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あー、つまんない。家も会社も。
中学時代の友達が結婚した。結構、仲の良かった奴だ。
あいつは、戸建ての家を建てて、奥さんのお腹には赤ちゃんもいる。
だから、必ず生まれるっていっちゃ、怒られるかもしれないが、
子供ができるだろう。
家族をもつってことは、それなりの金があるってことだ。
それに比べて俺は、実家こそ出たが、未だに仕送り生活。
結婚の見込みは全く無くて、ちっこい会社に毎日通う、40手前のおっさん。
積んだ。人生終わった。大学も、ろくなとこで出ないからあてになんねぇ。
あーあ。もっかい人生やり直したいな。
もっと、勉強しときゃー良かった。
もっと、好きなこと、やればよかった。
好きな奴に、好きって言やぁーよかった。
もっと、もっとが、いっぱい出てくる…。
結婚したあいつ、今どうしてっかな。
中学の時に告白したこと、覚えてっかな。
あれ、あの時は、罰ゲームとか言って流したけど、マジだったんよな。
引かれたらとか、そばに入れなくなったらとか、うだうだ考えて…。
なんで、今、思い出すかなぁ、。
もうちょっとで、死ぬのかなぁ。
あぁ、、好きだったなぁ。
俺、同性に恋なんて、本当、
ばっかみたい
“ちゃんとした恋”できなくて、ごめんなさい。
もっかい、もっかいだけ。
そしたら、親にも誰にも心配かけず、迷惑かけずに頑張るから、….。
そうやって、電気もつけづに暗い夜、部屋で一人、ひっそりと泣くのだった。
自分が抱いてしまった思いに、後悔しながら。
普通になりたいと、願うのだった。
そんな彼の姿はまるで、今、必死に空気を取り込もうと、生きようとする、
赤子、そっくりだった。
「うぁ、眩しッ。」
瞼を上げれば、朝の陽の光がいっぱいに入り込む。
いきなりのことで俺は、小さく叫んだ。
なんて天気のいい日なんだろう。
なんだか今日は目覚めがいい。
そんなことを考えながら俺は体をムクッと、起こした。
あれ、軽い…。
気のせいかと寝ぼけた目をこすり、朝の支度をと周りを見る。
豪華…。
いつもと違う広い部屋。
貴族というほどのものではないのかもしれないが、
ボロアパート出身の俺には、全てが輝いて見えるのだ。
…にしても何故だ。
なぜこんな…。
戸惑いながらもべットから降り、部屋の中を探索してみる。
わかったことは、この部屋の主はとてもとても綺麗好きということ。
部屋には至る所に洗面所や消毒液、マスクなどなど…。
病院かよッ!
なんて、突っ込んでしまいたくなるほどだ。
にしても、一部屋に洗面所三つは多すぎやしないか。
まぁ、俺に常識はわからないのだが。
あと、枕元に手袋が置いてあった。
とっても大事そうな。
でも、とっても悲しそうな、とっても辛そうな、
そう、感じ取ってしまうほど、深くて、暗い黒色をしている。
つけていいのだろうか。
一瞬迷った。
いや、数十秒迷った。
迷って、迷った結果、つけないことにした。
そんなに簡単に扱っては行けなそうな気がしたから。
俺がそんなことを考えていると、
コンコンコン
扉を三回ノックしてから、一呼吸置いて。
入ってもよろしいですか。
普通の人は、入る前にそんなことを言うのか。
予想していなかった言葉に俺は、なんと返していいのか分からず黙ってしまう。
とりあえず断っておこう。
「だめ」
発した声は、思っていたより高くて、頼りなかった。
はい..また来ます
そう返して、彼と思しき人は帰っていった。
ッはぁぁぁ….。
無意識のうちに止めていた息を一気に吐き出す。
その後に息をたっぷり吸い込み。
これを何度も繰り返すうちに落ち着いてきた。
さっきの人は誰なんだろう。
なぜ、こっちに来たのだろう。
この体の人とはどういう関係なのだろう。
一体、この体は誰なのだろう。
落ち着きを取り戻した頭で俺は必死に考える。
そもそも、なぜ俺は此処にいるのか。
此処はどこなのか。
前の俺は死んでしまったのだろうか。
そんな、不安や心配も一気に押し寄せてきた。
少し泣きそうな俺を抱きしめてくれる人はどこにもいない。
もし、あいつが此処にいたら..俺を..ッだめだ。
こんなことを考えては。
せっかく、きっと神様が与えてくれたチャンス、無駄にはしない。
今回こそ、いい人生を、普通の恋愛をするんだ。
男と男じゃなく、男と女で恋愛を…。
頑張ろう。普通じゃない俺は普通のことを頑張らないといけないのだから。