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そこからはあんまり覚えていない。花火が終わって尚も黙っている俺を、キヨくんが手を引いて家まで送ってくれたみたい。
キヨくんはすぐに帰ったけれど、俺はずっと自室のベッドで仰向けになっていた。
…さっきの出来事を考えながら。
「何だったんだろ…」
胸に手を当ててみると、さっきまで普通だった心臓の鼓動も急に激しく鳴り出して、じわじわと羞恥が襲ってくる感覚だった。
(あれ…おかしいな…)
咄嗟のことで反応できなかったにしても、その後はちゃんと意識がある。急に何するんだって怒ったり、嫌だって突き放したりすることだってできたはずなのに。
それなのに俺は拒みもせずに、そのまま連れていかれるがままに家に帰ってきた。そして改めて思い出す。さっきあったことを。
少し湿っていて弾力のあるキヨくんの唇が、自分の唇に触れてそっと離れる。暗闇で全然見えなかったキヨくんの顔はどんなだったんだろう。どんなことを考えながら俺に…あんな…
「キス…された…」
望んでたわけじゃない。俺だって友人にそんな感情抱くなんて思っていなかったから、突然のことに声も出せなかったんだ。でも…されて気がついた。
(俺…キヨくんのこと好きなんだ)
友達だって、家族みたいだって思っていたから。今まで経験がなかった過度なスキンシップも慣れてきたけど。
さっきのあれは明らかに違った。あんなの、日本人なら挨拶ではやらないはずだから。
俺はラインの画面を開いた。キヨくんとのトークは2日前に『すぐ行く』って会話したきりだった。なんて送ろうか迷って、文字を入れては消すの繰り返し。
聞きたかった。さっきのなんだったのって。でも其の勇気が出なくてトーク画面をそっと閉じる。
(寝よ…)
また明日、明日でいいやって思って俺はそのまま寝てしまった。
To Be Continued…