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水さんはやはり桃さんに疑いの目を向けてますね...🤔🤔 エラー音が加速する文1つで音なんて聞こえるはずないのに想像出来てしまいます...✨ 話が進んでも疑問が増えるばかりです...😖💓
「まるで名前を全身で表すように、大きくジャンプして飛び下りた。」←ここめっちゃ好きです!!白さんらしい感じがします!
青さん寝れなかったのちょっとだけ可愛いなと思いましたw 他メンは普通だけど水さんだけめっちゃ桃さんのこと警戒していますね… 最後の桃さんが持っていた白さんを軽がしく青さんが取るとこイケメンすぎます…🫶💕 敵チームさん、なんかわざと作戦にひかかった感じがします…。
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話です
「まろちゃんおはよー」
翌朝、目を覚まして階下に下りるとしょにだが声をかけてきた。
フライパンに卵を割り入れ、手際よく調理している。
「食べる?」と聞かれたので首を横に振った。
「コーヒーだけでいい」
「めっちゃ眠そうやん。大丈夫?」
「え、まろ寝れなかったの?」
俺のすぐ後をついてくるようにリビングに下りてきたないこが首を傾げている。
「…誰のせいやと思っとるん」
「え、俺?」
驚いたような顔をしてないこは自分を指差す。
意外だと言わんばかりに目を丸くするものだから俺は恨みがましい視線を送った。
「ないこ寝相悪すぎ。蹴るわ殴るわ」
「えー、起きたときは寝たときと同じ位置に大人しくいたけど」
唇を尖らせての抗議口調があざとすぎる。
蹴ったり殴られたりするのはさすがに嘘だけど、寝れなくなったのはないこのせいに違いはない。
…あんな声であんな言葉を聞かされて、その後熟睡できるほど神経は図太くない。
しかも本人は宣言通りパニックを起こすこともなく、あの後ぐっすり眠っていたようだから余計に腹が立つ。
「……なんかよう分からんけど…」
半熟に焼き上がった目玉焼きを皿に移しながら、しょにだはニヤッと笑った。
「ふーん、要は一つのベッドで寝とったってことね」
「…っ」
しまった余計なこと喋った。
思わず言葉を飲みこむと、隣でないこもどう返事をしたものかと複雑な表情を浮かべている。
「まろちゃん追い出して悪かったなぁって思とったけど、良かった良かった」
「なんも良くないわ」
しょにだの言葉に噛みつくように返したときだった。
階段をパタパタと下りてくるスリッパの音がする。
振り返るとほとけが水色のルームウェアのまま下りてきたところだった。
「おはよ」小さく言って、そのまま冷蔵庫に向かう。
そんなほとけに近寄って、俺はその水色の頭をパシンと痛くない程度にはたいた。
「いたっ、何すんのさいふくん」
「痛ないやろ。…顔に出しすぎ」
ないこへの疑念からか、ほとけはいつもよりも低めのテンションだった。
あいつと目を合わせないようにしているのが分かる。
「…仕事のときはちゃんとするよ」
唇を歪めて言うと、ほとけは冷蔵庫から取り出した冷たいお茶をグイと一気に飲み干した。
「今日はA地区の廃病院が目的地ね」
朝食を終え、リビングのテーブルに地図を広げてないこが言った。
「そこで密造拳銃の取引がある…らしい、表向きは」
「表向き?」
身を乗り出して地図を確認しながら、しょにだが聞き返す。
「裏では、依頼されて要人の誘拐とか暗殺とか…そういうことに手を出してるらしくて」
続いて院内のフロアマップを広げながらないこはある一点を指差す。
「ここ、地下の奥。ここにその狙われてる要人リストのデータがあるっぽい」
「『ぽい』じゃなくて、あるよ。僕が掴んだ情報だから間違いないし」
ノートパソコンのキーボードをカタカタと鳴らしながら、ほとけがテーブルの隅からそう言った。
「今回はデータが目的だから、まっすぐ地下を目指す。でも見張りも多いだろうから、二手に分かれよう」
言いながら、ないこは院内マップに蛍光ペンで色をつける。
「俺とまろが正面玄関側で囮になるから、しょうちゃんとほとけっちは裏から入って地下を目指して」
地下までの道にまっすぐ線を引いた。
「データを抜き取ってきてくれたらそれで完了ね」
蛍光ペンにキャップを戻しながら、ないこはそう締めくくる。
オッケー、と軽く頷いたしょにだの隣で、ほとけがパソコンから目線を上げた。
「ないちゃん、僕といふくん入れ替えて」
「…え?」
ほとけの言葉に、ないこが意外そうに片眉を持ち上げる。
「僕がないちゃんと囮側に行くよ。いふくんにはしょうちゃんと地下に行ってもらって」
「…いいけど…何で? データを引き抜く必要があるから、ほとけっちが適任かと思ったんだけど」
「僕に諜報活動を最初に教えてくれたのいふくんだから、いふくんでも大丈夫だよ」
言い置いて、パソコンに向き直るほとけ。
確かに最初に教えたのは俺だけど、今ではその腕ははるかにほとけの方が上だ。
だけどそんな言葉で話に割り込むのも違う気がして、俺は口を噤んだままだった。
それ以上の追求は許さないほとけの雰囲気に、ないこは困惑したまま小さく頷いた。
「じゃあ、それで行こっか」
ないこの言葉に、全員が一斉に立ち上がる。
「ほとけ、お前なぁ…」
顔を寄せて抗議する口調で言うと、あいつは素知らぬ顔でパソコンをしまい始めた。
「いふくんはないちゃんに甘いからね。任せておけないもん」
僕がないちゃんを見張る、と周りに聞こえない程度の声で言って、ほとけは先にリビングを出て行った。
あにきが運転する車は大きめのワゴンで、必要に応じて後部座席がフラットになるタイプだった。
今は座席を出した状態でそこに乗り込む。
そのまま出発しようとした頃になって、助手席にりうらが飛びこんできた。
「りうら! お前休んどけって…」
言いかけたあにきの言葉を、シートベルトを締めながら遮る。
「あにきと一緒に車待機するだけだよ。それくらいなら大丈夫」
昨日の今日ですぐに回復するわけがない。
だけど言い出したら頑固な一面がある最年少は、譲る気なんてないように助手席に居座った。
「ほんまに車で大人しくしとれよ」
半ば呆れたようなあにきの言葉に、首を竦めて笑う。
「刀持ってきてないし、今日は後方支援に回るよ」
言いながらりうらはイヤホンを耳につけた。
この後俺たちと連絡を取るための通信機に繋いでいる。
「じゃあ出発するぞー」
任務に向かうとは思えないようなあにきの間延びした声を合図に、車は廃病院へと向かった。
目的のその病院は、辺鄙な場所にあった。
山の中…というほどではないけれど、街からは相当離れた場所にある。
それでも昔は繁盛していたんだろう。
敷地は広大で、廃れたとはいえ建物自体も相当な大きさだった。
4階建て、地下まであるとなると病床数も多かったに違いない。
「いむくん、なんか昨日から様子おかしない?」
予定通り裏口に待機し、ないこたちからの合図を待っているときにしょにだがふとそんなことを言った。
「昨日からなんか難しい顔しとるし。変なこと聞いてくるし」
「変なこと?」
「この中に裏切り者がおったらどうする?って」
しょにだはそう続けて、そのときのことを思い出したのか首を捻りながら息をつく。
「何でそんなこと言い出したんやろ」
「…この前の作戦、完全に敵に読まれとったんやろ? 疑心暗鬼になっとるだけちゃう?」
「…うーん…」
納得いかないと言わんばかりの様子で、しょにだは胸の前で両腕を組んだ。
「まぁいいや。帰ったらちゃんと話してみる」
「…ん、そうやな」
俺が一つ頷いて応じたときだった。
ドゴォォンと、遠くで爆弾が爆ぜる音がする。
「始まった」
しょにだの言葉に、「行くか」と声を返しながら俺は左手にブラスターを構えた。
正面側で続く爆弾音。
絶え間なく響くそれに、ないこたちが囮としての役割を果たしていることが分かる。
裏口から侵入し、頭に入れてある地図をなぞりながら地下をひたすら目指す。
恐らくここの連中はほとんどが正面玄関側の騒動に回っているはずだ。
長い間使われずに残されたその廃病院は、もう消毒や薬品といった病院らしい匂いはしなかった。
代わりに黴臭いツンとした悪臭が鼻をつく。
思わず眉を寄せて、それでも足早に長い廊下を駆け抜けた。
足音はできるだけ立てないようにして。
奥に向かう途中の階段を、一気に駆け下りる。
隣でしょにだはまるで名前を全身で表すように、大きくジャンプして飛び下りた。
外ではまだ爆弾の音が響いている。
…あの悪趣味ボマー、今度は何個仕込んだんだ。
思わず苦笑いが漏れたのが分かったのか、しょにだも同じようにふふっと笑った。
「…それにしても…」
廊下を駆け抜けながら、しょにだはふと口火を切り直す。
「順調すぎん? こんなに誰もおらんことある?」
そう。そこがひっかかる。
いくら正面側が囮になっていると言っても、大事なデータを管理している部屋をこうも手薄にするだろうか?
「まぁ戦闘にならんならそれに越したことないけど」
グローブとナックルダスターを手にはめ直しながら、しょにだは小さく息をつきながら言った。
あっという間にたどり着いた地下最奥の部屋。
そこは当時霊安室だったらしく、部屋の前のプレートの字が掠れて残されていた。
元霊安室を1番大事なデータ管理部屋にするとは恐れ入る。
「は、悪趣味」
漏れた言葉はしょにだの耳にも届かず虚空に消えた。
ひんやりと、一段と空気が冷えた気がする。
横開きの扉をゆっくりと開くと、そこには長い机とコンピューターを始め、大げさなほどの周辺機材が置かれていた。
ベッドなど、当時の霊安室を彷彿とさせるようなものは一つも残っていない。
警戒はしていたがここにも誰もいないようだ。
まっすぐにコンピューターに向かい、俺はそれを立ち上げた。
USBを差し、必要なデータをざっと目視で判断する。
複数のフォルダをまとめてコピーし始める間も、しょにだは室内を警戒して回っていた。
「こんなうまくいく?」
まだ信じられないような表情で、しょにだが呟く。
…その刹那だった。
「…!」
フォルダをコピーしていた画面が、その次の瞬間には真っ赤に染まり警告音を響かせた。
ビービーと絶え間なく鳴るエラー音。
不快以外のなにものでもないそれに、しょにだが驚いて振り返る。
「どしたん!?」
「ダミーや!」
その可能性はもちろん考えていないわけじゃなかった。
ただ予想していなかったのは、エラー音と共にもう一つ高音が鳴り響いていること。
「しょにだ! 伏せろ!」
「え?」
驚いて目を丸くするしょにだを抱えて、俺は地面を蹴った。
2人で床に伏す形でなだれこむ。
「!」
高い音が更に速くなった後、機材周りの机から爆風が上がった。
ドォンと鼓膜が破れそうな音を立てて、そこに設置されていたらしい爆弾が爆発する。
しょにだに覆いかぶさるようにしてやり過ごそうとしたけれど、直撃は免れてもバラバラと粉塵と破片を浴びた。
「まろちゃん、大丈夫!?」
ゆっくりと手を離すと、しょにだが慌てて立ち上がりながら俺を見上げる。
互いにゲホゴホと咳き込んだ。
「何とか」
微かに笑って応じたけれど、顔や手を何箇所か切ったらしく血がポタポタと落ちる。
「え、全然大丈夫ちゃうやん!」
「そんなことよりとりあえず出るぞ。データがない以上、ここにおってもしゃあない」
ぐいと頬の血を拭いながら、俺はしょにだの腕を掴んで出口の方へ引っ張った。
通信機で外に連絡しようとしたけれど、地下だからか遮断されている。
高性能のものを用意したはずなのに、まったく使えない。
チッと小さく舌打ちをして部屋を出ようとした…まさにそのときだった。
「……」
「…そら、そうなるわな」
廊下には十人ほどの黒服の男が待ち構えていた。
吐息を漏らし、前を向いたまましょにだに声をかける。
「飛び道具系は?」
「見たところおらなそう」
「それなら速攻で抜けよう。全員相手になんてしとられん」
「りょーかい」
後ろは窓一つない爆発した部屋。
前に進むしか道はない。
声で合図をするわけでもなかったけれど、俺としょにだは同時に地面を蹴った。
鉄パイプやらナイフやらを持った男たちが立ち塞がる。
俺はその手前の連中にブラスターの銃口を向けた。
ナイフをクルリと持ち直すその手をめがけ、連続してトリガーを引く。
「…っ」
バシュッと音を立てて火を吹いた。
武器を取り落としたそいつの顔面に足を振り上げる。
ブーツの踵がめり込み、頬骨が折れる音がした。
「…えっぐ」
苦笑いを浮かべて、しょにだは隣で目の前の男に手を伸ばす。
ぴょんと軽く飛び上がり、その両肩に手を着いた。
そのまま軽々と向こう側へ向けて空中で前転する。
着地するかと見せかけながら、踏み台にした男をさらに足蹴にして後方に吹っ飛ばした。
鳴り響くエラー音は更に加速し大きくなる。
このままじゃ車に戻るまでに敵の数は増え続けるに違いない。
残された時間の少なさに舌打ちをしつつ、俺はしょにだを連れてそのまま走り出した。
男たちを容易に抜かしはしたが、後ろから怒鳴りながら追いかけてくる。
そのしつこさに、俺は自分のウェストポーチに手を伸ばした。
中から取り出したのは手の平に収まるくらいの手榴弾。
先端についたピンを歯で勢いよく抜く。そのまま後方の集団の足元へ投げた。
「…!」
轟くような爆発音と共に、次の瞬間には連中の悲痛な叫び声が響いた。
その騒ぎを無視するようにして階段を上がった先は、道が2つに分かれていた。
1つは言わずもがな自分たちが来た道だが、その奥側からまた敵の足音が近づいてきているのが聞こえる。
「まろちゃん、こっち行こ!」
先を行きかけていたしょにだが、来た道とは違う通路で手招きする。
少し遠回りになるが仕方がない。
こっちの道でも外に出られることは地図で確認済だ。
「そこの窓から出よう!」
外にさえ出られれば、きっとあにきと合流できる。
異変には気づいているだろうから、少し離れたところで待機していた車をギリギリまで近づけておいてくれるはずだ。
しょにだが言いながら、勢いよく飛び出ようと窓枠に手をかけた。
乗り越えようとしたその瞬間、俺は目の前でパンパンと乾いた音が連続して響くのを聞いた。
「…!」
「初兎!!」
俺が叫ぶと同時に、しょにだの体がグラリと揺れる。
後ろにはいつの間にか追いついてきていた影がいくつもあって、今度の連中は銃を手にしていた。
支えることができなくなったしょにだの体は、窓枠から向こう側へズルリと落ちる。
1階だから高さはないが、数か所撃たれたらしいあいつは受け身を取ることもできなかった。
「…くそっ」
ドサッとしょにだの体が地面に落ちる音がした。
けれどすぐにどうすることもできず、俺は後ろに迫る連中と対峙するしかなかった。
ブラスターを構えてはいるが、そんな俺を取り囲んだ奴らは全員銃をこちらに向けている。
一歩でも動けば蜂の巣にされるだろう。
額から滲んだ冷や汗が頬を滑り下りていった。
その時、耳につけていたイヤホンからザザっと雑音が漏れ聞こえた。
さっきまでは地下にいたせいか全く使えなかったのに。
地上に出たことで音が届くようになったのかもしれない。
『…まろ、3つ数えたら目閉じて窓から外に出て』
突如イヤホンから聞こえてきた低い声。
少し掠れたその声はないこのもので、俺は思わず目を見開いた。
(1…)
迷っているヒマも驚いているヒマもない。
すぐにカウントを始めた俺は、ブラスターを構えた手はそのまま、右手は後ろで窓枠にそっと触れた。
(2…)
にじり寄ってくる連中を牽制するように、銃口は向けたまま。
(3!!)
心の中でスリーカウントを終えると同時に、俺はぐっと目を固く閉じた。
窓枠についた右手を支えにして、ひらりと外へ飛び出す。
何が起こったかは分からなかったけれど、見えないなりに何とか地面に着地した瞬間にグイと頭を引っ張られた。
突如後方で響く、雷鳴のような轟き。
驚いて目を開けてしまった俺の視界が、一瞬で少しだけ暗くなる。
薄く色のついたゴーグルをつけられたのだと気づいて、俺は目線を上げた。
「まろ、急いで!」
俺と同じようにゴーグルを着けたないこがそこにいた。急かすように言葉で背を押してくる。
一瞬だけ後ろを振り返ると、連中はうめきながら目や耳を押さえていた。
「閃光弾…?」
目を見開いた俺に返事をしないまま、ないこは地面に横たわったままのしょにだの体を抱き上げる。
「早く!」
細身のないこより、きっと俺の方が力が強い。
しょにだの体を引き受けて、俺はないこに続いて走り出した。