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私の呪いがやばいと言うことを知った後、一応祓ってみようという事になった。
「ねぇ、これ着る意味ある?」
「衣装にもその人を表すものがあるからね。浴衣似合ってるから大丈夫」
「似合ってるか似合ってないかは正直どうでもいい…」
「おい、始めるぞ」
2人は袴姿に何枚も羽織っている。私より着込んで暑そうだ。でも、それを感じさせないスっと静かな顔は誰もが惚れてしまいそうな程綺麗だった。
悠磨が鈴を鳴らし、線香を焚き、祝詞を復唱する。たまに柊磨が私に線香の煙をかけ、背中を叩いてくる。これが痛いが、何かがスっと抜けているような気もする。
30分ぐらい繰り返した後、悠磨が祝詞をやめ、私を見る。
「随分と魁ちゃんが大事みたいだな」
「悠磨、これ以上は魁ちゃんがもたない」
何やらこれ以上続けるか続けまいか話し合っている様子だった。まだ呪いは離れていないということになる。
「魁ちゃん。現状を説明するね」
悠磨と柊磨私の前に座り、話し始める。
「呪いは祓えなかった。予想以上に執着心が強い。15年間も一緒にいるから当たり前と言えばそうなんだけど」
「これ以上お祓いを続ければお前の身が持たねぇ。負荷がかかりすぎるからな」
つまりこの2人が聞きたいのは、私の身が持たなくてもお祓いを続けるか、このままやめるか、ということだ。祓ってもらう本人に聞きたいのだろう。
正直、このまま一緒にいるのも怖い。私がこのまま呪いに染まり悠磨や柊磨に危害を加えてしまうことが1番嫌だ。でも、お祓いを続けて呪いが祓えるかと言われたら分からないのだろう。
「もういいよ。祓わなくて」
「呪いの思うつぼだぞ。それでもいいか?」
「大丈夫。2人がいれば私が周りに危害を加えたとき、ちゃんとやってくれるでしょ?」
私の言葉に、2人は顔を見合わせる。大きな瞳が落ちてしまいそうなほど見開かれた。
「その時になったら、ちゃんとやる。それまでに俺たちがそうならない方法を見つけておく」
「うん。ありがとう」