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ケーキバース
キッチンには、甘い匂いが広がっていた。
オーブンの前で、ないこが落ち着かない様子で立っている。
「…焼けた、かな」
「もうちょいちゃう?」
まろは後ろから覗き込みながら、
軽い声で言った。
今日は、ないこが初めてケーキを焼いた日だった
「失敗してたら、どうしよ」
「失敗でもええやろ」
「よくない…」
ないこはぎゅっとエプロンの端を握る。
「……もし、変な味やったら」
「ほな、俺が全部食う」
「……え?」
「フォークやし。責任取るわ」
オーブンが鳴り、
二人でケーキを取り出す。
見た目は、普通。
むしろ、少し歪んでいる。
「……どうぞ」
まろはそれを受け取って、
一口だけ、慎重に食べる。
「…」
「どう?」
「……」
まろは少しだけ考えるような顔をしてから、言った。
「思ってたより、優しい味」
「……優しい?」
「甘すぎへんし、食べやすいな 」
フォークを置いて、続ける。
「ないこみたい」
「……食べられるの、怖かった?
「…違う、」
「俺の方がこのケーキよりも甘い、よ?」
真っ赤な顔で言われたら俺は理性なんて忘れてしまう。だから気づかないうちにないこの唇を奪っていた
「….ぁ、甘かった?」
「あぁ、もっと食べたくなる」
「…..いいよ、まろとキスするの好きだし」
まろは一瞬目を見開いて、
それから、静かに笑った。
「それ、 フォークとしては一番嬉しいわ」
甘さとは愛すらも溶かしてしまう
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