テラーノベル
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朝の霧が、村を静かに覆っていた。etは、白く霞む道を歩きながら、胸の奥に小さなざわつきを覚えていた。
──今日の霧は、いつもより“重い”。
そう思った瞬間、霧の奥で淡い光が揺れ
人影のような、霧の形のような──白い影。
etは思わず足を止めた。
「……だれ?」
声をかけると、影はゆっくりと顔を向けた。
その声は、どこか懐かしく、優しく響く。
『思い出さなくていい。
まだ、その時じゃない──et』
胸が締めつけられた。
知らないはずの声なのに、涙が出そうになる。
「待って……!」
手を伸ばした瞬間、影は霧に溶けるように消えた。
etはその場に立ち尽くした。
霧の中に残ったのは、胸の痛みだけ。
「etさん、大丈夫か」
低い声が背後から聞こえた。
ya君が静かに歩み寄ってくる。
霧警邏隊の副隊士で、冷静沈着な青年だ。
「…ya君。今、誰かが……」
「霧の気配が乱れている。何かがいたのは確かだ」
ya君は霧の奥を鋭く見つめる。
「etさん!無事か!?」
勢いよく駆け寄ってきたのはjp(20)。
剣士の訓練生で、etの幼馴染だ。
「怪我してないよな?
霧の中で一人は危ないって言っただろ!」
「ごめん……」jpの声は強いが、目は優しい。
「騒ぐな。霧が乱れる」
mf君が静かに近づいてきた。
元・宮廷書記官で、霧の禁忌に詳しい人物だ。
mfは君霧の流れを観察しながら言った。
「“白い影”か。
etさんの記憶と関係している可能性が高い」
etの胸がざわつく。
「記憶……?」
「十年前の“白夜の霧禍”。
お前が唯一の生存者となった事件だ」
yaが目を伏せ、jpは息を呑んだ。
mf君は続ける。
「お前の記憶の欠落は、霧による“保護”の可能性がある。
そして──白い影は、その封印に触れたのかもしれない」
etは胸に手を当てた。
痛い。
苦しい。
でも、どこか懐かしい。
その時、少し離れた場所から控えめな声がした。
「……霧が揺れています。
強い気配ではありませんが、注意したほうがいいかもしれません」
noさんだった。
霧占い師見習いで、霧の流れを読むことができる。
その後ろには、
ur、dn、hr君、ttn、svさん、rn、naさん
といった仲間たちが控えている。
noさんは続けた。
「etさんの周りの霧……少しざわついています。
ya君がetを見た。
「etさん
白い影は何と言ったの」
etは震える声で答えた。
「……“思い出さなくていい”って……
でも……胸が痛くて……」
jpが心配そうに寄り添う。
mf君は静かに霧の奥を見つめていた。
「霧が封じた記憶が揺らぎ始めている。
白い影は、その“鍵”だ」
etは深く息を吸い、仲間たちを見回した。
「……怖いけど、確かめたい。
私の中にある“何か”を」
yaは短く頷き、jpは力強く笑い、mfは静かに言葉を添えた。
「なら、進むべきだ。
真実は霧の奥にある」
霧が、静かに揺れた。
まるで、etの決意に応えるように。
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