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風夜
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#学園
「ごめん、急用出来たから抜けるわ」
かなめはメンバーの返事を待たずにDiscordから退出する。そして、電話に出る。とは言え相手は人間ではない。自身の鎹鴉・榊だ。珍しく人語が流暢だが、いかんせん声が甲高くうるさい。そのため家に入れることは出来ず、電話で連絡を取っている。
『〇〇町〇〇番地に鬼四体出現。討伐せよ』
「……御意」
かなめの雰囲気が変わる。
瞳が暗く、鋭くなり、纏う空気もどこか冷たくなる。
「行くか……」
黒い鬼殺隊の隊服に着替え、白と緑を基調とした羽織を肩から羽織る。そして、日輪刀を穿いて家の窓から外に飛び出した。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
(朝から鬼なんて珍しい……)
最近は太陽の光を克服した鬼も居るため出現が夜に限らなくはなったが、日が昇ってかなり時間が経つにも関わらず街に出現するのはかなり珍しい。
(……まぁ、いいか……どうせ首を刎ねるだけだから……)
要は足音一つたてずに静かに閑散とした住宅街を駆け抜けた。
バサッバサッ
「こっちだ」
「いつも案内ありがとう。榊」
肩に止まった鎹鴉・榊に短く感謝を伝えて、案内の通りに鬼の元へと向かう。
しかし、もう案内など要らなかった。要でも分かるくらい、濃密な鬼の気配が立ち込めていたからだ。
「……いる、何人も食い殺した鬼の気配」
要は日輪刀に手を掛け、ぐっと地面を踏み込むと、目にも止まらぬ速さで鬼に向かって突っ込んで行った。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
「……!」
同刻。
ARKHEは不意にゾワッと嫌な寒気が背中を駆け上がったのを感じた。
(この気配……)
ARKHEは唇を噛み締めた。
「悪い、俺も急用ができた。抜ける」
『何や、アルさんもか』
『リダズ2人とも居なくなったら進まないんだけど?(低音)』
『まぁまぁ、れむち。急用だから仕方ないじゃん?』
『俺、レポートに戻っていい……?』
各々の言葉を聞き届けてARKHEはDiscordから退出した。
「夜哭!」
そう自身の鎹鴉の名を呼ぶと、今までどこに居たのかは分からないがARKHEの肩に一羽の鎹鴉が止まった。
「“【光柱・暁月要】”は今何処に居る?」
「光柱は現在〇〇町〇〇番地にて鬼と交戦中。単独任務」
夜哭も榊に劣らず流暢に人語を話す珍しい鎹鴉だ。榊とは違い、静かだが。
「……行くぞ」
黎がそう言って出ようとすると夜哭が一言
「単独任務だ」
と言って止めた。つまりは「行くな」という事だ。上弦どころか十二鬼月ですらない、下っ端の雑魚鬼に“柱を2人も”割く必要は無い、という上の判断だ。
「クソがっ……!」
“上の判断”と言われると手も足も出ない自分の不甲斐無さに、壁を殴り付けた。
コメント
1件
うわっ、めっちゃ重い……! 要の闘う時の冷たい雰囲気とか、ARKHEが同じタイミングで異変を感じて焦るところ、めちゃくちゃ好きです。鎹鴉の榊とうるさい感じと、夜哭の静かな感じの対比もおしゃれだなって思いました。「単独任務だ」って止められて壁殴るARKHE、無力感が痛いほど伝わってきて胸がギュッてなりました……次どうなるんですか、気になりすぎる🥀