テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第53話『北西平原の危機』
北西平原。
なおきりと黒牙将軍の激戦は続いていた。
ガァァァン!!
槍と黒槍がぶつかる。
衝撃で周囲の兵士たちが吹き飛ぶ。
なおきりの肩から血が流れる。
黒牙の額からも血が滴る。
互角。
少なくとも今は。
「はぁ…はぁ…。」
なおきりが息を吐く。
黒牙も荒い呼吸をしていた。
すると。
黒牙が突然笑う。
「面白い。」
「本当に面白い。」
なおきりは警戒する。
「何がおもろいんや。」
黒牙は黒槍を肩に乗せた。
「俺が負けるかもしれないと思ったのは初めてだ。」
その言葉に周囲の黒龍兵が驚く。
四天王の黒牙が認めた。
なおきりの実力を。
だが。
その直後だった。
ドドドドドドドドドドド!!
大地が揺れた。
最初は小さな振動。
しかし。
次第に大きくなる。
戦場中の兵士たちが振り返る。
地平線の向こう。
黒い影が現れる。
一つ。
二つ。
三つ。
違う。
何万。
何十万。
黒い軍勢だった。
じゃぱぱが目を見開く。
「なんやあれ…。」
シヴァも言葉を失う。
伝令が絶叫する。
「敵軍!!」
「敵軍十五万接近!!」
虹国軍に衝撃が走る。
十五万。
あり得ない数。
そして。
軍勢の中央。
蒼色の旗。
誰もが理解した。
第一席。
蒼厳将軍。
ついに現れた。
黒牙は振り返る。
そして珍しく苦笑した。
「来たか。」
なおきりは蒼厳を見る。
遠く離れている。
それなのに。
圧力が伝わってくる。
異常だった。
蒼厳は馬を止める。
戦場全体を見渡した。
その視線だけで。
虹国兵たちが震える。
副官が尋ねる。
「突撃命令を出しますか。」
蒼厳は首を振る。
「不要。」
そして静かに命じる。
「包囲。」
たった二文字。
その瞬間。
十五万の軍勢が完璧な陣形で動き始める。
左翼。
右翼。
中央。
全てが噛み合う。
のちに歴史家が。
『蒼天包囲陣』
と呼ぶ伝説の陣形だった。
じゃぱぱの顔色が変わる。
「まずい。」
シヴァも理解した。
逃げ道が消える。
虹国軍三万。
対して。
黒牙軍八万。
さらに蒼厳軍十五万。
総勢二十三万。
完全包囲。
なおきりが歯を食いしばる。
「最悪やな…。」
だが。
その目はまだ死んでいない。
黒牙も見ていた。
そして小さく笑う。
「逃げるか?」
なおきりは即答した。
「誰が。」
黒牙が豪快に笑う。
「やっぱり好きだぜ。」
しかし。
その直後。
蒼厳が初めて口を開いた。
その声は遠く離れた戦場全体へ響く。
「降伏しろ。」
静寂。
全員が聞こえた。
蒼厳は続ける。
「抵抗するなら。」
「ここで終わる。」
圧倒的な自信。
いや。
事実だった。
虹国軍は絶体絶命。
そして。
なおきりは槍を握り直した。
「断る。」
その返答を聞いた蒼厳は。
ほんの少しだけ目を細めた。
まるで。
興味深い獲物を見つけたように…。
#リゼロ
すず
144
33
コメント
1件
第53話、一気に引き込まれました!黒牙将軍がなおきりの実力を認める「面白い」の一言がすごく好きです。そこからの蒼厳将軍の登場──十五万の軍勢、あの圧迫感がページ越しに伝わってきました。完璧な陣形で包囲される緊迫感、そしてなおきりの「断る」という一言に震えました。絶体絶命なのに目がまだ死んでいないのがかっこいいです。次が気になって仕方ない!🍙さん、最高の展開をありがとうございます🤍