5〜10cmくらいを想定してます
「ん〜…よく寝た……うん?なんか、やけに視界が低いような……」
そう思って下を向くと、いつもの自分の手と寝巻きを纏った体が見えた。何かおかしいとしたら私が立っている所がふかふかの枕の上ってことだけ……ん?枕の上?
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
え、なにこれちっさ!?私ちっっさ!?なにこれ!?
「目が覚めたら体が小さくなっていた!じゃねぇ!!こんなコ○ンくんもびっくりな体験あってたまるか!!」
待ってこれどうしよう。今の状態で踏まれたりしたらやばいんだが?ムー寝返りうたないでね……
「ってかこの状態で風とか虫とか居たらやべーじゃん。外行かんとこ」
でも実際どうしよう。こんな状態じゃ何できないし……とりあえずベリアン呼んでみるか…って呼びに行けねぇじゃんこんな身長じゃ。それに大声出しても小さいから聞こえないだろうし……ムーを起こすしかないかなぁ、なんて考えていたらコンコン、というノックが聞こえた。起床の時間だから起こしに来たのだろう
「どうぞー!」
「失礼しま……ッ………!?」
「あれ、ベリアン?どうしたの?」
上品に口に手を当ててこちらを凝視しながら固まったと思ったら早歩きでベッドに近寄り、私を両手で丁寧にすくい上げるように持ち上げ、自分の顔の近くまで持っていき、にへ、という蕩ける様な笑顔で話し掛けてくる。
「なんてことでしょう……とても可愛らしいです……!」
まじかで特大ファンサをうけた私、無事死亡。顔がいいね、顔がいい。ところで何分私を見つめてるのかな???
「ハッ…!すみません、このままの格好ではダメですね…フルーレくんに頼んでみましょうか」
「私はこのままでもいいけど……」
「いえ、そんな訳にはいきません」
そう言ったベリアンはムーを起こした。起こされたムーは目を擦りながら私を見て、わぁ!僕よりも小さいです〜!と嬉しそうに言った。ここでも特大ファンサを受けた私、致命傷。この調子じゃいつか私尊死しそう。
「フルーレさんの所に行くんですね!僕もついていきます!」
ムーの背中に乗ろうとしたが歩くと落ちそうになるので結局ベリアンの手のひらに乗って移動することにした。ベリアンの胸らへんの位置に手があるので、いつもよりちょっと視界が高い。私もこんくらい伸びたかった…(願望)。それにしても安定性抜群だな……全然揺れないんだけどすげぇな。
「それにしても、何故急にこんなに小さくなられたのですか?」
「ごめんそれに関しては私もわかんない。まーたご都合展開だと思うけど」
「ご都合展開とは…?」
「あ、ごめんごめん。こっちの話」
いつもより大きい家具などを眺めるのは楽しかったが、大きさ以外は普段と変わらないのでそうそうに飽きてしまった私はベリアンの指先を握ったりしていた。
「んん゙っ……」
「あ、ごめん。くすぐったかった?」
「いいえ。大丈夫ですのでお気になさらず」
「そお?」
(ベリアンさん、とっても幸せそうです…)
というか、ベリアンの手っていい匂いするな。いつも紅茶とか触ってるから匂いが染み付いてるのかな?手袋越しだから熱は感じにくいけど、ベリアンとの距離が近いからベリアンの匂いがして落ち着く……ってなんかこれ変態くさいな。
「主様、つきましたよ」
「フルーレさーん!居ますかー?」
「あれ、ベリアンさんにムー。どうしたの?」
「今の主様に合う服を仕立てて貰いたいのですが…」
「えっ……ぁ、かっ可愛い……!!」
頬を赤く染め可愛い可愛いと言うフルーレ。私よりフルーレの方が可愛いと思うの。本人に言ったら怒るから言わないけど。
「主様の服ですよね!?任せてください!!とびっきり可愛いの作ります!!!」
「おおう…すっごいやる気ぃ……」
「どんなのができるのか楽しみですね」
「ええ、楽しみですね」
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「うわあっ!?」
「ラトくん、急に現れるのは辞めてください」
「くふふ…。それはすみません。主様、おはようございます」
「え、あ、うん。おはよう……?」
少しすると、後ろからミヤジが現れた。ミヤジはベリアンの手の上に乗っている私を見ると驚いたというように目を瞬かせた。
「あ、ミヤジ!おはよう!」
「おはよう、主様。どうしてこんなに小さくなってしまったんだい?」
「それが私にもわかんかくてさー。いやぁ参ったよ。でも、多分すぐ戻るよ」
「そうなのか?それなら良かった。何か不便なことがあれば言うんだよ」
「うん!」
なんかいつも以上に物理的距離があるような…え、なんで?
「主様、私の手にも乗ってください」
「うん?いいよー!ベリアン、ちょっとラトに近付いてくれる?」
「……かしこまりました。ラトくん、落とさないようにお願いしますね」
「くふふ、お任せ下さい」
「よいしょ、っと…ベリアン、ありがとね!」
ベリアンを見上げてお礼を言う。なんか、少しだけ残念そう?ラトは両手で私を乗せると、自分の手を絡める様にして私を閉じ込め、少し笑って一言。
「おや…こんなに小さいとうっかり握りつぶしてしまいそうです」
え、今この状態でそれ言う?私が冷や汗をかいているとミヤジがラトを止めてくれた。
「すみません。冗談です」
ラトが言うと冗談じゃ聞こえなくなるの不思議だね。多分日頃の行いだね。とりあえずやめてくれた事に安心した私はホッ、と一息吐いた。すると、服を作り終えたフルーレが何着か持ってこちらに近付いてきた。……え待って早くない???
「主様!まずはこちらを着てみてください!」
「わー……うん、わかったよ。ラト、着るから机の上に下ろしてくれる?」
「ふむ…わかりました」
私はフルーレから服を受け取り、ラトに近くの机に下ろしてもらった。ラトにお礼を言うとミシンの後ろに行き、皆から見えないように着替えた。この世界の価値観たまに分からなくなるんだけど、足とかは見せちゃダメなのに着替えは手伝ってもいいのホント謎なんだけど…
「着替えたけど…デザイン可愛すぎない?大丈夫?……え、なんで無反応なの??そこまで似合ってないってか???傷付くぞ????」
「主様、凄く可愛いですー!」
「ムー…ありがとう…!」
「………い……」
「うん?フルーレ?」
「かっっっわいーーーー!!凄いです主様!!!俺の想像以上に似合ってます!!可愛いです!!!」
「…とても可愛らしいよ、主様」
「あすっごいいい顔の微笑み!100点!!」
「まるでお人形さんみたいですね…。くふふ、可愛いですよ、主様」
「ありがとう!」
「」
「ところでなんでベリアンは倒れてるの??大丈夫???」
「………供給過多で倒れただけです……………」
「日に日にベリアンが私みたいになってるんだけど。ごめん」
キラキラした顔のフルーレが次のも、と服を差し出してきたので私はしばらく着せ替え人形と化していた。
「ここら辺でやめにしてロノのとこ行こ…多分ご飯作ってあると思うし」
「あっ!申し訳ありません、主様。今すぐお連しますね」
さあ、こちらにとベリアンが手を差し出してきたのでそれに乗ろうとすると、フルーレがあの!と声をあげた
「あの…俺も主様乗せたいんですけど…ダメ、ですか……?」
「ダメじゃないダメじゃない!じゃあフルーレに頼もうかな!」
「! やった、ありがとうございます!」
(あらら…フルーレくんに取られちゃいました。……嫉妬なんて醜いですね)
フルーレの手の上に乗り、移動する。フルーレは手袋をしないので、体温が直に感じられて暖かい。男だと思わせれるような自分より少しゴツついた手を珍しく思い、指をにぎにぎと握る。フルーレは弓の練習をしていて、それで豆が出来たのであろう。豆が潰れたりして固くなった皮膚がフルーレの日頃の努力を物語っている。
「……やっぱり、フルーレはかっこいいね!」
「ぅえっ!?え、っと、ありがとうございます…!」
喉まででかけた可愛いという言葉は飲み込むことにした。拗ねちゃうからね。
「あ、ロノ!バスティン!」
「?主様の声が聞こえたんだが…」
「ここだよ、ここ!」
「うぇっ!?主様!?」
「可愛いな……」
フルーレが食堂の机の上に手を寄せてくれたので、私はお礼を言った後、机に乗り移った。いつも使ってる机がとても広く感じ、トコトコ歩き回っていたら、ロノの指がこちらに伸びてきて、私の頬をちょんちょん、とつついた
「あはは、くすぐったいよ〜」
「あっ!すみません、つい!!」
「大丈夫だよ!気にしてないから!」
「………」
「バスティンも触る?」
「いいのか?」
「もっちろん!」
バスティンがうずうずしていたので、触りたいのかな?って思って聞いたら、パァァ…!と顔を輝かせた。ファンサ多くない?私今日が命日とかない?大丈夫?
私を触っていたバスティンは、突然ハッとした表情になり、どこからか取り出した木彫りの動物を私の周りに4体ほど置いた。え、なにこれ儀式かなんか?と思ったけどバスティンが嬉しそうに微笑んで、とても満足そうにしていたので何も言わないでおいた。
「私よりちょっと大きい…あ、これムーだ!可愛い!」
「……あ!そうだった、そろそろ飯出来ますけど…どうするんですか?」
「え?うーん…そんなに量は要らないし…」
「今日は主様のリクエストでいちごのスフレパンケーキなんですけど」
「食べたい!!」
「ふふ、主様はロノくんのスフレパンケーキ大好きですよね」
「そーそー、私ロノの料理好きなんだよね」
「ぐぅっ…!あ、主様はいつも美味しそうに食うから作りがいがあるんですよ!」
「だってロノの料理が1番好きだから」
「グハッ」
「ろ、ロノーーー!!」
ホントごめぇん……私がオタクなせいで執事達の反応がオタクっぽくなってしまった……ペット(執事)は飼い主(主様)に似るってかやかましい
やめ時がわからん( ᷇Ü ᷆ )
コメント
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あまりに良いストーリーすぎて、フォローを押さずにはいられなかったw
続き...。。。(lll __ __)バタッ
( ´ཫ`)尊い..............