テラーノベル
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俺は袋を受け取り中を|覗《のぞ》く。袋の半分ほどまで白い粉が入っている。
「これが…あの鉱石からとれたモノなのか?」
「そうだ。乾燥させた薬草と混ぜてある。出来上がった薬の半分は、デネスの王城に|納《おさ》めてきた。そういう決まりだからな」
「ジル殿、何から何まで感謝する。俺一人では、薬を入手できなかったかもしれぬ」
「礼を言われるほどのことではない。実際、一番大変だったのはラズール殿ではないか。それよりも、早く薬をフィル様に届けなくていいのか?」
「そうだな。行ってくる」
「リアム様がいらっしゃったら、後で挨拶に行くと伝えておいてくれ」
「ああ」
「あ、そうだ、忘れるところだった。その薬の飲み方だが……」
ジルに飲み方を聞いて頷くと、俺は足早にフィル様の部屋へと向かった。
「ラズール見て!あんな遠くまで見えるよ!すごいね」
「フィル様、あまり身を乗り出さぬように。お気をつけください」
「大丈夫だよ…あっ」
「危ないっ」
日除けのために、フィル様が頭から被っていた|薄衣《うすぎぬ》が、風に飛ばされてしまった。慌てて手を伸ばしたフィル様の身体を、俺は背後からしっかりと抱きとめる。
ここは俺が運び込まれた城の屋上だ。デネス大国で入手した薬が効いて、フィル様に体力がついてきた。フィル様に聞くと、疲れにくくなり目眩や頭痛になる|頻度《ひんど》も少なくなってきているらしい。
あの薬は三十日間、継続して飲まなければならない。ゼノから聞いた方法で、フィル様は毎夜寝る前に薬を口に入れた。その方法は、水で濡らした指先に粉をつけて口に含むのだ。摂取量を間違えると、逆に身体に負担がかかってしまうらしい。だからきちんと摂取する量を守るようにと、ジルがしつこく言っていた。
そして薬を飲み始めてちょうど三十日目の今日、元気になったフィル様に頼まれて屋上へと来た。本来なら第二王子の役目だが、今城にはいない。朝早くに近くまで客人が来ているらしく、会いに出かけている。
「ラズールありがとう。飛んでいっちゃうところだった」
俺はふ…と息を吐いて、薄衣をフィル様の頭に乗せる。
「飛んでいったら後で拾えばよろしいのです。それよりもあなたが落ちそうになっていたではありませんか」
「え?そうだった?」
「そうです。この高さから落ちると、さすがの俺でも助けられるかどうかわかりませんよ?」
「心配性は変わってないね。大丈夫だよ」
明るく笑うフィル様を見て、俺の気持ちまで明るくなる。いつまで経っても無邪気なお人だ。本当に愛らしいと、俺は目を細めた。
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