橙桃です。本人様とは関係ありません。
地雷だよって方、通報される方は見ないようにしてください。
※紫くんが出て来ています。
2人の過去の描写がありますが事実とは異なります。
『……………君はまだ咲いてないだけ。今は蕾を一生懸命に膨らまそうとしているんだ。だから大丈夫。心配しなくていい、きっといつか綺麗な花が咲くはずだから_______』
橙side
黄「そろそろ桜の季節ですね〜」
青「あー確かに、まだ少し寒いけど。」
紫「え?!なになに!皆でお花見行くー?」
赤「そんな話して無いよ紫ーくん!!」
会議が終わり、青の家でゲーム大会が開催された日曜日。
突然出て来た季節の話題がうちのリーダーの思いつきを発動させてしまったみたいだ。
紫「えー?皆行きたくないの〜?俺、お花見行ったことないからめちゃくちゃ行きたいんだけど!!あ、動画も撮っちゃう?」
桃「行きたくないって訳じゃないけど…」
橙「桃ちゃんは面倒くさいだけやからなw」
桃「ちょっと、そんなこと言ってないんだけど。」
ぷく〜とほっぺを膨らまして睨んでくる桃。同じメンバーでもあり、大切な恋人でもある。
1つ1つの仕草が可愛くてしょうがない。
今も睨んできているがそれすらも愛おしく、頭を撫でると?マークを浮かべていた。
青「はいはい、ストップストップ。2人だけの空間入んないでくださーい。」
桃「入ってねぇよ。」
黄「思いっきり入ってましたよ。」
紫「桃くん!『行きたくないって訳じゃないけど』ってどういう意味?!もしかして……何かあったの?!」
桃「何にもねぇから!!…面倒くさいだけだよ。」
赤「橙の当たってたじゃんwww」
紫「行こーよー!!」
橙「分かった分かったw行こうな?」
やったー!とはしゃぐ紫ーくんを見て皆が笑っている中、俯いている桃に気が付き心配になる。すぐに声をかける。勿論皆には聞こえない声で。
橙「大丈夫?そんなに嫌やった?」
桃「ううん…大丈夫ッ!」
笑顔が引きつっていて我慢しているのが分かる。
橙「も、桃ちゃっ…」
桃「よーし!こうなったら準備しなきゃな!」
赤「えーなに、急にやる気じゃん。」
青「ちょっと〜これ以上社長のテンション上げないでよ〜」
紫ーくんが言っていたように本当に何かあったのだろうか。
余り本心を伝えてくれない桃だから、俺にも話してくれることは無さそうで。彼氏としてもっと何でも話せて、支えてあげられる立場になりたい。その思いは日に日に増すばかりだった。
黄「お花見と言っても、ここら辺で出来る所ってあるんでしょうか?」
赤「あーそういえば、余り見かけないよね」
橙「………俺、1箇所だけ知ってるで。確か近くだった気がする…」
青「マジ?何で知ってんの?あ、もしかして……お花見上級者?」
橙「何やねんお花見上級者って。…高校を卒業したぐらいの時に1度来たことがあったんよ。」
紫「え?でもその頃って大阪に居たんじゃなかったっけ」
橙「家族と卒業旅行みたいな感じで東京に来とったんよ」
桃「…へー」
そう、覚えている。7年前に1度東京に来た際に見た桜。
そして“あの人”。
父「橙、少しここのベンチで待っていてくれんか?」
母「そこのお店に用があるの。すぐに戻って来るから」
橙「、分かった」
橙「………………桜だ…」
きれいだなぁ…
高校を卒業したが余り気持ちが晴れない。第1希望の大学に受かり普通なら友達や家族と沢山遊んだり、出掛けたりして最高の春の筈だった。でも、俺の心には不安しかなくて。
大学に受かったからってやりたい事は何ひとつ無い。
………………俺ってなんの為に生きてるんやろ。
「…俺ってなんの為に生きてるんだろッ……」
橙「えっ?…」
?「ハッ、…ッごめんなさい。聞こえちゃいました?」
俺の座っている隣のベンチでボソッと呟かれたその言葉。俺の気持ちと全く同じ事を言っていることに驚いてしまい、思わず声に出てしまった。
?「今のは聞かなかったことにして…ね?」
その人はにこっと笑ってそう言った。
黒髪に映える青空のような瑠璃色の瞳。顔が整っていてモデルじゃ無いか疑うレベルのかっこよさだった。そして、何よりも声がかっこいい。これがイケボと言うやつだろう。
こんなにかっこいい人でもそう思うんやなととても意外だった。
橙「……人生楽しくないんですか?」
?「えっ、…そうだなぁ…楽しい、とは言えないかなぁッ…あはは、」
橙「……俺、分かんないんです。行きたい大学に受かった筈なのに全く心が晴れなくて。やりたい事が分からなくて。」
?「………そっか…」
橙「………ごめんなさい、急に。でも俺も丁度なんで生きてるんやろって考えていたから…」
?「………………俺だって、分かんないよ。俺さ、芝居の練習してるんだ。養成所に行ってるんだけどね、いくら頑張っても実力が無くて…将来このままでいいのかって、自分がやりたかった事はこんな事じゃないっ…!って思って。…でも、どうすることも出来ないんだよな…」
橙「…お兄さんみたいな人でも駄目なんですか。貴方の声、俺は好きですけどね」
?「っ、!………お世辞でも嬉しいよ、ありがとうッ…ねぇ、君はまだこれからだよ」
橙「え………?」
?「………………君はまだ咲いてないだけ。今は蕾を一生懸命膨らまそうとしているんだ。だから大丈夫。心配しなくていい、きっといつか綺麗な花が咲くはずだから______」
橙「っ!!!!!」
?「なんて、俺が言える事じゃないけど…w……………お互い頑張ろう。少しでも人生楽しめるように…。」
それじゃあと手を振り歩き出した彼。
橙「ッ待って!!!!!!」
?「ん…?」
橙「……っ本当やから!!声が好きって言ったの…!本当やから!!お世辞やない!!!だから…今やってる事はきっと、無駄にはならないと思うっ…!!!!お兄さんもいつか花が咲きますように…!!」
?「!!!!………ありがとう!!」
あの人は元気にしているだろうか。
あれから大学に行って、ネットの世界に入り今ではこうしてすとぷりのメンバーとして活動している。
あの人の言葉が今でも大切に頭に刻んである。俺は今、花を咲かせることは出来ているだろうか。
紫「じゃあ、そこに決まりっ!!いつ行く?!」
青「落ち着いてよ紫ーくんw」
黄「まだ桜が咲き始めている所は少ないと思いますし、4月になったら行きましょう!」
赤「さんせーい!!!」
桃「………楽しみだな橙」
橙「…うん、そうやな」
紫「わぁぁぁ!!!」
青「めっちゃ綺麗じゃん!」
予定を立ててから数週間。見事に桜が咲き誇り、メンバー皆であの桜の場所にやって来た。
黄「こんな近くにお花見場所があったなんて!」
赤「やっぱ人いるねー」
桃「…………そうだな」
橙「空いてる所あったからシート敷きに行こう」
紫「それでは…カンパーイ!!」
「「「「「カンパーイ!」」」」」
青「っ…ぷはぁっ!!ビール最っっ高!!」
橙「ほんまやなぁ」
赤「んんひー!!」
桃「何言ってんだよw」
赤「ゴクッおいしー!!」
黄「桃くんの作ったお弁当すごい美味しいです!!」
桃「はいはいwありがとさん」
桜を見れてご満悦の紫ーくん、ビールを飲み早速テンションが上がってきた青、俺の最愛の彼女が作ったオムライスおにぎりを頬張る赤と黄。そして隣で桜よりも綺麗で、可愛らしい笑顔を浮かべる桃。
そんな皆とこうやって時を過ごしているとあぁ幸せだなぁと実感する。
紫「あっ!飲み物無くなっちゃった!」
黄「そこの店で買いましょうか!」
青「僕トイレ〜」
赤「あ、俺も行く!」
桃「いってら」
橙「お留守番は任せとき〜!」
急に静かになり、少しだけの2人の時間。
俺は桃の足に頭を乗せ、桃を見上げる。
桜が背景になっている事もあり一段と綺麗に見えた。
桃「なに当然のように膝枕やってんだよ。」
橙「やって桃ちゃんと2人きりやもん。桃ちゃんを堪能したい」
桃「きも…、まぁ別に良いけど//」
橙「………好き」
桃「////俺も、好きだよ」
橙「なぁ…桃ちゃん、どうして来るの嫌やったん?」
桃「はぁ?嫌じゃねえよ」
橙「じゃあどうして暗い顔してたん?本当のこと言ってや……?」
桃「…………思い出すんだよ」
橙「思い…出す………?」
桃「俺、昔ここに来たことあってさ。その時に大学に入る前の男の子に会ったんだよ。」
橙「…………」
桃「俺、その時さ養成所に通ってて凄く苦しい日々を過ごしてたんだ。」
桃はそう言うと公園から見える海を指差した。
桃「俺…あの日…あの海で、タヒのうとしたんだ。」
橙「?!?!ッそうやったん…」
桃「うん、でも怖くなっちゃって。生きたくないのにタヒにたくなくて。本当に弱虫だったんだ。でも、あの日その男の子にさ『声が好き』って言われてさ。最初はお世辞かと思ったんだ。でも本当だったみたい。俺は全く偉い人でも凄い人でもないのに彼には幸せになってほしくて言ったんだ。」
あれ…もしかして……
俺は桃が言葉を発すと同時に口を開いた。
「「君はまだ咲いてないだけ。今は蕾を一生懸命膨らまそうとしているんだ。だから大丈夫。心配しなくていい、きっといつか綺麗な花が咲くはずだから」」
桃「………え?」
橙「………桃ちゃんやったん?あの時のお兄さん」
桃「え?どういうこと?橙……だったの…?」
橙「綺麗やなって思ったんよ顔も、瞳も、そして声も。そうや、今考えたら桃ちゃんや。なんで今まで気づかなかったんやろ…w……ッ?」
俺の頬に彼の目から溢れた雫がぽつりぽつりと降ってくる
桃「橙っ…橙だったんだ………俺をすくってくれたの…橙だったんだぁ ポロポロッ」
橙「桃ちゃん…」
桃「グスッ俺ねっ嫌だったの、ここに来たらタヒのうとしてたことっ、思い出すからっ…俺と居てくれる皆、橙に申し訳無いと思ったから…ポロッ」
橙「桃ちゃん、あのな?俺、桃ちゃんに救われたんやで?」
桃「へ…?救われ、たの……?」
橙「うん。自分がなにをやりたいのか分からないとき、あの言葉の意味をふと考えたんよ。桃ちゃんが言った『花』は『幸せ』ってことじゃないかって。俺は幸せになる為に何をすればええやろって考えて、色んな事をし始めてそんな中で見つけたネットの世界。すとぷりと出会って、……………桃ちゃんと出会って。今がある。桃ちゃん…桃ちゃんが俺を導いてくれたんよ。」
桃「ポロポロッポロッ…そっかぁ…俺、橙を救えたんだっ…俺も、橙に救われたんだよ。橙が、俺の声を好きって言ってくれたからもう少し頑張ろうって思えた。養成所を辞めて、自分の声を届けられるネットの世界を見つけて。すとぷりと出会って、橙出会った。ね?俺も橙のお陰で今があるんだよっ…」
桃はそう言って笑った。
なんだ…俺らはお互いに救われたんだ。
青「あー!!!!!!またイチャイチャしてた!」
黄「ちょっと〜見せつけは良くないですよ」
赤「ほんとほんと〜………って!」
「「「「なんで2人とも泣いてるの?!」」」」
赤「楽しかった!!」
紫「ねー!また行こう!!」
青「楽しかったけど…そこのバカップルが号泣してた事が驚き過ぎたんだけど」
橙「あははwごめんごめん」
黄「どうして泣いてたんですか?」
桃「ん〜ナイショ」
青「え〜そこは言えよ」
橙「2人だけの秘密やから」
赤「うわ、ムカつく」
紫「そこのカップル置いてって皆で飲みに行こー!」
黄「そう言ったって紫ーくんお酒飲めませんけどねw」
全員「wwwww」
桃「橙…俺の花、咲いたよ。」
橙「うん…俺も花、咲いたで。」
花咲く季節。貴方の幸せも花咲きますように。
コメント
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目から水が100リットル出て来た((それは死んでる
またまた発想が天才すぎる() めちゃくちゃ季節感ある… こうゆう小説なんか綺麗だから好き(?) 感動したよ…泣きそうになったよ… 言葉のチョイス神すぎる… やっぱ6人は安心するなぁ…、