テラーノベル
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リーシの亡き骸を、広間に置いたままどれほど経っただろうか。
ケイシは一瞬も眠らず、ただ嗚咽をあげ続けていた。
「リーシ、リーシ……」
何度も、何度も名前を呼ぶ声が、広間にこだました。
セイカとユイはこの広間に通してもらえなかったが、セイカは肌で母の死を感じ取っていた。
「母様は、もう……」
殺されたことを、すべてを悟っていた。
「殿!しっかりなさいませ!リーシ様をご覧ください!どんどん腐り始めております、殿!あの美しいお顔をそんなふうにしてもよいのですか!」
側近の声は強く、荒々しく響いた。
ケイシは、ただ小さく頷くだけで答える。
「では、リーシ様を埋葬いたします…」
埋葬は、城内の奥にあるケイシとリーシの私室の庭に行われた。
側近たちは、ケイシがどれほど狂わんばかりにリーシを愛していたか、誰よりも理解していた。
少しでもリーシを傍に感じられるようにと、精一杯の配慮だった。
しかし、ケイシにとってそんなことはどうでもよかった。
心に決めていた。リーシの死を、絶対に受け入れることはできない。
夜が深くなり、城内は静寂に包まれる。
ケイシは庭に佇むリーシの眠る場所を見つめ、幻影のリーシを抱きしめ手を離さなかった。
冷たくなった頬も、静かに閉じられた目も、すべて愛おしかった。
この胸の痛みが、愛の深さを物語っていた。
「リーシ……俺は、絶対にお前がいなければ……」
涙と嗚咽は止まらない。
しかしその痛みの中で、ケイシの心は一つの決意で満たされていた。
その夜、ケイシは初めて、少しだけ冷静さを取り戻した。
愛する者を失った悲しみの底で、今自分が呼吸をしている理由を見出したのだった——。
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