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朝
目が覚め、自分のベッドから起き上がる。
昨日はいろんなことがあった。
久々に儀式がなく、薪集めをして一息つこうと焚き火のところまで行ったら
キラーであるはずのトリックスターが私達と同じサバイバーになってるし、
何故か泣くしで色々大変だった。
「久々によく寝れたけど…やっぱり危なっかしいし心配ね。」
私がこの世界に来る前は何処にでもいる社会人だった。
人一倍気遣いをしてしまう癖があり、そのため良く家族達に注意された。
「この癖だけはどうにかしないと…」
そういえばお母さんから彼氏を作れときつく言われてたな…
とはいってもこの世界で彼氏が出来るわけない。
というか出来るはずがない。
だってここは殺人鬼の遊び場。
邪神の娯楽。
人に好意を持てる余裕なんてない。
「そうだ、薪集めをしないと…」
明るい時間帯が一番集めやすい。
私は小屋から出て、近くの川で顔を洗い歯を磨く。
川の水面が太陽の日差しに当たって眩しい。
「これでよし。」
もう一度小屋に戻り、元々備え付けられていた斧を持って森の中に入った。
みんなはまだ起こさない。
前に一度起こしに行くと『自分で起きるから気にしないで』と言われたため、放っておくことにしている。
「さてと…木は何処に…ん?」
見覚えのある人影が視界の隅に入った。
珍しいピンクの混ざった藤色の髪にYシャツから見える白い肌…間違いない。
「トリックスター?」
「え?あっ!おはよう!」
眩しい笑顔に目を細めながら、私は何故彼がここにいるのか聞いた。
「いや…何もしないのは僕のプライドが許さなくてさ…嫌だったかな?嫌だよね…元キラーがサバイバーになったことにも信じれないし…」
「それはそうだけど、木を集めてくれたことには感謝してる。ありがとう、トリックスター」
「い、いや、お安いご用だよ!!あはは…」
彼は顔を赤くしながら自慢気にそういった。
「ひとまず、昨日焚き火をした場所に行くよ。」
「うん!」
私達は焚き火をした場所に戻り、切り株にトリックスターの集めてくれた木を置いた。
「昨日僕が座ってた場所って…」
「そう。薪を割るための場所」
そういいながら斧を振り下ろし、薪を作る。
「はっ…!」
カンッ!と斧と切り株が当たる音が森に響く。
「トリックスター、今から私が薪を割っていくから、焚き火の横辺りに束ねておいて?」
「分かったよ!」
約数分が経ち、トリックスターの集めてくれた薪を全て割り終えた。
「これでよし…」
「お疲れ様!」
「うん。ちょっとそこの川で顔洗ってくる。」
「え、川なんてあったの!?」
「うん。一緒に行く?」
「も、もちろん!!」
なんか今日のトリックスターは機嫌がいいな…
それが一番なんだけど。
「わぁ…本当に川なんてあったんだ…」
朝より眩しさの増した川を見つめるトリックスター。
「信じてなかったのね。トリックスターも手くらい洗ったら?」
「そうだね」
パシャパシャと水の音が心地いい。
まだみんなは小屋から出てこない…きっと本でも読んでるんだな。
「それにしても、なんで僕お腹が空かないの?」
顔から水を垂らしたトリックスターがそんなことを話した。
「まず顔を拭きなさいよ。まぁ…それは私にも分からないわ。あなたは空いてるの?」
「いや、キラーの時はエンティティが用意してくれたものを食べてたから…サバイバーになってもご飯は用意されてるのかなと…」
「キラーの方が優遇じゃない。羨ましいわね。」
「あはは…何かごめんね?」
「謝る必要ないわよ。飲み物ならコーヒーとかなら有るわ。」
「僕コーヒー嫌い」
「そうなの?勿体ないわね。まぁ食べ物はあるって言えばあるわ。」
「えっ本当!?」
「儀式をしないと貰えないけど。」
「えぇ~!そんなぁ!」
「まぁ食べなくてもお腹は空かないし。でも食べないとレベルアップできないし結構いいアイテムとかスキンとか買えないから」
「サバイバーって大変だね…」
「キラーも同じじゃない?」
そして他愛もない話を広げていると、いつの間にか夜になっていた。
「ん?何か霧が…」
「嗚呼、儀式の時間ね」
焚き火の周りを霧が包んだ。
「嘘でしょ…!?キラーって誰かな…どうすればいいの!?」
「ちょっと落ち着いて…!流石に二人だけってのは本当に稀だから、あと二人は来るはず。」
「そんなぁあ…!!」