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29 - 第29話 奥の間

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2024年11月21日

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将軍が消え去った後、大広間に静寂が訪れる。しかしその静寂を破るように、奥の間の障子が音もなく開いた。

そこに現れたのは、幼い少年と少女。二人とも整った顔立ちに、将軍の気高さを思わせる威厳があった。

少年が一歩前に出て雅也たちを睨む。

「父上を殺したのは、お前たちだな。」

加藤が肩をすくめながら答える。

「まさかこんなガキが出てくるとは思わんかったな。おい雅也、これどうする?」

雅也は冷静な目で少年を見つめる。

「話を聞くつもりやけど、何をする気かによる。」

少年は手に握られた小刀を持ち上げた。

「父上は我々に異能を受け継がせた。俺たちが新しい幕府を築く。そしてお前たちはその邪魔をする敵だ。」

少女が震える声で少年を引き止める。

「兄様、やめて……私たちだけじゃ、無理よ。」

少年は振り返らずに言い放つ。

「黙れ!父上が残したこの“力”で、俺たちは幕府を復活させるんだ!」

その瞬間、少年の目が光り始めた。彼の異能が発動し、部屋の空間が歪む。雅也が剣を構えると、少年の体から巨大な武具が現れた。それは、将軍が隠し持っていた最後の異能の象徴――「世界の槌」だった。

加藤が驚愕した顔で呟く。

「これは、十魂以上の力やと……?」

少年は雅也に向けて槌を振り下ろす。その一撃が地面を砕き、周囲に強烈な衝撃波を生む。雅也が空間を切り裂いて回避すると、加藤が前に出た。

「ガキの癖にやるやんけ。でも、俺らを甘く見たら痛い目見るで!」

加藤が六魂の一つ、風狼刀を構え、少年に突進する。一方、雅也は冷静に少年の動きを観察しながら、次の一手を考える。

一方で、少女は震えながらその様子を見守っていた。彼女の手の中にも異能が宿る小さな装飾品が握られていたが、戦うことを拒んでいた。

雅也が一瞬だけ少女に目を向け、静かに語りかける。

「お嬢ちゃん、そっちの手に握ってるもん、それも異能か?」

少女はハッとしてうなずく。

「でも、使いたくない……これで戦えば、またみんな傷つくから……。」

雅也が微笑む。

「それでええ。戦うんは、俺らで十分や。お前はお前のままでおればええ。」

少年の猛攻を耐えながら、加藤と雅也は隙を作り出すことに成功する。雅也の剣が少年の槌を弾き、加藤の天雷剣が異能を封じ込める決定打を放つ。

少年は槌を失い、地面に倒れ込む。雅也は剣を下ろし、静かに告げる。

「これ以上続ける必要はあらへん。お前らには違う道があるはずや。」

少年は涙を浮かべながら、震える声で答える。

「父上の遺志を……守れなかった……。」

雅也は膝をつき、少年の肩に手を置く。

「遺志を守るんやなくて、自分の生き方を探すんや。それがほんまの強さや。」

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