コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
雅也が空間を切り裂き、本陣に現れると、豪華な装飾が施された大広間の中心に将軍が立っていた。彼の目は冷酷な光を帯びている。将軍はゆっくりと刀を抜きながら、雅也を見据える。
「貴様の異能の噂は聞いている。だが、それでこの幕府を滅ぼせると思うな。」
雅也は構えを取らず、ただ冷静に言葉を返した。
「異能をどうこう言うつもりはあらへん。ただ、あんたが幕府を腐らせた元凶や。それを終わらせにきただけや。」
将軍の口元が冷笑に歪む。
「終わらせる?ならば、私の“異能”を試してみるがいい。」
雅也が切り裂くように剣を振ると、将軍の姿がその瞬間に掻き消えた。次に姿を現したのは、雅也の背後だ。
「空間を切る力か、確かに厄介だな。しかし――私は“世界”を支配する異能を持つ。」
将軍の異能は、「世界のどこにでも瞬時に移動できる」というものだった。彼は城内だけでなく、戦場のどこへでも姿を現せる。
雅也が剣を再び振り、空間を裂いて追撃するが、そのたびに将軍は笑みを浮かべながら別の場所に移動する。
「どうだ?追いつけるか?」
雅也は額に汗を滲ませながら、内心で状況を分析する。
(このままやと埒が明かへん。将軍が移動する先を読むしかない――。)
一方、大広間の外では加藤が黒影隊と激突していた。風狼刀と天雷剣を使い分けながら、敵を次々と倒していく。
「おいおい、こっちはどんどん減っとるけど、ええんか?」
敵兵の一人が口を開く。
「お前らが将軍にたどり着いても無駄だ!将軍はどこにでも移動できる力を持っている!」
加藤がその言葉にニヤリと笑う。
「どこにでも移動できる?ほんなら、雅也はあんたらの想像以上の手を使うで。」
加藤は六魂とはまた別の炎嵐斧を取り出し、大広間への道を開けるように強烈な一撃を放つ。
「雅也、俺の援護がいるか?」
将軍は再び雅也の背後に現れ、鋭い一撃を繰り出す。雅也はギリギリのところでかわし、彼の異能の動きを読むことに集中する。
(将軍の移動には一瞬の“癖”がある。この隙を突ければ――。)
その時、雅也の耳に加藤の声が響いた。
「雅也!一か八かの手、打ったらどうや?」
雅也が小さく頷くと、空間をさらに深く切り裂き、将軍が移動する先を意図的に制限する。すると将軍の姿が現れた瞬間、雅也の剣が一閃する――。
将軍が膝をつき、血を流しながら笑みを浮かべる。
「見事だ。だが、私は死ぬことでこの幕府の未来をさらに強固にする。それを知るがいい。」
雅也は剣を鞘に収め、冷静に言葉を返した。
「未来を語るには、まず自分を見つめ直すべきやったな。俺たちが新しい未来を創る。」
将軍はそのまま崩れ落ちた。そして、その姿が消えた瞬間、雅也は異能で感知する。
(まだどこかに“何か”を隠している――この戦い、終わりやない。)