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さて。今日も頑張ろう。
流石に金髪はどうかなと思ったので結局黒寄りの茶髪に染めた。まだ、ショートカットの伸びかけといった状態の鈴原水萌は、襟を正してスーツを着、鏡の前で深呼吸をする。
大丈夫。……大丈夫。
今日は、大事な面接だ。でも、きっと。いや、必ず。自分の想いが届くと水萌は信じている。
きちんとした爪痕を残せた。自らの不倫が原因で閑職に追いやられた水萌であったが、その後、会社の赤字プロジェクトを黒字に転換する策を提案し、実行し、見事、売り上げを伸ばすことが出来た。
やるべきことをやってから、と決めていた。……この会社を辞めるのなら、きちんとした結果を残してからだと。
今日の面接は化粧品会社だ。その会社はチームリーダー、将来の幹部候補を募集しており、待遇もよい。
いまの自分であれば戦える……そんなふうに水萌は感じていた。
友達の過ちを止めることは出来なかった。
けども、……力にはなれた。きっと。
探偵まがいの真由佳への執念深いリサーチが身を結び、結果、水萌の友達である有香子は幸せを掴んだ。
女の幸せはなにも、結婚出産に限られない。……もう、子どもを産むことはないだろうが、それでも、自分なりに幸せを掴みたい。この人生に、自分なりの答えを見出したい。
赤いルージュを引いた水萌はちょっと派手かな、と思って塗り直そうと思ったが結局そのままにした。戦う女の姿がそこにはあった。
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