「むっ!?」
小田切はその能力名を聞き、困惑した
(待て、そんな伝能、聞いたことがないぞ
真逆、やつのオリジナル…)
バガガガガ!!
まず小田切の攻撃が治に直撃した
「ゴフッ…」
治は大量の血を口から吐き出した
「それは能力、状態異常を強制的に解除
すると同時に深い斬撃を食らわす。言わば
絶対に回避できない攻撃だ、回復能力が
ある者が食らっても、回復できん」
「…俺の能力の効果も出てるはずだ」
「なんだと?」
ザバッッ!!
「っ!?」
小田切の腕に灼熱感が走る
ボトッ
小田切の腕が、呆気なく地面へと落ちる
「…意味が無いな、私がつけているのは
義手だ、それに、腕一本なくとも、万力
を有する私に不利はない」
「あっそ、俺が命を賭けて作り出した自分だけ
の伝能だ、ジフ式、俺が今使用したものは
相手の1番大切な人体の一部を損傷、又は
切り取る能力だ、例えばサッカー選手なら
足、バスケ選手なら腕2本とかな」
「あとさぁ、俺がすぐに回復するのは。
能力でもなんでもない、ただの体質だ」
「なんだと?」
「だから、能力でも状態異常でもねぇから
この通り」
すると、治の傷跡がみるみると治ってゆく
「面白い、ならば」
「…何をする気だ」
治は腕にいつの間にか刺さっている
小さな針を見ながら言った
「…葬魔」
そう小田切が呟くと、針から小田切の
指へ、薄く紅い線がぼんやりと浮き出た
バゴォオォォオォ!!!!
治が後方へ吹き飛んだ
(はぁ、爆発なんて何回食らったことか)
「ただの爆発だと思うか?」
吹き飛ぶ治に並行して小田切が言った
「…ん?」
そう言われてみれば、体が動かない
回復も遅れている
「麻痺、体全体の動きを鈍らせる効果を
持つ爆弾だ」
小田切は鞘からゆっくり刀を抜く
「厄介者、消えろ」
ズバッ!!
小田切の刀は完全に治の首を捉えた
だが
スッ…
「…残像か」
治の姿が消えた
「どこに消えた?」
ザザ…
小田切は大通に着地した
「どこからでも来い、全て受け止める」
……
スパンッ!!
「む!!」
小田切は一瞬にして近づくある気配に気づき
刀を一閃させた
パキィッ!!
「…これは」
斬ったものは、ひとつの大口径弾
「面と向かって武で勝負するのでは
ないのか?」
シュッ
治は小田切の前に突然姿を現した
「…最適な場所を探していた、ここ大通が
決戦の場だ」
治は、黒い物質を刀に変形させる
「…笑わせるなよ、治」
小田切も、それに呼応するように刀を
構える
ドンッ!!
お互いが凄まじい速度で近づき、刀を
上段に構える
その瞬間
ドッ…
『!?』
両者共に悪寒を感じ、距離を取る
(…感じたことがないぞこんな気配、一体
誰が)
「やぁ、随分とやり合ってるようだね」
そこに現れたのは鰄郎だった
それはいつもよりも不気味な笑顔、ポーズ
訪れ方であった
「伝能の見せ合いっこかい?微笑ましい
ねぇ。」
「お前….おちょくっているのか!?」
小田切が叫ぶ
「あら、怖い怖い」
「殺す」
小田切は刀を取り出しながら鰄郎の元へ
走った
「分かったよ、今まではずっと使って
なかったけど、いい機会だ。分からせて
やろうか」
「ーーー!」
小田切が刀を横に裂いた
バゴォオォオオォッ!!
大きな爆発音と共に、周囲に煙が
待った
…
パラパラパラ…
淡々と土が地面に落ちる音が聞こえ、視界は
煙で遮られていてよく見えない
「小田切荘斗くん…だっけ?」
景色がだんだんと晴れていくと共に、驚愕
の光景が治の目に映った
鰄郎が、小田切の刀身を指2本で掴んで
いるのだ
(何だこの男は!?)
ガタガタ…
刀が震えている
「いいだろう!ここはひとつ協力して
やるよ!!」
ヒューー…..
「…ん?」
何処からか、音がする
「…あぁ、そうかい」
上空から、巨大な塊が数個鰄郎の元へ
高速で落ちてきているのだ
「いい加減離せ!!!」
小田切の刀身が濃い紫色に光った
バチュンッ!!
「おっと」
刀が薄紫色の波動を放つと同時に鰄郎の
手から開放された
カチッ…
小田切が構える
「遊ぶのもいいが、学ぶのもまた重要だよ」
「列強…?砲撃…?まるで歴史のような」
バギャッ!!
「!!」
治が、一瞬にして小田切の視界から消えた
「なっ!?」
ガガガガガガガガガガ!!!
治の放った天覇獄砲が地面を沈めた
凄まじい範囲の攻撃、これでは周囲の
建物も残らない
だが
ドンッ!!
「そこか!!」
小田切が地面を蹴り、空中で視野を広げ
鰄郎を探し出した
小田切は治の元へ光の速さで迫ると
同時に刀を斜めに切り裂いた
バガァァアッ!!
「ふはっ!惜しいね!」
「はっ!?」
ドッ!!ドッ!!
鰄郎が小田切の肩へ2発弾丸を打ち込む
「ぐっ!」
ドザァァ!
小田切はそのまま地面へと転がった
「何故…」
「簡単なことだよ」
「…だが、まだ刺客は残っているぞ」
「あぁ、知っているさ」
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