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ゆっくりと立ち上がり、シミができた畳を眺める。まるでいなかった、悪夢だったかのように、私を襲う異形は消えたのだ。
蘭々は、5人を引き連れて駆けつけてきた。
蘭々「良かった…死んじゃってたらどうしようって、心配だったんだから!!」
私の前にみんなが集まってきた。
咲「私は大丈夫だよ。猟が、助けてくれたし。」
猟「…あんな雑魚、大したことねえって。」
猟は耳を熱くして、顔を隠すように指先で前髪をいじった。
喧士「また、異形が現れたのか?」
灯「咲さん大丈夫?怪我をしてるんじゃ…」
久遠「異形ねぇ。またひとり、消えてしまったのかしら」
天天「…急いで来たけど、咲が無事で良かったよ!」
梟「おや、ここに来ていない人がいるね。」
私の元へ来なかったのは、異形となった真宵を除けばふたり。澄と菖蒲だった。澄は死んでしまっており、どうやってもここには来れない。じゃあ、菖蒲は…?私が倉庫から逃げ出した後、菖蒲を見ていない…。
すべて察してしまった。私は見捨てたのだと。実際、倉庫を見に行けば、口から乾いた体液が零れ、瞳が光を反射しない菖蒲の死体があった。他の人達も、倉庫に倒れた菖蒲を見つめ、ただ絶望した 。そして私は、菖蒲の亡骸を見つめ、気が付かなかった。澄の頭部がなくなっていたこと、どこかに消えてしまっていたことを…。
その日、私達はもう一度居間へ集まった。天天がみんなを招集したのだ。彼女はぶどうを1粒口に運び、言った。
天天「私達は、本格的にここからの脱出を計画するべきよ。このままここにいても、何も解決しない。」
そう提案した彼女に応答したのは、榊夜 梟だった。彼はマスクごしに、透き通った声を発する。
梟「ここで目が覚めてから、40時間は経っている。僕の腕時計が壊れてなければだけどね。
既に、私俺、黒鵺、真宵、菖蒲、澄。5人が死んでいる。みんなの死を無駄にしないためにも、良い提案だと思うよ。」
蘭々「…あぁ、そういや咲が言ってたな。澄が死んでいたって。」
天天「とりあえず!!そういうことだから。みんなでここから出る方法を考えよう。」
猟「先に言っておくが、壁を壊すってのは無理だろうな。木造に見えて、結構硬い壁だからな。」
みんなが黙って考えこんでいる。居間に円形で集まった8人は、ここからの脱出のために頭を働かせた。そんな中、私はひとつ気がかりなことがあった。榊夜 梟…なぜお前は…
澄が死んだと知っている。