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リーシの埋葬が済み数日経ったある日、ケイシは側近達を集めた
皆、ケイシが少しは前向きになってくれたのかと期待をし集まった
「皆のもの、これまで本当によく俺に仕えてくれた。皆が居てくれたからこそ最強の武将といわれるまでになった、心から礼を言う、ありがとう」
「殿!なにを仰いますか!殿がいてこその我らです!殿のためならこの命いつでも差し出す覚悟はできております!」
一同が同じ言葉で返した、きっときっとここから殿はまた復活するはずだ!と、
ケイシは微笑んだ、リーシにしか見せなかった優しい優しい微笑みだった
側近達はなにかを感じとった
「皆、よく聞け、俺は今から自死する」
微笑みながらそういうケイシ
「は、殿、なにを、仰っているのですか、」
「いいから聞いてくれ、リーシが死に俺は生きる意味がなくなってしまった、どうかリーシの元へ行かせてくれ、頼む、どうか頼む」
「そんな!城はどうなるのですか!セイカ様とユイ様はどうするのですか!」
「セイカとユイの事はお前たちに任す、お前たちの手で一人前にしてやってくれ」
「殿!リーシ様を亡くされた悲しみは我らもよくわかっております!ですが、ですが、あまりにも身勝手にございます!」
側近達の泣きながらの怒号が飛ぶ
「たの..む、いかせてくれ..リーシの元へいきたいんだ..」
最後だけは主らしく涙はみせまいと堪えていたがケイシの目から涙が溢れおちる
肩を震わせ泣いている
(あのケイシ様が..カンジュ最強といわれたケイシ様が..)
側近達は皆顔を見合わせて各々気持ちを確認した
白い着物に着替え微笑みを浮かべその時をケイシを待っていた
「殿..セイカ様とユイ様にはあれから一度もお会いになっていませんが、最後に一度お顔をご覧になってはいかがですか?」
「よい、二人には..セイカには立派な城主になるように、ユイには兄を支えるように..それだけを伝えてくれ」
「わかりました..」
「皆、城と倅達を頼んだぞ」
そう言うとケイシは深く腹を切っていった
見事な最期だった、声を上げる事もなく痛みに顔を歪める事もなく、穏やかな顔のまま息絶えていった
死ぬ前の絶対命令として誰一人として後を追う事は禁じられていた
側近達は静かに泣いた
ケイシという偉大な将軍が死に大輪の花のようであった奥方まで失ったこの城はもう死の城であった
ただ残された幼いセイカと赤子のユイの存在だけが側近達の生きる糧だった
ケイシの亡き骸はケイシの指示でリーシと同じ木箱に埋葬した、リーシの木箱を掘り起こし木箱を開けリーシの亡き骸を目にしなければならなかったが最愛の主に託された故に一同涙でぐしゃぐしゃになりながらやり切った
「殿、リーシ様に会えましたか?一つの木箱にお二人ですからね、狭いでしょう。でもリーシ様とピッタリくっついて殿は幸せでしょうね。殿..」
カンレイに名を轟かせた美男子ケイシとカンレイの宝石リーシは二人手を絡めあい永遠の眠りについた