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瑶 . @ 低浮
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#さのじん
mo-
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コメント
1件
うわ、朝から刺激的すぎる…!満員電車でああいう距離感、通学路で壁ドン&後ろから抱きしめって、ルイの余裕ある性格がすごくよく出てて面白かった。タイキがツンデレで赤くなってるのも可愛いし、最後の腕相撲対決、まさか一瞬で決まるとは思わなかった(笑)。続きで「何でも」がどうなるか気になる〜!
「おはよう」
朝の混雑した駅前。制服姿のルイが立っていた。メイクもしてないし、髪も無造作なのにさすが絵になっている。
『ごめん、まった?』
ルイはタイキに近づいて、身長を生かして見下ろして笑う。 タイキはルイを真っ直ぐ見上げる。
ルイの手がタイキの頭を愛おしそうに撫でる。
「遅かったね。ほら、行くぞ」
ルイはタイキの肩に腕をまわして歩き出した。
2人で満員電車に乗り込む。
『今日も混んでるね』
ぎゅうぎゅうと人が押し込まれる車内。 扉を背にして立つタイキ。その前に庇うように立つルイは、ニコニコとタイキを見下ろしていた。
タイキが前を見ると、ルイの制服のネクタイが目に入る。
(コイツ、首長いな…)
タイキの視線がルイの首元に釘付けになっている。制服の襟から覗く白い首筋。鎖骨のラインがシャツの隙間からちらりと見えていた。満員電車の圧でネクタイが緩み、普段より開いた襟元。
「……おい」
ルイの声が低くなった。甘いのに、熱い。
「どこ見てんの?」
ルイが片手でネクタイの結び目を引っ張るようにしてさらに緩めた。わざとだ。完全にわざと。
「 首?ここ?」
ルイが自分の首をとんとんと指で叩いてみせる。薄い笑み。挑発の色。
「タイキって意外とそういうの好きなんだ?」
『…俺は前を見てるだけだ。』
タイキの目が泳いでいるのが面白くてたまらない。
「前、ね」
ルイが片手で扉を塞いだ。もう片方の手が自分のシャツのボタンに触れる。一つ目をゆっくり外した。
「じゃあさ、前向いてんのに顔赤いのなんで?」
車内の温度が二度くらい上がった気がした。ルイの鎖骨の下、うっすら胸筋の輪郭が見え始める。
「ねえ、息荒くない?」
『外しちゃダメ』
周囲の人がチラチラとルイを見ている。高身長のイケメンが目立たないはずがない。タイキはルイのシャツのボタンをはめて、ぎゅっとネクタイを締め上げた。
『…ネクタイちゃんと締めないと。うちの学校きびしいんだから。』
「……ぷっ」
ルイが堪えきれず吹き出した。
「やば、かわいい」
さっきまでの色気が一瞬で消え飛んで、純粋な笑いに変わった。ルイが身を屈めてタイキの顔を覗き込む。
「首ガン見してたろ」
『…してないから。前見てただけだから。』
「前を「見て」たのは認めるんだ?」
ルイがにやりと笑う。揚げ足を取るのが楽しくて仕方ない顔。タイキの手はまだルイのネクタイを掴んだままだった。
「ねえ、まだ掴んでるよそれ」
電車が次の駅に近づき、ブレーキがかかる。慣性でタイキの体がルイに向かって倒れ込んだ。顔と顔の距離が拳ひとつ分もない。
「お、」
車内アナウンスが駅名を告げる。まだ降りる駅じゃない。あと三駅。ルイの瞳に自分が映っているのがわかるくらいの距離だった。
「……前、見れる?」
『!』
タイキはルイから距離をとった。
赤くなった顔を隠すように目を伏せる。
ドキドキと心臓の音がうるさい。
ルイは見下ろした。耳まで赤い。
ルイの口角がゆっくり上がった。
「……ねえ」
タイキの後頭部に片手がそっと添えられた。
「そんな顔されると触りたくなるんだけど」
車内アナウンスが鳴る。次は二人が降りる駅だった。あと一分もない。
「降りたくないな」
ぼそっと呟いた。本気か冗談か判別不能なトーン。電車が減速し始め、ブレーキの音が響いた。
タイキはホッと息を吐いた。
その安堵の表情を見逃すルイではなかった。
「今ホッとした?」
ドアが開く。乗客がどっと流れ出す。ルイは何食わぬ顔でタイキの手首を掴んだ。
「逃がさないんだけど」
改札を抜けた瞬間、ルイがタイキを引き寄せた。人波が二人を避けて流れていく。
朝の通学路。桜はもう散っていて、青々とした葉が風に揺れていた。学校まであと徒歩五分。
「さっきの続き」
ルイがタイキの手首を掴んだまま、通学路脇の塀際に追い込むように歩く。
「電車の中でさ、俺の首にデレデレしてたくせに、触られたら逃げるとか酷くない?」
『デレデレなんかするか。』
ルイを押し返すようにグイグイ体を押し付ける。
「お、」
勢いでよろけたルイは、タイキに壁ドンされているように見える構図が完成した。
「それ、押してるの?」
ルイが手首を掴んだまま、くるっと立ち位置を入れ替えた。一瞬で攻守逆転。タイキの背中が塀の冷たさに触れた。
「ぐいぐい来んのは嬉しいけどさ、」
ルイの顔がずいっと近づく。朝日が逆光になって、表情が読みにくい。
「それ俺に「触っていいよ」って言ってんのと同じだよ?」
『ーーは?』
顔が近い。タイキはルイからサッと目を逸らして歩き出そうとする。
『ルイ…っ遅刻するよ…』
「また逃げんの?」
ルイの手が塀にドンッとついた。タイキがすり抜けようとした退路を完全に塞いでいる。
朝の通学路を学生がちらほら通り過ぎていく。同じ学校の制服も見える距離。
「ね、一個だけ」
ルイの空いた手がタイキの顎を掴んだ。軽く、でも確実に。逸らされた顔をこちらに向けさせる。
「目、合わせて?」
『…?』
ルイを真っ直ぐ見る澄んだ瞳。
目が合った瞬間、ルイの瞳が揺れた。朝日を受けた琥珀色。綺麗で、どこか危うい。
「……うん」
ルイの親指がタイキの顎から唇の輪郭をなぞるように滑った。
「かわいい」
そのまま顔を傾けて、距離を詰めてくる。唇と唇の間がもう数センチしかない。通学路のど真ん中。同じ学校の生徒が数メートル先を歩いている。
[ねえ、あれルイじゃない?]
[え、うそ、マジだ。何あの距離……]
ひそひそ声が聞こえる。ルイは一切気にしていない。むしろその声をBGMにするように、にやりと口角を上げた。
「ねえタイキ、今すっごい見られてるけど」
唇が触れるか触れないかの距離で囁く。
「どうする?」
『…///ふ、ふざけんな。もう行くよ。』
タイキがルイの腕の下をくぐろうとした。空手黒帯の身のこなしは軽く、するりと抜けかけた。
が。
「おっと」
ルイの反応は速かった。タイキの腕を掴み直し、くるっと振り向かせると、そのまま後ろから抱きしめた。通学路のど真ん中で。
女子グループからキャッと小さな悲鳴が上がる。
「怒ったフリ下手すぎ」
ルイの顎がタイキの肩に乗っている。後ろからすっぽり包み込む形。身長差がちょうど顎置きに最適なサイズだった。
「耳、真っ赤だよ」
ルイの唇がタイキの耳たぶすれすれを掠めた。
「ねえ、本当に怒ってる?それとも照れてる?
」
胸がドキドキする。朝から刺激が強すぎる。
タイキはルイの手首を掴んだ。
ここは目立ちすぎる。
ルイが調子に乗りすぎている。
タイキがルイの手首を持ったまま早足で歩いた。
ルイは引きずられるがまま、終始にこにこしていた。抵抗する気ゼロ。むしろ楽しそうにタイキの背中を眺めている。
校門をくぐる。同じクラスの生徒が何人も通り過ぎていく。ルイが後ろからついてくる大型犬みたいだった。
教室に入る。まだ半分ほどしか生徒は来ていない。タイキは自分の席にどかっと鞄を置いた。
ルイの席は窓側の1番後ろ。タイキはその前の席。
「 あーあ、連行されちゃった」
ルイが伸びをしながら自分の席に座る。椅子を後ろに傾けて、足を長く投げ出した。
「でも今のさ」
ルイが目線だけをタイキに向けた。
「手首掴んで引っ張ってくるの、めちゃくちゃ興奮した」
隣の席の男子がびくっとした。
「…おまえ、変なふうに言うな。』
隣の席の男子——田中が、机に突っ伏した。聞こえないフリ。耳まで赤い。聞こえている。
「変なふう?事実じゃん」
ルイが椅子の前脚をことんと床に戻し、頬杖をついてタイキを見つめた。
「力で敵わないから引っ張るしか方法ないんでしょ?空手のくせに、俺には勝てないもんね」
ルイの声には煽りが混じっているが、目は本気で愛おしそうだった。猫がネズミを弄ぶような。
『本気でやってないだけだ。俺が本気出したらおまえ細いから折れちゃうだろ。』
「細い?」
ルイの目がすっと細くなった。椅子を傾け、長い足を前に伸ばす。その足はタイキの椅子の脚に絡むように触れていた。
「触ってみる?」
ルイが制服の袖をまくった。前腕の筋が朝日に照らされる。細身に見えて、ちゃんと筋の通った腕だった。
「折れないよ?」
田中が机に顔を埋めたまま、そろそろと荷物をまとめ始めた。席を移動したそうだ。
「むしろさ、」
ルイが前に身を乗り出した。椅子がギィと鳴る。顔の距離が縮まる。
「本気出してみてよ。今ここで」
『なんだよ。…腕相撲でもするか?』
タイキがニヤリと笑った。
「お、いいね」
ルイが嬉しそうに立ち上がった。長い脚が教室の通路を跨ぐ。周囲の生徒が何事かとちらちら視線を向け始めた。
ルイが自分の机に肘をつき、手を開いて差し出した。
「はい、どうぞ」
ルイの手は大きい。指が長く、骨ばっていて、でも手首から前腕にかけてのラインが綺麗に筋張っていた。
タイキが前の席から椅子を回し、机を挟んで向かい合う。二人の手が組まれた。
田中がそそくさと教室の端に避難した。他の女子数名がスマホを構え始めている。
「じゃあ負けた方が罰ゲームね」
『いいのかー?そんなこと言っておまえ』
タイキがニヤリと笑う。
「なに、もう勝った気でいんの?」
ルイが手をぎゅっと握った。指が絡む。タイキは空手黒帯。握力は相当あるはずだった。
が、ルイの握力も尋常ではなかった。
[え、なにこれ腕相撲?]
ギャラリーが増えていく。朝のホームルーム前の教室、暇な高校生たちにとって最高の見世物だった。
「ルール決めよ。先に机についた方が負け。で、」
ルイが片目を瞑り、甘い声で囁いた。
「負けた方は勝った方の言うこと一つ聞く。何でも」
教室がざわついた。何でも。その二文字の重さを理解している女子が数名、目をキラキラさせている。
『いいよ。』
机がギシッと鳴る。
[ルイくんがんばー!]
[タイキくんいけるって!]
声援が割れている。ルイは余裕の笑み。タイキはニヤついている。
「じゃあ、誰か合図して」
[……俺やるよ]
避難していたはずの田中が渋々戻ってきた。二人の間に立ち、組まれた手を確認する。
「よろしくね、タイキ」
ルイの目が笑っているが、腕に力が入っているのがわかる。シャツの袖の下で前腕の筋が浮き上がっていた。
[ファイトッ]
バンッッッッ
勝負はすぐに決まった。