テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
weekend Garageを後にした一行は、街並みの商店街へと足を運んだ。人通りが多く、呼び込みの声や笑い声が交差する、活気のある場所だ。
「なんか……落ち着くね」
小倉唯がそう言うと、みんなも頷く。
その一角に、香ばしい匂いが漂っていた。
「焼き芋だ!」
屋台の前に立っていたのは、背の高い青年二人組。
一人は柔らかい雰囲気で、もう一人は元気そうに声を張り上げている。
「いらっしゃい!あつあつだよ〜!」
焼き芋を受け取り、ほくほくと頬張る一同。
「……おいしい」
秋奈がほっとしたように笑う。
すると、芋を焼いていた青年の一人が、ふと尋ねた。
フミヤ
「お嬢さんたちは、どこの人なの?」
その隣の青年も身を乗り出す。
青年
「どこなんですか!?」
一瞬、空気が止まる。
ジェナが少しだけ迷い、それから答えた。
鷲見友美ジェナ
「……日本、です」
「にほん?」
二人は顔を見合わせるが、それ以上深くは聞かなかった。
そのとき――
「ひったくりー!!」
商店街に、女性の悲鳴が響いた。
「!?」
振り向くと、バッグを抱えた男が人混みをかき分けて走っていく。
「ちっ……!」
フミヤと青年は顔を見合わせ、即座に動いた。
「行くぞ!」
「任せろ!」
二人は人の流れを読み、近道を塞ぐように走る。
数秒後、ひったくり犯は転び、フミヤに腕を掴まれた。
「観念しな」
青年もすぐに追いつき、男を押さえ込む。
「大丈夫ですか!?」
フミヤが女性に声をかけると、女性は涙目で何度も頷いた。
「ありがとうございます……!」
人だかりができ、安堵の空気が広がる。
その様子を見つめながら、秋奈は二人の青年をじっと見ていた。
(……この感じ……)
胸の奥が、ざわりと揺れる。
秋奈は一歩前に出て、はっきりと言った。
「……あなた達も、“声を出す人”なんだよ」
二人が振り返る。
「え?」
「何の話だ?」
秋奈は、強く訴えるように続ける。
「思い出して。
あなた達は、声で人に何かを届ける人だった。
……私たちと同じ」
その瞬間――
フミヤの頭に、光景が流れ込む。
スタジオ。
台本。
マイクの前に立つ自分。
「……俺は……」
フミヤは、ゆっくりと口を開く。
「……俺は、今井文也だ……」
隣の青年も、苦しそうに額を押さえた。
「……俺……」
断片的な記憶が、繋がっていく。
「……伊東健人……だったはず……」
静寂。
そして――
「……思い出した、んだな」
瑠璃子が、静かに言う。
二人は顔を見合わせ、苦笑した。
「なんだよ、これ……」
「焼き芋屋やってる場合じゃなかったな」
だが、その表情には、確かな“戻ってきた”光があった。
こうして商店街で、
新たな仲間が再び声を取り戻す。
街は、まだ何も知らない。
だが確実に――
“声”は、この世界に集まり始めていた。
キャラ紹介
■ 今井 文也
職業(現実世界): 声優
東雲彰人役
異世界での職業: 焼き芋屋/前衛戦士
商店街の屋台で焼き芋を売っていた青年。
困っている人を放っておけない性格で、
ひったくり事件の際も迷わず身体を動かした。
秋奈の呼びかけをきっかけに、
自分が“声を使って人に想いを届ける仕事”をしていたことを思い出す。
豪快で面倒見がよく、パーティでは前線に立つ頼れる存在。
⸻
■ 伊東 健人
職業(現実世界): 声優
青柳冬弥役
異世界での職業: 焼き芋屋/守護役
今井文也と共に屋台を切り盛りしていた青年。
冷静で周囲をよく見ており、
事件の際も状況判断の早さで仲間を支えた。
記憶を取り戻したあとも落ち着いた態度を崩さず、
仲間を守ることを最優先に考えるタイプ。
防御やカバーを得意とし、パーティの安定感を高める存在。
コメント
2件