第一章:エアコンと缶コーヒー
深澤辰哉:「照、寒くね?ここ絶対冷房強すぎ」
岩本照:「ん?俺ちょうどいいけど」
深澤辰哉:「お前は筋肉でなんとかなってるだけでしょ。普通に寒いの。…貸して、上着」
岩本照:「はいよ。…って、俺のトレーナーでかすぎない?」
深澤辰哉:「これがいいんだって。お前の匂いついてて落ち着くし」
岩本照:「……俺のトレーナー着てるふっか、ちょっと反則」
深澤辰哉:「なにが?」
岩本照:「なんか、守りたくなる感じ」
深澤辰哉:「はいはい、また筋肉脳の発想。とりあえずあったかい缶コーヒー買ってきたから、半分こしよ」
岩本照:「ふたりで一本?」
深澤辰哉:「あったかさは分け合うもんでしょ」
岩本照:「……ふっか、好き」
深澤辰哉:「はい出たー、唐突な告白」
岩本照:「言いたくなっただけ。反応かわいいし」
深澤辰哉:「……ま、俺も好きだけど」
第二章:ジムのあと
岩本照:「はぁ……今日も筋トレ最高」
深澤辰哉:「よくそんな笑顔で言えるよな。俺、筋肉痛で明日たぶん階段ムリ」
岩本照:「追い込めてていいじゃん」
深澤辰哉:「俺はな、追い込みたいんじゃなくて、お前と時間過ごしたいだけなんだよ」
岩本照:「……ふっか、それ反則」
深澤辰哉:「お返しってことで。さっき“かわいい”って言ったのおぼえてるし」
岩本照:「俺さ、ふっかと一緒にジム来るの、結構特別なんだよ?」
深澤辰哉:「なんで?」
岩本照:「一番素の自分見せてるから。ふっかになら、力抜いてても平気って思える」
深澤辰哉:「……ちょっと、照がかっこよく見えてきた」
岩本照:「“ちょっと”じゃなくて、いつもでしょ?」
深澤辰哉:「調子のんな」
岩本照:「でも、ふっかの“本音”聞ける時間、俺はすげぇ好き」
第三章:夜のコンビニ、ふたり
深澤辰哉:「夜中にコンビニ行きたいって、子どもかよ」
岩本照:「お菓子食べたかっただけ」
深澤辰哉:「それ俺が言うセリフじゃね?」
岩本照:「今日は逆の日。ふっかが面倒見てくれる番ね」
深澤辰哉:「はいはい、じゃあ“好きなお菓子選んでいい券”あげるよ」
岩本照:「じゃあ、ふっか」
深澤辰哉:「は?」
岩本照:「ふっかが欲しい。“選べる”って言ったろ?」
深澤辰哉:「俺はお菓子じゃないんだが?」
岩本照:「甘いし、元気になるし、ちょっと中毒性あるし。完璧なお菓子」
深澤辰哉:「……あー、もー、バカ」
岩本照:「でも、ふっかがそばにいると、ほんと落ち着く」
深澤辰哉:「俺も。……お前、真顔でそういうこと言うの、ずるいんだよ」
岩本照:「本気だからな。ふっかが笑ってくれたら、それで充分」
第四章:静かな朝のはじまり
岩本照:「……ん、ふっか、もう起きてる?」
深澤辰哉:「うん。お前が寝ながら“ふっか…”って呼ぶから目ぇ覚めた」
岩本照:「うわ、マジか。恥ず…」
深澤辰哉:「恥ずかしいとか言うな。俺、ちょっと嬉しかったし」
岩本照:「……じゃあ、もう一回、ちゃんと起きてる時に言っていい?」
深澤辰哉:「……いいよ」
岩本照:「ふっか」
深澤辰哉:「……ん」
岩本照:「おはよう。今日も隣にいてくれてありがとう」
深澤辰哉:「……うん。照も、今日もちゃんと俺のとなりにいるって、思えたから」
岩本照:「それって、安心してくれたってこと?」
深澤辰哉:「そーゆーこと。お前って、たまに消えそうなくらいかっこよくなるから」
岩本照:「消えねーよ。俺の場所は、ふっかの隣だけ」
深澤辰哉:「……ずっといてよ」
岩本照:「ずっと、いるよ」
最終章:いつかじゃなくて、いま
深澤辰哉:「なあ照、今ってさ、幸せって言っていいんかな」
岩本照:「なんでそんなこと聞くの」
深澤辰哉:「だって、幸せすぎるとさ、なくなりそうでちょっと怖いって思っちゃう」
岩本照:「ふっか」
深澤辰哉:「ん」
岩本照:「いま、俺が隣にいるよな」
深澤辰哉:「うん」
岩本照:「だったら、それが答えじゃん。いまが幸せってことでしょ」
深澤辰哉:「……照って、言葉少ないくせに、ずるいときある」
岩本照:「ふっかがいちばん、俺の言葉ちゃんと受け取ってくれるから」
深澤辰哉:「……ありがとう」
岩本照:「ふっか、ありがとう。俺の“日常”になってくれて」
深澤辰哉:「お前の“いつか”になりたいとか思ってたけど、今は“ずっと”になりたい」
岩本照:「なってるよ、もう」
深澤辰哉:「……バカ」
岩本照:「好きだよ」
深澤辰哉:「俺も」
―終―
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