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ゆゆゆゆ
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屋上のランチタイムは——
本来、静かで平和なはずだった。
「これも美味しい」
「ほ、ほんとですか!?」
「声」
「すみません!!」
——のはずだった。
「いや〜やっぱ弁当交換は鉄板だよねぇ!」
「静かにって言われただろ」
いつの間にか戻ってきている
シェドレツキーと
デュセッカー。
「戻ってきてるじゃないですか!?」
「いや気になってさ〜」
「成長記録としてな」
「観察日記じゃないんですよ!!」
完全に騒がしい。
ジェーンはため息をつく。
「……うるさい」
その一言も、もう効いていない。
「てかさ!」
シェドレツキーが急に手を叩く。
「こういうの、もっとちゃんとやろうよ!」
「ちゃんと?」
「外で!みんなで!ワイワイ!」
嫌な予感しかしない。
「バーベキューとかどう!?」
「は!?」
ジョンが固まる。
「いいな、それ」
デュセッカーも乗る。
「肉焼いて、酒……はダメか」
「ダメですよね!?」
「いやでも盛り上がるだろ」
「盛り上がるとかの問題じゃ——」
「やるか!」
シェドレツキーが勝手に決定する。
「やらないです!!」
その瞬間——
「……何をやるんだ?」
低く、落ち着いた声。
空気が一気に止まる。
振り向くと。
そこに立っていたのは——
ビルダーマン。
全員、凍る。
「騒がしいと思ったら……」
静かな圧。
「何の話だ?」
「えーっとですね!!」
シェドレツキーが一歩前に出る。
「社内コミュニケーション活性化の一環として!」
「バーベキューをですね!」
(言ったーーーー!!)
ジョンが心の中で叫ぶ。
数秒の沈黙。
ビルダーマンはゆっくり周囲を見る。
ジェーン、ジョン、デュセッカー、シェドレツキー。
そして——
「……騒がしい理由は理解した」
冷静に一言。
「まず」
全員が背筋を伸ばす。
「勤務中に騒ぐな」
「「「はい!!」」」
即答。
「だが——」
空気が少し変わる。
「案自体は悪くない」
「え?」
ジョンが思わず声を出す。
ビルダーマンは腕を組む。
「社員同士の交流は必要だ」
「ならば——」
一歩前に出る。
「私が用意しよう」
「……え?」
「最高のバーベキュー設備をな」
嫌な予感がする方向に話が進む。
数時間後。
社内の一角。
「でかくないですか!?!?」
ジョンの叫びが響く。
そこには——
もはや“グリル”と呼ぶには規模が違う何か。
鉄骨。
巨大な網。
謎のレバー。
無駄に多い煙突。
完全に工業機械。
「いやこれは……」
デュセッカーが珍しく言葉を失う。
「バーベキューの域超えてない?」
シェドレツキーも引いている。
その中心で。
溶接マスクを外す
ビルダーマン。
「うむ」
満足げ。
「火力調整は三段階」
「回転式で均等に焼ける」
「さらに——」
レバーを引く。
ゴゴゴゴゴ……
グリルが回転し始める。
「全自動ローテーション機構だ」
「いらないですよね!?!?」
ジョンが全力ツッコミ。
社員たちがざわつく。
「なにあれ……」
「怖いんだけど」
「爆発しないよな……?」
「しない」
ビルダーマンが即答。
「多分」
「多分!?」
空気が一瞬ざわつく。
ジェーンは腕を組んでそれを見ていた。
「……無駄に本気」
ぽつりと呟く。
その隣でジョンはまだ混乱している。
「バーベキューってもっとこう……平和なやつじゃ……」
「楽しそうじゃん」
シェドレツキーが笑う。
「絶対事件起きるけどな」
デュセッカーが冷静に言う。
「起きない方がおかしい」
その時。
「……ねぇ」
ジェーンが小さく言う。
「当日」
「え?」
「ちゃんと焼けるの」
「え、あ、はい!!頑張ります!!」
反射で答えるジョン。
ジェーンは少しだけ視線を逸らす。
「……ならいい」
それだけ。
でも。
(期待されてる……?)
ジョンの顔がまた少し赤くなる。
巨大グリルがゆっくり回る中。
社内バーベキュー計画は、想像以上に大事になっていくのだった。