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ぬくもりの距離

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ぬくもりの距離

1 - ぬくもりの距離

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2025年05月12日

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第一章:エアコンと缶コーヒー
深澤辰哉:「照、寒くね?ここ絶対冷房強すぎ」


岩本照:「ん?俺ちょうどいいけど」


深澤辰哉:「お前は筋肉でなんとかなってるだけでしょ。普通に寒いの。…貸して、上着」


岩本照:「はいよ。…って、俺のトレーナーでかすぎない?」


深澤辰哉:「これがいいんだって。お前の匂いついてて落ち着くし」


岩本照:「……俺のトレーナー着てるふっか、ちょっと反則」


深澤辰哉:「なにが?」


岩本照:「なんか、守りたくなる感じ」


深澤辰哉:「はいはい、また筋肉脳の発想。とりあえずあったかい缶コーヒー買ってきたから、半分こしよ」


岩本照:「ふたりで一本?」


深澤辰哉:「あったかさは分け合うもんでしょ」


岩本照:「……ふっか、好き」


深澤辰哉:「はい出たー、唐突な告白」


岩本照:「言いたくなっただけ。反応かわいいし」


深澤辰哉:「……ま、俺も好きだけど」




第二章:ジムのあと


岩本照:「はぁ……今日も筋トレ最高」


深澤辰哉:「よくそんな笑顔で言えるよな。俺、筋肉痛で明日たぶん階段ムリ」


岩本照:「追い込めてていいじゃん」


深澤辰哉:「俺はな、追い込みたいんじゃなくて、お前と時間過ごしたいだけなんだよ」


岩本照:「……ふっか、それ反則」


深澤辰哉:「お返しってことで。さっき“かわいい”って言ったのおぼえてるし」


岩本照:「俺さ、ふっかと一緒にジム来るの、結構特別なんだよ?」


深澤辰哉:「なんで?」


岩本照:「一番素の自分見せてるから。ふっかになら、力抜いてても平気って思える」


深澤辰哉:「……ちょっと、照がかっこよく見えてきた」


岩本照:「“ちょっと”じゃなくて、いつもでしょ?」


深澤辰哉:「調子のんな」


岩本照:「でも、ふっかの“本音”聞ける時間、俺はすげぇ好き」




第三章:夜のコンビニ、ふたり


深澤辰哉:「夜中にコンビニ行きたいって、子どもかよ」


岩本照:「お菓子食べたかっただけ」


深澤辰哉:「それ俺が言うセリフじゃね?」


岩本照:「今日は逆の日。ふっかが面倒見てくれる番ね」


深澤辰哉:「はいはい、じゃあ“好きなお菓子選んでいい券”あげるよ」


岩本照:「じゃあ、ふっか」


深澤辰哉:「は?」


岩本照:「ふっかが欲しい。“選べる”って言ったろ?」


深澤辰哉:「俺はお菓子じゃないんだが?」


岩本照:「甘いし、元気になるし、ちょっと中毒性あるし。完璧なお菓子」


深澤辰哉:「……あー、もー、バカ」


岩本照:「でも、ふっかがそばにいると、ほんと落ち着く」


深澤辰哉:「俺も。……お前、真顔でそういうこと言うの、ずるいんだよ」


岩本照:「本気だからな。ふっかが笑ってくれたら、それで充分」




第四章:静かな朝のはじまり


岩本照:「……ん、ふっか、もう起きてる?」


深澤辰哉:「うん。お前が寝ながら“ふっか…”って呼ぶから目ぇ覚めた」


岩本照:「うわ、マジか。恥ず…」


深澤辰哉:「恥ずかしいとか言うな。俺、ちょっと嬉しかったし」


岩本照:「……じゃあ、もう一回、ちゃんと起きてる時に言っていい?」


深澤辰哉:「……いいよ」


岩本照:「ふっか」


深澤辰哉:「……ん」


岩本照:「おはよう。今日も隣にいてくれてありがとう」


深澤辰哉:「……うん。照も、今日もちゃんと俺のとなりにいるって、思えたから」


岩本照:「それって、安心してくれたってこと?」


深澤辰哉:「そーゆーこと。お前って、たまに消えそうなくらいかっこよくなるから」


岩本照:「消えねーよ。俺の場所は、ふっかの隣だけ」


深澤辰哉:「……ずっといてよ」


岩本照:「ずっと、いるよ」




最終章:いつかじゃなくて、いま


深澤辰哉:「なあ照、今ってさ、幸せって言っていいんかな」


岩本照:「なんでそんなこと聞くの」


深澤辰哉:「だって、幸せすぎるとさ、なくなりそうでちょっと怖いって思っちゃう」


岩本照:「ふっか」


深澤辰哉:「ん」


岩本照:「いま、俺が隣にいるよな」


深澤辰哉:「うん」


岩本照:「だったら、それが答えじゃん。いまが幸せってことでしょ」


深澤辰哉:「……照って、言葉少ないくせに、ずるいときある」


岩本照:「ふっかがいちばん、俺の言葉ちゃんと受け取ってくれるから」


深澤辰哉:「……ありがとう」


岩本照:「ふっか、ありがとう。俺の“日常”になってくれて」


深澤辰哉:「お前の“いつか”になりたいとか思ってたけど、今は“ずっと”になりたい」


岩本照:「なってるよ、もう」


深澤辰哉:「……バカ」


岩本照:「好きだよ」


深澤辰哉:「俺も」




―終―



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