〈 余 命 女 子 の 初 恋 〉
登場人物
主人公
観音寺 実琴(カンノンジ ミコト)
今給黎 碧斗(イマギレ アオト)
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プロローグ
医)実琴ちゃんは、あと長くて3ヶ月しか生きれない。でも、せっかく生まれてきたんだから、楽しんでね
医師の笑顔は無理やり悲しさを飲み込んでいた。
前から病院通いをしていた私は余命宣告を受けた。
ドラマとかで見たことあるが、こんなに悲しいとは想像しようとも思ったことがない。
人生が終わる。何も感じれなくなる。
でもちょっとうれしかった。
いじめられなくなるし、差別もされない。その点ではよかった。
今私は17歳。ギリギリ成人になれないまま死ぬ運命。別にそれでもよかった。楽しめたことに変わりはないんだから。
いつも通りの放課後。学校内には私と先生だけ。
授業が終わったら下校時刻になるまで音楽室でピアノを弾く。このルーティーンを変えることはできなかった。
誰もいないはずの音楽室には、男子生徒が一人で座っていた。
ビー玉みたいに澄んだ黒い目。絵に描いたようにきれいな横顔。一目惚れとはこのことか。
……わからなくもないかも。
碧)実琴さん….ですよね?
名前が思い出せない。確か同じクラスだったはずなのだが。自分の記憶力に笑えてくる。
とりあえず記憶の引き出しを探る。
すると顔と名前が見事に一致する人物が見つかった。
実)碧斗くん…?
碧)はい!実琴さんとはクラス同じです!
碧斗くんから、微かにラベンダーの香りが私の鼻に運ばれてきた。
実)死にたくないな…
碧)今なんて言った?
実)あ、ううん!なんでもない!
碧)そっか
敬語がいつの間にか外れてて、嬉しかった。普通は驚くと思うけど。
というか、さっきの、聞こえてないかな。
沈みかけていた夕陽は、そんな私と碧斗くんのことを優しく照らしていた。
コメント
7件
監督 〜〜 !! たのしみにしてるぞ 👊🏼👊🏼💖