「さあ皆の衆。我が神を讃えよ」
私の信者皆が私に向かって頭を下げて、
まるで、私が全てだと言うような、
この感じがとても嫌いだ。
最初から、神だろうと、信者だろうと、
人間は人間で、皆、立場は一緒だろうに。
神だった父を受け継いだ私が、神な訳あるまい。
私の父も、その上の祖父も、
本当の神ではないだろうに。
期待は応えるものだ。裏切るものではない。
だけれど、今の私、これは裏切りだ。
期待を踏んで、裏切っている。
それに気付かず神だと私を崇める信者が、
素直で愛らしい反面、阿保らしく馬鹿らしいと思う。
こんな気持ちになってまで信者を見届ける私が、
本当に阿保で馬鹿で、信者だれの目を見れない程だ。
なんて、これも信者を裏切る事となるのか。
すまない、すまないよ、本当に。
私は、君達が思っているより、
ずっと、遥かに、酷くて醜い奴なんだ。
嗚呼、嗚呼私の素直で愛らしい信者達よ。
私なんかより、ずっと君達の方が神なのだ。
君達は神とも分からない、
たかが庶民を神だと心から信じて、
まるで、当たり前のように私を崇めている。
そんなに素直で愛らしい君達の方が、
ずっと神のように儚げで、素敵だろうに。
いや、本当に、こう考えていたら、
本当に可哀想で、本当に哀れだ。
私が信者皆の幻想を、思い込みの幕を閉じなければ。
私が子をつくる前、まさに今、
ここで幻想の話を閉じよう。
だって、私が今命を落とせば、 信者にとって
神である私の新たな神、なんて子は存在しなく、
皆が信じる新たな神、庶民はもう居なくなる訳だ。
そうとなれば話は早い。
私は最後まで、
信者の為に、
神として、
自分自身を投げ捨て、
皆の神であるとするさ。
コメント
3件
今回もめちゃくちゃ良かったです!!!! あー…神として崇められてたんですね。 でも、神じゃないですもんね。 本当の神様はここには居らず、 この世界に立ってませんもんね… まぁ…次回も楽しみに待ってます!!!!