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「…ごめん、かな。」
はるの声は、いつもと違って少し沈んでいて、かすかな寂しさが感じられた。かなはその声に少し驚き、顔を上げる。
「え?」
「昨日私、何か気に障ること言った?」
「いや、別に。」
かなは冷たく返事をしたが、その声にはどこか自分でも気づいていない引っかかりがあった。それに気づかず、はるは少し俯き加減で言葉を続ける。
「そうか…。なら、別にいいんだね。ごめん、変に気を使わせちゃったみたいで…」
「違うってば、そんなの気にしてない。」
かなは少し強めに言ったが、その目はどこか遠くを見つめていた。心の中で、はるが寂しそうに謝る姿が頭をよぎる。そして、それを見ている自分が、なぜか胸が締め付けられるような感情に包まれる。
はるは静かに頷き、すぐに委員会の仕事へ向かう準備を始める。その背中を見送りながら、かなは再び座席に戻ろうとする。
はるが去った後、教室に残されたかなの胸の中には、どこかモヤモヤとした感情が広がっていた。なぜか、はるがあんな風に謝るのを見て、自分でも理解できないほどの悲しさが込み上げてきて、少しだけ胸が痛む。
「なんだよ、これ…。」
かなは小さく呟くと、うつむいて机に顔を埋める。自分の気持ちがよくわからないまま、心の中でどこか温かいものが溢れ出すのを感じた。
(はるが…あんなに寂しそうだったなんて…)
その瞬間、かなは初めて自分がはるに対して抱いている感情に気づき始める。彼女の優しさが、心の中で少しずつ大きくなっていくのを感じていた。