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廊下を歩く梟の影を、私はなぞって追い続ける。彼は知らないはずのことを知っていたのだ。澄の死を知るのは、私と蘭々だけのはず。彼は何かを隠しているのだ。彼が部屋へ入ったのを確認する。私はドアの前に走り寄り、ドアを開けた。 ばんっと音がする方へと彼は振り向いた。焦った様子でマスクをつけ、私に振り向く。


梟「…何の用だい。ノックもせずに入るのは、品性を疑うね。」

咲「聞きたいことがあるの。」

梟「なぜ澄が死んでいると知っている?とでも聞きたそうな顔だ。」

咲「なっ…!」


私が唾を飲み、見開いた目を彼に向ける。


梟「君なら気づいてくれると思ったよ。聞いてくれるかい?僕の知ってること。」

咲「えぇ。自分から語ってくれるなら、話しが早いわ。」


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僕は深夜、澄に部屋へと呼び出された。

「あなた、私のことを忘れたなんて、言わせないわよ。」

「…覚えてるよ。ここに来て、澄の顔を見て、すぐ思い出した。」

「そう、やっぱり私達のは本物ね!」

彼女は僕ににじり寄った。僕の顎を軽く持ち上げた後、鼻筋にそっと手をかけ、マスクを下ろした。それはまるで、獲物に巻き付く蛇の様。肩を彼女に撫でられ、床へ誘われる。その後は、豪雨の海岸で起こる、激しい潮の満ち引きだった。

いずれその海岸は砂漠へと化し、僕らふたりは床に寝そべっていた。天井を見上げ、現実を忘れられた一瞬だった。


「私さ、今結構まずい状態なんだ。小学校の頃以外はほとんど思い出してしまってね。多分、このままじゃ異形になってしまうわ。」

そう言った彼女は、少し肩を震わせ怯えているようだった。初めて見る彼女だった。その光景に、ただ青ざめることしかできなかった。

「私はあなたがこの部屋を出た後、死ぬわ。」

「っな、何言ってんだよ!!」

「人として、死にたいの。…本当はあなたともっと繋がっていたい…結婚だってしたいわ。あなたと、幸せな暮らしを夢見てた!」

彼女は顔をくしゃくしゃにし、大粒の涙を、何度も何度も垂らした。

「あなたに頼みがあるの。」

「…何?」

私の死体を、頭と体で分けてほしい。


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梟「…彼女の考えだと、死体はこの中にいる黒幕が外へ運んでいるそうだ。だから、頭はこの屋敷に隠して、胴体は廊下に置いておいてと言われた。頭だけは、持っていてほしいって言われた。…僕は約束してしまったよ。彼女の遺体を解体すると。頭は大事に隠して、いつかその体も必ず回収すると。」


彼は一通り語り終えると、そっと押し入れを開けた。その瞬間、たちまち私の目には驚愕の物がうつった。生臭い不快感、悪臭がした。澄の生首を彼は取り出した。


梟「いい場所がなくて、暗い倉庫の中隠していた。でも、君たちがすぐに見つけてしまった。だから、急いで回収して、この押し入れの奥に今は入れているんだ。」


梟「それと、これも君に教えておくよ。死体を持ち去った人物…。九重灯だ。澄の胴体がどうなるのか、こっそり見ていたんだよ。そしたら、彼がその首なしの亡骸を引きずっていたんだ。」

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