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#地雷系
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
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クラリス
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リリア💙🤍
207
#いじめ
名瀬口にぼし
279
. .。 .:・.。. .。.:・
ある日、ジャスティンが竜馬のいる一階のポーカーサイドのバーカウンターに行くと、大きな笑い声が聞こえて来た
なんだろうと覗いてみると、竜馬とカウンターバーにディラーとバーテンダー達とそこに学校が終わって遊びに来たローズマリー達が雑談していた
ローズマリーはこのホテルだけは護衛なしで自由に行き来できるため、よく遊びに来ていた、その笑いの中心にはアンドリュー・ウォルツが立っていた、途端にジャスティンのこめかみにピリッと苛立ちが走った
ウォルツは、身振り手振りを大げさに振り回しながら会話し、みんなの注目を浴びていた
「それでよ・・・俺は言ってやったんだよ・・・お前のケツを蹴り上げるぞってな!!」
ドッとヤツの話のオチで周りに笑い声が反響した、誰しもがアンドリューの与太話に爆笑していた、特に竜馬は隣のローズマリーと腹を抱えて笑い、ローズマリーは目に涙さえ浮かべていた
そこに竜馬が部屋に入って来たジャスティンに気が付いた
「あっ!ジャスティーン!」
竜馬がアンドリュー・ウォルツに両腕を回し、ジャスティンのもとへ引きずって来た、アンドリューはわざとらしくへらへら笑った
「紹介するよ!この人新しくカードディーラーで入ったアンドリューさん!とっても面白いんだ!アンドリューさん!こちらはジャスティン!僕の友達でルーレットのディーラーだよ」
―ほほう・・・友達か・・・残念だなジャスティン―
「やぁ!初めまして!」
アンドリューは印象良くジャスティンに微笑んでみたが、目だけは抜け目ない表情をしていた
「なぁ!竜馬って本当に可愛いよな!見ろよコイツのほっぺこんなに伸びるんだぜ」
「ひゃめて~、ひゃめて~(やめて~やめて~)」
ワハハとアンドリューが竜馬のほっぺを両手でびよんと引っ張って笑う、竜馬は困った風だが、アンドリューにいじられるままだ、その瞬間、ピシっと鞭を打ったようにジャスティンとアンドリューの間の空気に亀裂が入った
ひやりとアンドリューの背筋に悪寒が走る、 ジャスティンのロイヤルブルーの瞳がみるみる怒りで黒くなった、瞬時で彼のこめかみに血管が浮き上がり、血が脈打つのを見た・・・
張り詰める空気の中、今やジャスティンは、無言でアンドリューを殺す勢いでじっと睨んでいる、いや・・実際本当に殺したいのだろう
―おっかね~・・・やりすぎたかな?―
まさか、こんな人前では、いくらコイツでも自分を殺すことはないだろうとアンドリューは思った
「もうっ!ジャスティンったら!なに睨んでいるんだよ!!アンドリューさんごめんね・・・コイツ最初はこんな感じだけど、本当はとても良いヤツなんだ」
「全然気にしてないよ、竜馬」
アンドリューは気を使っている竜馬に優しく言った
「あっそうだ!ジャスティン!僕のハーレーの調子がおかしいんだ、ラジエーターの水を変えたんだけど、物凄い音がするんだ見てくれる?」
そこへアンドリューが感心したように愛想良く言った
「へぇー・・竜馬ハーレー乗っているのか?俺もずっとハーレー乗ってたんだ、俺で良かったら見てやろうか?」
「本当?アンドリューさん!」
途端に竜馬の表情が明るくなった、ジャスティンが一歩前に出た
「悪いがコイツのハーレーは俺が見る」
語気鋭く言った
「遠慮しなくていいよ、君は忙しいだろ?い・ろ・い・ろ・と・」
アンドリューも一歩前に出てジャスティンの視線を受け止め、決して目を逸らさなかった、ジャスティンは喉の奥で唸った、無礼とも受け止めかねないその態度に空気がヒヤリと冷たくなった
どちらも目を逸らそうとしなかった、ただならぬ雰囲気を感じたのか、竜馬が子供のようにキョロキョロと二人の顔を交互に忙しく見る
「・・・今すぐハーレーを見てやろう・・・行くぞ、竜馬」
ジャスティンは自分の口調が棘々しくなるのを押さえようともしなく、両者火花を散らして睨み合い、一歩も引かない態度で全身の筋肉を硬くし、二人の周りには暴力の気配が漂っていた
「う・・・うん・・・ごめんねアンドリューさん」
「またな!竜馬」
振り向きもせず、ズンズン歩いて行くジャスティンを追いかけている竜馬が、時々こちらを見て手を振る、それをアンドリューは微笑んで見送った
. .。 .:・.。.
小鳥になりたいと思わせるほどの晴れやかな空だった、夕日が赤く美しかった、そのせいかナルシソホテル内のハイドパークはピンク色に染まり、沢山の人が溢れ、カップルは手を繋いで夕方の散歩をし、家族連れは子供を小さな噴水で遊ばせていた
アンドリューはジャステインを探して公園の中に入って行った、ジャスティンはあの身長と外見だから、人込みの中でも楽に見つけれるだろうと思ったが、アイツは上手に気配を消すことができた
そこで、アンドリューは考えた、ジャスティンの立場だったらどこへ行く?すると木の並木通りからカジノが見渡せる場所があった、大きなガラスばりのそこからカジノの中のバーが丸見えだった
なんとなくアンドリューは引き寄せられてブラブラ歩いてみた、やはりソイツはそこにいた、ディーラーの真っ白いワイシャツの袖をまくり、腕を前に組んでヤシの木にもたれている、ジャスティンはバーで開店準備に忙しくしている竜馬を見つめていた
彼は首を傾げて腕を前に組み、視線はバーカウンターの竜馬に向けたままだ、風に綺麗な金髪がなびいて光を放っている、後光が刺しているようだ、彼の楽しみを邪魔したくなかったので、しばらくは距離を置いて待った
ずっとあのバーボンを殺ったヤツの事を考えていたし、実際に会って話をしたらどんな気分になるだろうと思っていた、チャックに命令されれば、コイツはどんなヤツでも殺るのだろうか?何のためにそんなことをしているだろうか?どう考えても殺しを楽しんでいる様には見えない、アンドリューはどうしても好奇心を押さえきれなくなっていた
まるで凶暴な虎の尻尾を掴んで遊んでいるようなスリルを味わっているようなものだ、どんな風に話の糸口を切るか考えていたが、やはりあの少年のことが一番いいだろうと思った
「ここからなら、竜馬がよく見えるかい?」
ジャスティンがアンドリューを横目だけでチラリと見て「フンッ」と鼻を鳴らした、第一声で銃口を向けられなかったので出だしはまずまずなんだろう・・・ジャスティンはアンドリューを完全に無視していた、次にアンドリューはさりげなくジャスティンの横に並んでみた
「君に礼を言わないといけないかもしれないな」
ジャスティンがアンドリューの話などまるで聞いていないそぶりなので、自然とアンドリューは独り言を言っている気分になった、やがてブルーの瞳だけが「ジロリ」と動いて横目でアンドリューを見つめる、心臓がドキドキしてきた
「竜馬は・・・知らないんだろう?君が・・・その・・・なんだ・・・・してること」
アンドリューにはまったく悪気はなく、むしろこの金髪の青年のことを理解したいような気持ちが湧き上がっての言葉だった、いったい何のためにあんなことを・・・なのでつい口に出してしまった
「今まで何人殺ったんだい?」
彼の美しい顔に、怒りの血の気が刺して、首からゆっくり赤みがさしていく様は圧巻だった
体は微動だにしないが頭の中は忙しく自分を殺すかどうか考えているんだろう、アンドリューはその様をうっとりと眺めた
次の瞬間、アンドリューは激痛と共に地面にひっくり返っていた
視界一杯に夕日が広がった、ジャスティンに足を引っかけられアンドリューは背中ごと地面に叩きつけられた、何が起こっているか理解出来ない、そして今はジャスティンにアンドリューの喉元を踏みつけられて動けなくされている
苦しくて息が出来ない・・・その時ジャスティンが不敵の笑みで、屈んで覗き込んできた
―カチャリ・・・―
その時アンドリューの額に冷たくて硬い金属が押し付けられた感覚がした・・・はた目には彼のディーラーの制服のシャツの長い袖で隠れて見えないが・・・たしかにアンドリューは今ジャスティンに銃を突き付けられている
風を受けて・・・至近距離で初めてみる、彼の金髪とシャツの襟が風になびいている・・・夕日が反射して毛先が白に近い金色になり、そして・・・彼のロイヤル・ブルーの瞳が今は真っ黒だ・・・アンドリューは殺されそうになっているのに彼の美しさに見惚れた
ジャスティンの顔が半分陰になり、明るい方の顔の弧の字型の眉毛が片方吊り上がった
「女のようにおしゃべりがすぎるぞ、アンドリュー・・・殺ってほしけりゃそう言いな、あの世でバーボンが待ってるぜ」
アンドリューの顔にジャスティンの吐息がかかる・・・衝撃が大きすぎて馬鹿みたいに両手を降参の形に上げて息を喘がせた
両手はわずかに震え、まるで小動物を食べるかどうか判断を下そうとする豹か虎の目つきで睨まれている感覚だ、アンドリューの口は乾き・・・肢体は凍り付いた
「ま・・・待て待て待て・・・俺は何も別に・・・き・・・君を助けたくて・・・」
アンドリューは慎重に言葉を選んだ、ジャスティンの瞳がビー玉のように光り、再び明け方の空のように明るいブルーに変わった
―ドキン・・・・ドキン・・・・・・殺される?・・・―
アンドリューは目を逸らせなかった・・・遠くから物音が聞こえる、人々が動き回る音、子供の笑い声・・・こちらに誰かが歩いてくる気配、ふとジャスティンがアンドリューから離れた
体が軽くなった、すかさず息をあらげ、アンドリューも立ち上がり、尻に着いた草を払った
「竜馬に一言でも余計なことを言ってみろ、貴様をハチの巣にする、顔の形がわからなくしてやるぞ!」
素っ気ない言い方が本気だと思わせられた、そしてジャスティンは振り向きもせず、途中で鳩の大群を蹴散らしながら大股で歩いて行った
本当に殺されるかと思った、アンドリューはまだ騒がしく高鳴っている心臓を落ち着けようと、大きく何回も深呼吸をした、踏みつけられた喉元が痛い
ふぅ~~~「おっかね~~~~やっぱりヤバいな、アイツ」
ヒュ~♪っ・・・・と口笛を吹いた
「でも気に入った」
アンドリューはニヤリと笑った
コメント
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うわ、めちゃくちゃ緊迫したシーンでしたね!ジャスティンのあの独占欲の強さと、アンドリューの飄々としていながら核心を突くような物言いのコントラストが素晴らしかったです。公園での銃突きつけシーン、夕日を背にした金髪の描写が映画的でゾクゾクしました。最後の「でも気に入った」で、アンドリューがただの敵じゃなくなりそうな予感…この先どうなるのか気になります!