テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ゆゆゆゆ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
バーベキュー前日。
「……買い出し、付き合って」
それは、ジェーンからだった。
「えっ、あ、はい!!」
ジョン・ドウは一瞬で立ち上がる。
(買い出し!?2人で!?)
頭の中が一気に騒がしくなる。
会社を出て、並んで歩く。
普段の社内とは違う空気。
人通りもあって、少しだけ距離が近い気がする。
(近くない!?いや普通!?)
横を見る。
ジェーンはいつも通り無表情。
でも、どこか少しだけラフな雰囲気。
(私服……じゃないけど……なんか違う……)
「……何」
「えっ」
「見てる」
「すみません!!」
即謝罪。
ジェーンは小さく息をつく。
「別にいいけど」
(いいんだ……)
それだけでちょっと安心する。
スーパーの中。
カートを押すジョンと、隣で食材を選ぶジェーン。
「肉、どれがいい」
「え、あ、はい!」
慌ててパックを見る。
「えっと……この辺りが……」
「理由は」
「脂と赤身のバランスがいいので……焼いたときに——」
途中で気づく。
(語りすぎた!?)
ジェーンは黙って聞いている。
「……なるほど」
短く頷く。
(通った!?)
「じゃあそれ」
「はい!!」
ちょっと嬉しい。
野菜コーナー。
「ピーマンいれる?」
「苦手な人いそうですね……」
「じゃあ少なめ」
淡々と決めていく。
でも。
ちゃんと“みんな”を考えてる。
(優しいな……)
「……何」
「いえ!!」
また見てたのバレた。
途中。
少し重い荷物を持とうとするジェーン。
「持ちます!」
「いい」
「持たせてください!!」
半ば強引に受け取る。
「……無理しなくていい」
「無理してないです!」
むしろ嬉しい。
ジェーンは少しだけ黙る。
「……ありがと」
小さく。
聞き逃しそうなくらい。
「っ……!!」
ジョンの動きが一瞬止まる。
(また言った……)
前より自然に。
前より距離が近い“ありがとう”。
レジを抜けて、外へ。
少しだけ夕方の空気。
「……結構買った」
「ですね」
自然に並んで歩く。
沈黙。
でも、嫌じゃない。
むしろ——落ち着く。
「……ジョン」
「はい」
「明日」
少しだけ間を置いて。
「ちゃんと焼いて」
「はい!!任せてください!!」
勢いよく答える。
ジェーンは少しだけ視線を逸らす。
「……期待してる」
——その一言。
完全に、不意打ち。
「……っ」
言葉が出ない。
(期待されてる……)
ただそれだけで、胸がいっぱいになった。