絵が一生終わらない、こんちわすまつりです!
新しいキャラ募が始まりましたね。これが投稿された頃には、終わってるかもしれません。
次の物語もタヨキミに似た形になるとは思いますが、ナニトゾよろしくお願いします!!
ていうかそんなこと言ってるばあいではありません。タヨキミが優先です。。
雑談が短い!くそ、字数稼ぎがあああ!!
行ってらっしゃい!!
異様に静まりかえった、キビアイアジト。
いつもの玉座にユヅルは座っていなく、かわりに、部屋にはハルカとルナがいた。
「ねえ、ルナ………イヌイ、いつぐらいに帰ってくるかな」
ハルカが、不安そうに呟く。
そんなハルカを一瞥して、ルナはタバコを吸いながら「知らね」と一言。
「まぁ、そのうち帰ってくるだろ」
「ん~…………そうだと、いいけど………」
明らかに落ち込むハルカ。無理もなかった。
ソラに励ましてもらったとはいえ、その場の一言で人が救えたら、それは大したものだ。
ましてや、ハルカにとってイヌイとは、特別な存在である。そう簡単に救えてたまるか。
「イヌイ、ひとりで、何やってるのかな」
「アイツのことだ、ヤク不足で凶悪化してんだろ」
「………あーあ、ハルカがいれば、イヌイが体壊さない程度に、ちゃんと処方してあげるのに」
「体が壊れるから違法ぁんだろおが………」
ルナが苦笑した、そのとき。
会議室のドアが、ゆっくりと開いた。
「………ただいま、帰りました」
ハルカがドアの方向を振り向く。
そこに居たのは、トオン。少し後ろに、ヒトネも見えた。
「…………イヌイは?」
ルナの問いに、トオンは首を横に振る。
ハルカは、ゆっくりとため息をついた。
「………何やってんの、何がしたいの?弟じゃなくて、イヌイを連れてこいよ」
真っ直ぐトオンを見つめた眼は、とても鋭い。
「ねえ、いつまでお兄さん気取りしてるつもり?みんな、プライドなんてとっくに捨てたよ。トオンもヒトネも、お前たちが今存在してる理由は、上に尽くすため。イヌイを探してこれないお前らに価値はないんだよ、わかる?」
今にもナイフを飛ばしそうなほど、殺気立ったハルカ。
そんなハルカに向かって、トオンは至って冷静に言い返した。
「………俺たちの存在価値を、お前の小さな価値観で、勝手に決めるな」
ヒトネを庇いながらも怯まないトオンに、ルナは思わず「正気か」ともらした。
すると先ほどまで怖い顔をしていたハルカが、急に笑顔になる。
そして容赦なく、言い放った。
「ルナ、ヒトネを殺せ。………できないって言うならお前を殺す」
それに、トオンが反応する。
「…………ヒトネは、死んでも守る」
ピリつく空気。ルナはハルカと双子を見渡してから、迷うこともなく言った。
「………わかった。ヒトネでもなんでも、殺してやるよ」
ひどく据わった目で、ルナは双子に近づく。
そして怯えるヒトネの顔を覗いて、表情ひとつ変えずに持ち上げた。
「…………ルナ」
トオンは動かず、ただ、ルナの顔を見つめる。
そんなトオンに、ルナは小さな声で耳打ちした。
「………任せとけ」
会議室の扉を閉じた瞬間、ヒトネがルナに抱きついた。
「なんで、助けてくれたの」
「なんでじゃねえよ。ホイホイ人殺しできるほどの度胸は、持ち合わせてねぇから」
ルナは離れようとしないヒトネを引きずって、二人の部屋の前までくる。
「おい、次は庇えねぇからな。殺されたくなけりゃ、帰る前にタヨキミでも国家でも潰してこい」
「………僕には、無理だよ。強くもなければ、度胸も才能も未来もない。トオンは強くて度胸があって才能もあって、あんなにかっこいいのに。ねえルナ、お前のその恵まれた能力で、僕のこと殺してくれよ」
ヒトネは無気力に、ルナの背中に顔をうずめた。
ルナはそんなヒトネの言葉を無視し、二人の部屋に入る。
生活感が溢れていて、若干、甘い匂いがする………ルナはヒトネをベッドに座らせると、その大きな手を、ヒトネの頭に置いた。
「お前は、よく頑張ってるよ。助けてやりたいけどさぁ、俺には無理なんだ。お前には、お前のために命まではってくれる、カッコいい兄貴がいるだろ………トオンは、今お前が「ない」っつったお前の未来のために頑張ってんだ。だからお前は、トオンを信じろ。そんで守ってやれ」
ヒトネが、顔をあげる。
見るとルナは、少しだけ、寂しそうな表情をしてた。
「………ルナ、ありがとう」
ルナは頷いて、部屋を出ていく。
廊下に出るとすぐそこに、ボロボロになったソラがいた。
ソラは肩で息をしながら、傷だらけのトオンを抱えている。
「………あ?どうした、ソラ」
ルナが訊くと、ソラは早口で答えた。
「ハルカが暴走して、今、セイサが無理して拘束してて………」
ソラはトオンを、ルナに押し付ける。
「俺はセイサの様子を見てくる。ルナはトオンの応急措置と、ヒトネのメンタルケアを頼む……ごめんな」
そう言って、ソラは走っていった。
「おっかねえなぁ、傷えぐいぞ………」
ルナはため息をついて、再度、二人の部屋のドアをあけた。
寒くて、風がとても強い夜だった。
雨の音、風の音、風に吹かれる森の音、そして風で軋む建物の音。
それに混じって今日は、弟の泣き声が聞こえていた。
「寒い、こわい…………」
一枚の薄い布団のなかで、ヒトネは、震えながらトオンに抱きつく。
トオンはヒトネの頭をなでて、相変わらずの低い声で言った。
「大丈夫だ、安心しろ」
ヒトネは毎晩泣いている。
元々高い声をさらに高くして、震えながら「こわい」と、俺に抱きついて。
いつもごめんな。あと少し、我慢してくれ。
キビアイに入る前から、ヒトネには、我慢ばっかりさせてきた。
表面上の笑顔で。俺以外の誰も、いや、俺さえも、本当のヒトネを知らない。
いつかヒトネが、自分のやりたいことを、やりたいようにできたら。
もうこわくないと言えるような明日を、俺が、つくってやれるような環境になったら。
今まで泣いたぶんだけ、我慢してきたぶんだけ、ヒトネがたくさん笑えるように───
考えてるうちに、隣から、寝息が聞こえた。
見るとヒトネが、気持ち良さそうに寝ている。
───目障りなんだよ、消えろよ!!
いいよね、可愛い弟がいて、みんなに好かれて!どうせ良い環境で育ってきたんだろうが!!なにが守るだよ、正義面してんじゃねえよ犯罪者が!!
イヌイ以外、みんなみんな消えちゃえばいいのに!!トオンもヒトネもルナも、カナタも!!
ハルカの叫び声が、まだ耳に残っている。めちゃくちゃだが、言ってる通りだ。
良い環境か悪い環境かで言えば、トオンは、良い環境で育ってきた。
そして自分も、人を殺めたことはないが、れっきとした犯罪者だ。
(それでも、俺は………)
正直なことを言うと、こわい。
これで失敗したら、今までなんとか確保してきた、自分たちの未来が怪しくなってしまう。
──でも、決めたんだ。
なにがあっても、ヒトネは俺が守る。絶対に、死んだとしても。
トオンは立ち上がり、寝巻きを脱いで隊服に着替える。
「……ごめん」
それだけ言い残して、トオンは部屋から出た。
「………裏切り者が、いると思うんだ」
就寝前。いきなり切り出したアキトに、みんなは驚いた顔をする。
「え、なんで?」
想定外だったのか、ソーユが珍しく疑問そうな表情で訊いた。
アキトは「おれも、信じたくはないけど……」と説明を始める。
「絶対に情報がもれてるだろ………一番おかしいのは、イヌイがセツナを連れてタヨキミアジトに来たことだ。瞬間移動の概要がわからないから絶対バレてるとは言えないけど、どう考えてもおかしい。ハルカもカエデの名前を知ってたらしいしな」
一同は黙った。
ソーユが誰が怪しいか、と辺りを見渡す。すると一人だけ、いないメンバーがいることに気づいた。
「あれ、ツキミさんとサユちゃんと姐さんたちは病院で……カナちゃんは?」
自分で口にしてから、ソーユははっとする。
その表情に、他のメンバーも目を見張った。
「え、カナタが裏切り者………ってこと?」
ユカリがまさか、とアキトを見る。
「………ああ、可能性は一番高いな。ハルカの親となると…………」
アキトは表情を濁した。
「………そんなわけ、ない!」
リオが突然、声をあげる。
「カナタ先輩に限って……あの人は、絶対にこの組織を裏切らない!カナタ先輩、言ってたんだ。「カナタにはどうしても救いたい、大事な人がいるんだ」って。わからないけど、きっとハルカのことだと思う………ハルカも、あくまで先輩とは別個体と言っていた」
リオの言葉に、みんなは「たしかに……」と頷いた。
と、ソーユが思い出したように言う。
「あ、ツキミさん、双子に「内通者はいるか」って訊かれてたって言ってなかった?」
「あぁ、言ってたな」
「………ここからは、完全にぼくの憶測だけど。もしかしてキビアイ側でも、『裏切り者』疑惑が浮かんだんじゃないかな。もしもタヨキミにもキビアイにも裏切り者がいるとして話すけど、敵対する2つの組織から一人ずつ裏切るなんて、変じゃない?」
ハテナを浮かべるみんなに、ソーユは「つまり」と人差し指を立てる。
「タヨキミの情報をキビアイに流し、キビアイの情報をタヨキミに流す……ダブルスパイがいるんじゃないいかな?」
ソーユの言葉に、アキトが反応した。
「まじか………てか、もしそうだとすると、この中にいることになるぞ」
「なんで?」
「タヨキミとキビアイは、とある理由で隊服が統一されてるんだ。ダブルスパイにとっては着替える必要がないから楽だろうけど………タヨキミ本部のこの廃工場は、国のトップシークレットだ。知ってるのは国のお偉い数人と、おれたちだけ。つまりだな、タヨキミ内部の情報をあれだけ引き出せているということは、タヨキミメンバーの中にキビアイと内通してる奴がいるってことになるだろ。実際あの隊服を着れるのは、タヨキミメンバーとキビアイメンバーだけだからな……国家に直接侵入してるとは考えにくい」
アキトの推理を聞いて、ソーユも頷く。
「しかもキビアイ側も、誰がスパイなのかわかってないっぽいから……どうやらタヨキミにもキビアイにも黙って、勝手にダブルスパイしてる馬鹿野郎がいるらしい。でもさぁ、冷静になってみて、考えにくいかな……タヨキミにはキビアイになにか因縁があったり、救いたい人がいたりすることが多いでしょ」
みんな、うーんと考え込んだ。
と、チェリーが声をあげる。
「これも、私の憶測ですが………ルナが、怪しいと思うんです。ルナは過去に、ルカさんを救っていて……あれがなければルカちゃんは再洗脳されていたので、にっ…いえ、ルナのあの行動は、その時の衝動にしては大きい気がして」
チェリーの喋りは途切れ途切れで、少し、苦しそうだった。
「うーん、言われてみれば、たしかに………でも情報によると、ルナはユヅルのオキニらしいけど」
「ユヅルに信頼されてるからこそ、できることがあるのではないでしょうか。あるいは、ユヅルもルナが裏切り者であることを知っていて、それを隠蔽しているとか………」
さすがに暴論すぎたのか、アキトが手で制止する。
するとそこで、サチが加勢した。
「実は、キビアイ内部でも、同じ話し合いがあったんだ。ハルカが急に、ルナは裏切り者だとか言い出してな」
セツナとルカが「そうなの?」と言うと、サチは頷く。
「ルナがルカを助けた件についてで、二人が揉めて……結局ボスがハルカを気絶させて終わったらしい。ボスはルナがしたことについて、「それだけか」程度で片付けたそうだ。そう考えると、チェリーが言ってることも、有り得るかと訊かれたら有り得るだろう。目的は不明だがな」
辺りは、静まった。
「……まあ、これもお偉いのほうに言って、調べてみるね。ルナについても頑張るよ……もう夜も遅いし、みんな寝よっか」
話し合いに終止符を打ったアキトに、みんなは頷く。
それぞれゾロゾロ、自分の部屋に戻ろうとした……その時。
ドアから、眠気がさめるほどの轟音が聞こえた。
「え、なに?」
不安がる一同。止まない音………次第に、金属がこちらに出っ張り始める。
「誰かに、外側から殴られてる………?バカな、すごくかたい金属だよ?」
そう呟いたソーユは、ふと、ツキミを思い出した。
(そういえば、素手だけで骨を折られたんだっけ………)
「なぁに、うるせぇよ……」
廊下の奥から、カナタが眠そうに起きてくる。
すると、その瞬間。
ベッコベコに凹んだドアが、アジトの中にぶっ飛んできた。
「!」
一番に動いたのは、ヤマ。精一杯の力をこめて、能力でドアを反対方向に吹っ飛ばす。
「こわすぎ、なに……?」
唖然とするメンバーたち。
そんな中、舞っていた埃が次第におさまり、人影が見え始めて───
そこにいたのは、トオンだった。
続く
ひえええええ!!素手で金属のドアやぶるとか何事、、!?
おはようございますまつりさんです。
ルナ様がイケメソすぎる件について。何あいつ!!!かっこよすぎんだろ!!!
さすがのヒトネも惚れてまうわ。
いやあ、以前は自分で「ヒトネを殺す」とか言ってましたが、あれも彼なりの冗談だったんですね。トオンくん、安心したまえ。
やっと双子回っぽくなってきました。
イヌイ、カナタ、ハルカ、双子、ルナ、ユヅルらへんの過去と現状の絡み合いがすんごいことになってんですよ(日本語)
誰かのあの言動は、誰かの過去に繋がっていたり。過去にこんなことがあったから、誰かに対して、こんな行動をとってたりするんです(?)
ま、まあ完結後に全て解説します。いや多すぎて全部できるかわからんけど。
あと!これ誰も気づいてないんですが。
タヨキミのこれまでの話の中に、1話だけ、あるギミック(?)が施されているんですよ。
言ってしまえば、モールス信号なんですけど。サチ、イヌイサユ回らへんで、文中にモールス信号が隠されております。探してみてね。
タヨキミは以外とそういうの多いので。一文字に注目してみると、この先の展開を予想できちゃう話もかなりあります。たったの一文字。
まあ、ランドセル生が3日で考えたものだということをお忘れなく。
また次の話でお会いしましょ!
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