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視点🧣
壊すって言っても世界を相手にするわけだから仲間が必要になってくるよなぁ。
「はぁどうしたものか」
とりあえず仲間探しの旅に出ることにした。
仲間探しの旅、なんて言うと聞こえはいいけど。
実際は「面白そうな力を拾いに行く散歩」みたいなもんだ。
「……ん?」
気づけば、墓地だった。
石碑は倒れ、地面は割れ、空気がやけに湿っている。
まあ、変異族の溜まり場だな。
幽霊、腐人、骨人――あいつらは基本フレンドリーだ。
近づくと驚かせてくるか、変な冗談を言ってくるか、その程度。
だから。
「……え?」
背後から伸びてきた腐った腕に、少しだけ目を見開いた。
「おいおい、ドッキリにしては噛みつく気満々じゃん」
次の瞬間、骨の槍が地面を叩き割る。
幽霊の群れが、笑顔のまま、明確な殺意を向けてきていた。
「へぇ……」
愛用のヌンチャクを軽く握り、振る。
空間が歪み、幻像が増殖する。
腐人の動きが止まり、骨人の関節が噛み合わなくなる。
「ストップ。はい全員、動かないで」
力でねじ伏せるのは簡単だった。
でも、腑に落ちない。
「君らさ、こんなノリだっけ?」
しばらく沈黙。
やがて、一体の幽霊が、震えながら答えた。
『……骸王様が、来た』
「は?」
『墓地を支配した。逆らう者は、処分される』
『近づくものは、全て殺せと……』
「あ〜……」
俺は、がっくり肩を落とした。
「最悪じゃん。そういうの」
支配。命令。強制。
効率はいいが、創造性がない。
「骸王[リッチ]ねぇ……」
幻を解き、踵を返す。
「じゃあね。俺、そういう面倒なの嫌いだから」
『いやぁ!そこをなんとか!』
『そうだよぉ俺等の仲じゃん!』
――その時だった。
石碑の影から、鈍い音。
金属が地面を引きずる音と、くぐもった呻き声。
「……?」
視線を向けると、
そこには、幽霊の少年がいた。
鎖のような呪が体に絡み、
骸王の魔力に押さえつけられて、地面に叩き伏せられている。
「……ふぅん」
骸王はこちら気づいていない。
ただ、自分より弱い存在を壊しているだけだ。
「……」
一瞬だけ考えて、俺は口角を上げた。
「ま、暇つぶしにはなるか」
次の瞬間、幻像が骸王の視界を覆う。
呪が乱れ、拘束がほどける。
「誰だッ――!」
「未来の王様のお通りだ」
俺は笑いながら、言った。
「王様ごっこ、下手すぎ。減点」
その後の戦いは、あっけなかった。
殺しはしない。
でも、二度と立てないくらい、徹底的に壊した。
倒れ伏す骸王を見下ろしながら思う。
これが正解だ。
支配を壊す。
殺さずに、意味だけを潰す。
「……あ、君」
助けた幽霊の少年を見て、声をかける。
「呪い魔法、下手だけどさ」
にやり。
「才能はあるね」
それが、始まりだった。
「……で」
俺は、助け起こした幽霊の少年を見下ろした。
「さっきから黙ってるけどさ。礼とかないの?」
すると、少年はふわりと体を浮かせたまま、じっとこちらを睨む。
「……別ニ」
「は?」
「助ケテホシイッテ頼ンデナイシ」
一瞬、間が空いた。
「……ははっ。お前、生意気だな?」
ぐっと距離を詰める。
「名前なんだよ」
少年は少しだけ眉をひそめて、言った。
「……自己紹介ハ、先ニスルノガ礼儀」
「へぇ」
その態度が、妙に気に入った。
「じゃあ俺からね」
ヌンチャクを肩に担ぎ、軽く手を振る。
「らっだぁ。亜鬼族。
世界を壊す予定の第三勢力」
冗談みたいに言うと、少年は一瞬だけ目を丸くした。
「……変ナヤツ」
「よく言われる」
少し間を置いて、少年は渋々口を開いた。
「……緑色。変異族、幽霊。
呪イ、チョット使エル」
「ちょっと、ね」
にやりと笑う。
「じゃあさ」
俺は、何でもないことみたいに言った。
「俺の仲間にならない?」
みどりは、きょとんとした。
「……ハ?」
「君、使えるよ。
壊すの、向いてる」
沈黙。
風が吹いて、墓標が軋む。
しばらくして、みどりはぷいっと顔を背けた。
「……イヤ」
「即答?」
「胡散臭イシ。
第一、アンタ危ナイ」
「それ褒め言葉ね」
そこで会話は終わった――はずだった。
『おーい!!』
『宴だ宴!!』
『骸王倒した記念だぁ!!』
腐人と骨人が、どっと集まってくる。
『お前さん、ようやってくれたな!』
『今日は朝まで騒ぐぞ!』
「え、ちょ、俺――」
気づけば、宴が始まっていた。
笑う骸骨。踊る腐人。
幽霊が酒瓶をすり抜けて運んでくる。
「……なんだこれ」
騒がしい中、みどりは少し離れた場所から、それを見ていた。
(彼奴は参加しないんだ。)
(…一番反抗してたのに)
気づけば、視線は俺に向いていた。
それから、しばらく。
俺は墓地に滞在したが、
みどりは俺に話しかけてこなかった。
ただ――
夜な夜な、墓地の端で一人、呪を練習している。
「……バフ、得意ダカラ」
誰に言うでもなく、ぽつり。
でも実際は、全然得意じゃない。
失敗して、呪が暴れて、ふらついて。
それでも、必死に隠して、続けて。
(……あーあ)
(見栄っ張りだなぁ)
数日後。
「じゃ、行くわ」
墓地を出る準備をしていると、背後から声がした。
「……待ッテ」
振り返る。
みどりが、少しだけ胸を張って言った。
「……仲間ニシテ」
「は?」
「今度コソ、チャント役二立ツカラ」
少し間を置いて、俺は笑った。
「……いいよ」
軽い調子で、でも確かに。
「じゃ、よろしく。みどり」
それが、
第三勢力――最初の仲間だった。
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名前 みどり
年齢 108歳
変異族(幽霊)
ポジション バッファー
武器 流星錘(りゅうせいすい)
魔法 呪
身長 167cm