「赤魔法:紅蓮炎舞(ぐれんえんぶ)!」
セヴランの手から強力な赤魔法が詠唱され、6匹の炎の竜がサンドルに向かって攻撃を仕掛けた。
「フフ…まだわからないのか。人間は本当に愚かな生き物だな。」
サンドルは嬉しそうな表情で言った。
「灰魔法:魔法却下(ロストマジック)!」
6匹の炎の竜は空しく一瞬にしてかき消された。
「バ、馬鹿な…。」
「わしの極大魔法じゃぞ!」
「ふん、こんな程度が極大だと、笑わせるなよ人間風情が…。」
「アリスなら大陸一つは吹き飛ばすぞ!それくらいになって初めて極大っていうんだよ。」
余りにもスケール違いの話をするサンドルに誰一人ついていけなかった。
「あ~もう一人一人壊すのも面倒になってきた。」
「これで一網打尽にして終わるわ。」
そう言って、サンドルは魔法を唱えた。
「灰魔法:|灰色の絨毯《ロストカーペット》!」
広間全体が豪華な絨毯から一変して灰色の絨毯に変わった、その瞬間次々と冒険者が倒れていった。
「なんだこれは…?」
「この魔法はこの絨毯にいる者の生命力を徐々に奪っていくものだ。」
「体力の少ないものから死んでいくから楽しいんだ。」
バタバタと冒険者が倒れていく。
「セヴラン!エリア!」
セヴランとエリアは何とか耐えているようだった。
「わしはさっきの魔法でもうダメそうじゃ…!」
「フラム、エリア後は任せた!絶対に生き残るんじゃ…!」
そう言ってセヴランは倒れた。
「セヴラーーーーーーン!!」
フラムは倒れゆく仲間を見て叫んだ。
「エリア、エリア!!倒れるな!耐えろ!」
エリアももう持ちそうにないみたいだ。
その時、急にサンドルは魔法を停止させた。
「エリア!エリア!」
今にも倒れそうになっているエリアの元にフラムは駆け寄る。
「死ぬな!死ぬなよ!?」
フラムは泣きながら、何度も何度も叫ぶが、その叫びも空しくエリアの意識は今にも消えていきそうになる。
そんなフラムとエリアにサンドルが近寄ってくる。
「その女がそんなに大事か?」
そうサンドルは質問した。
「頼む!エリアだけは殺さないでくれ!頼むから!」
「フフフ…。親友の仇である俺様に対して命乞いか…。やはり人間は面白いな。」
エリアを殺さないようにとフラムは頭を下げて希った。
「なら貴様にはチャンスをやろう。」
サンドラは不敵な笑みを浮かべ、悪魔の提案をしてきた。
「チャンスだと…?」
「一年だ!一年以内にオレにもう一度挑め!」
「貴様は他の人間とは違って、天賦の才に恵まれているようだ。」
「一年以内にオレを殺せるくらい強くなってオレを楽しませてくれるなら、その女は生かしておいてやろう。」
そう言って、今にも死にそうな虫の息のエリアの胸倉を掴んで持ち上げた。
「な、何をする!?」
「フフ…灰魔法:意識喪失(ロストセンス)!」
何かしらの魔法を唱えられたエリアはぐったりと死んだように倒れた。
「貴様!何をした!?」
「な~にこの小娘を殺したりはしていないさ。」
「ただちょっと眠っているだけだ。」
「今の魔法は俺様が死なない限り解除されることはない。」
「そして、コイツを掛けられた者は一年でじっくりと時間を掛け死ぬ。」
「つまり、一年以内に俺様を殺せばこの娘は生きることができる。」
「やはり、貴様は悪魔だ!」
「悪魔だと…?俺様は鬼人族だ。鬼だぞ。」
「フラムさん!!!」
とそこへ聞き覚えのある声が聞こえた。
「ススム君!生きていたのか!」
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