海街心蔵は住んでるアパートへと帰宅した。
海街心蔵の二歳年上の妹、海街深海はいつものようにリビングでぽろぽろと
泣いていた。
二歳年上なら姉なのではないかと思う読者も
いると思うが、これには訳がある。
ふかみは少し頭の足らないこだった。
ふかみは人の名前とごめんなさいという
言葉しか、話すことのできないこだったのだ。
「心ちゃん、ごめんなさい。ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい
。ごめんなさい。ごめんなさい。」
海街は溜め息をついた。ふかみのせいで海街
は、気分的には毎日がお通夜だった。
海街は疲れていたので早く寝ようと
思った。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
ごめんなさいを繰り返す深海に溜め息をつき、海街心蔵は能力《深海シティーアンダーグラウンド》で深海と一緒に異空間へと
潜り込んだ。
【小さい頃家族で行った砂浜】
海街心蔵は歌を唄った。この能力をわざわざ
使ったのは、親に聞かれるのが恥ずかしかったからだ。
海街の歌声は酷く平坦で、凪のように落ち着いていた。
「心ちゃん、心ちゃん、心ちゃん、心ちゃん
心ちゃん。」
ふかみはしばらくぽろぽろと涙をながし、
四曲歌った頃にようやく泣き止んだ。
海街心蔵は溜め息を吐き、さっさと自分の部屋に戻った。
海街心蔵はとても耳がよかったので窓越しに聞こえる車の音やら誰かしらの怒鳴り声やらバイクの音やらに イライラした。
海街心蔵は《深海シティアンダーグラウンド》で異空間へと潜り込んだ。
彼の《深海シティアンダーグラウンド》は
一人になりたいという、彼の切実な願いの
発露だった。
彼は高校を卒業したら米津町を離れ、 どっかの知らない街でバイトでもしながら 生きていこうと考えながら目を閉じ、 眠りについたことで、能力を解除した。
(最後まで読んでくださり、ありがとうございました。)
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