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天の川は渡れない
当たり前のことを当たり前と処理し始めてしまったのは
いつのことだったか
緑が視界の7割を埋める田舎道を歩く
じりじりと照り付ける太陽がアスファルトに反射して
まるでトースター、いや、オーブンレンジのようだ。
頭が煮えてしまいそうなほどの蒸し暑さ
日本の夏はおかしいと叫ぶ気力すらないほどだ
ここ、天崎市、鏡が原は冷涼な気候から避暑地として有名な場所だ
毎年夏、現代社会の嫌な暑さから逃れようと、多くの人がすぐそこの望月山に訪れる
避暑地といえど、山の下まで降りればそこは盆地
ここ年々はさらに暑さを増していて
どれくらいかというと、謎に暑さに対して自信を持ったお年寄りたちが
一日に数人搬送されるくらいには、だ。
車がすぐ横を通り抜ける
空調が聞いているであろう車内を恨めしく思いながら
排気ガスでさらに温まった空気を吸い込んだ
吹く風が涼しかろうと、すぐにまとわりつく熱気に気おされてしまう
これが冬に追い求めいていた夏の姿だっただろうか
正直、もっとセミが鳴いているくらいの軽いイメージだった
やっとの思いでたどり着いた家の引き戸を開け
誰もいない家に声をかけた
日が照ってないだけ幾分かましだが、
家の中はもはやサウナ状態だった
暑さで嫌になった分、投げ捨てるように玄関に置いた鞄を目の端でとらえながら
部屋のリモコンを手に取り、少し古ぼけたラバー製のスイッチを押す
電気代のことを考えるのは一瞬だけ
電源を入れれば、すぐに冷風が身を包む
止まっていた汗が流れだし、机にシミをつけた
そのまま椅子に座って、しばらく涼んでいると思考もだんだんとクリアになってきた
今はここまで。