にとって災難な日が過ぎていった。保健室の空は桃時、兎白の気分と裏腹に快晴だった。激しい日光から守ってくれる雲を待ち望む者がここに二人。そんな二人の心を見透かしてかその雲がどうか雨雲になってくれることを祈る者が一人。
しかし、残酷までにこの三人の意志は叶うことなく日光は照らし続けた。