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君と見た紅葉.

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君と見た紅葉.

1 - 紅葉の時期になると.

♥

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2025年02月13日

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赤×水































紅葉の時期になると.































水「ん、あさ……?」







赤「おはよ、水。ご飯もうすぐで出来るから顔洗ってきな~…?」







水「はぁ~い……」



















赤ちゃんと同棲を始めてから早2年と1ヶ月。









お互い慣れた関係だったからか、









遠慮とかそういう他人混じりな感情はゼロに等しかった。









だがしかし………





















水「ねぇ、赤ちゃんッ…、僕の眼鏡知らない…?」







水「って、洗濯物いつ干したの…?」







赤「ん?さっきだよ?笑」







水「言ってくれれば手伝ったのに……」







赤「水はお姫様だから何もしなくてい~の」







赤「あと眼鏡は俺の鞄の中にあるよ~」







水「あ…うんッ、ありがと…‼︎」





















お姫様、ね…









随分とまぁ僕は可愛らしく見られてること。





















水「あ~…体痛い……」







赤「水、薬飲んだ?」







水「さっき飲んだよ~、心配してくれてありがとね‼︎」







赤「そっか、それなら良かった」





















そんなに安心した顔しなくても、









僕はまだここに居るのに。









赤ちゃんがこ~なったのは、高校2年生の春の日が始まりだった。









元々体調が優れない日が続いた僕は、









軽音部での活動を控え、病院に行った。





















『高校2年生の春』





















「…非常に言い難い事なのですが、持って3年半程でしょう。」







水「…そ~ですかッ…、」




















体調が悪いのを季節の変わり目だから、









という理由で診察をサボった天罰が降ったのだろう。





















水「あのッ…、音楽は続けられますか…?」







「勿論です。限られた命、制限なんて出来ませんよ」







水「ありがとう…、ございますッ……」





















“限られた命”という言葉を聞いた瞬間、









再度、これは治るものじゃ無いんだと認めた。









今度のライブを最後に、部活を引退しよう。









僕が抜けたとしても、沢山の頼もしい仲間がいるのだから。









そう決心していたはずなのに……





















赤「沢山の歓声ありがとうございますッ、」







水「ありがとうございますッ、‼︎」







赤「そして、約2年間ドラム専門で軽音を支えてきてくれた水が、」







赤「今日のライブを最後に、引退します」







赤「水、一言頼める?」







水「僕は今日まで軽音部でいれて、本当に楽しかったです…‼︎」







水「最後に、〇〇を演奏してこのライブを終わりたいと思いますッ…」





















ラストは、僕のお気に入りの約3分半の曲。









3分半演奏し切った後、会場は拍手と歓声で包まれる。









やり切った。









人生でラストかもしれないライブ、最後まで出来て良かった。











僕は頬に涙を伝らせながら、精一杯のお辞儀をして、その場を後にした。





















水「楽しかったぁ~‼︎」





















みんなと抱擁した後、部長である赤ちゃんに声を掛ける。





















水「赤ちゃん、2年間ありがとッ…‼︎」







赤「んッ…、ありがと……」







水「泣き過ぎだよ~…?笑」







赤「だってッッ……」




















普段滅多に泣かない赤ちゃんが、その時は涙を流していた。









それに釣られて、僕も涙を流す。









2人の涙がおさまった時に、赤ちゃんが僕に声を掛けた。





















赤「…やる事終わったら、俺の家来て」







水「へッ……?」







赤「話したい事あるから…」





















赤ちゃんに…、片想い中の相手にそ~言われて胸がどきっとする。









やる事を急ピッチで行い、足早に赤ちゃんの家へと向かった。





















赤「水さ…、俺に隠してる事あるでしょ」







水「へッ……?」





















僕は一瞬頭の中が真っ白になった。









嫌な予感が頭を過ぎる。









僕は部員達にも、親友の赤ちゃんにも、病気の事を打ち明かしてい無い。









バレてしまったのだろうか?









迷惑を掛けてしまっていたのだろうか?









そんな自分を責める言葉だけが頭の中に浮かび、









僕はその場で硬直してしまった。









そんな僕を見兼ねた赤ちゃんが、僕の頭をそっと撫でる。





















赤「大丈夫、俺は水を責めたいんじゃないよ…」







赤「ただ、俺ってそんなに信頼性無かったかな~って」





















赤ちゃんのその言葉を聞いた途端、無意識に涙がこぼれ落ちて来る。









赤ちゃんの信頼性がなかったんじゃ無い。









ただ、僕の”人に頼る”力が変に低下していた。









僕が頑張れば、僕がこ~すれば、なんて









己の弱さを痛感しながらも、その場その場で立場を変えている自分が見られる。









病気だと判明する前からそんな事は多々あった。









その度に、赤ちゃんが同じ立場で慰めてくれていたのを覚えている。









あぁ、僕は熟馬鹿だ。









隣にはいつも、頼り甲斐のある素敵な友が居たというのに。




















水「全部話すねッ……、今まで黙っててごめんっ、……」







赤「うん、ゆっくりでい~からねッ…」





















僕は赤ちゃんに全てを打ち明かした。









何ともないよ、と言っていた病院帰りは、









余命宣告をされて心身共に弱っていた事。









赤ちゃんとドームでライブを行うっていう夢は、









ど~頑張っても叶えられない事。





















赤「気付いてあげれなくてごめんッ……、」







水「いやッ、言ってなかった僕が悪いんだしっ…」







赤「…良かったらさ、高校卒業した後一緒に住まない?」







水「そしたら赤ちゃんに迷惑が……」







赤「最後ぐらい水の隣に居させてよッ…、笑」





















いつも通りの笑顔で、少し涙を浮かべながら、真剣そうな顔で問いかけてくる赤ちゃん。









僕、勘違いしちゃうよ?





















水「じゃあ、一緒に住むっ…‼︎」







赤「ッッ…‼︎」





















後3年半しか生きられないんだし、少しくらい甘えてもい~よね。
















という事があって、今に至る。









勿論、赤ちゃんを好いている気持ちはそっと保存してる。









これからも伝える気はないし、特別そんな関係を望んでいるわけでもない。





















赤「…水、顔色悪いよ…?今日は寝ときな…?」







水「ん~…今日は赤ちゃんと外行くって決めてるから拒否します…」







赤「俺のお姫様は我儘だね~?笑」







水「俺のって…笑」







水「まぁ、我儘な所も可愛いでしょ?」







赤「うん、可愛いよ」





















余命宣告を受けた日から約3年。









僕に残された時間は、半年あるかないかぐらい。









病気は順調に進んでしまっているらしく、









最近は赤ちゃんと手を繋がないと歩けなくなってしまった。





















水「ある意味幸せかなぁ……」







赤「あ、見てよ水。紅葉が綺麗に色付いてる‼︎」







水「本当だ~‼︎綺麗っ…‼︎✨」







赤「…また来年も見たいね、」







水「その時は赤ちゃんの好きな人と見てねッ、お空の上から応援してるッ!笑」





















その時は本当に驚いた。









僕なりの冗談を言ったつもりだったのに、









まさか赤ちゃんが、その場で涙を流すなんて思ってもいなかったから。





















水「えッ…、冗談だよッ、!?」







赤「ごめんッ…泣くつもりなかったんだけど、やっぱ寂しくてさ…」







水「まだ僕はここに居るよ~」







水「ほら、お墓は銀杏の木の近い所にしてよッ、僕も見たいし…‼︎笑」







赤「うんッ、任せて…」





















3年。









普通の人からすれば遅く感じる年月が、









僕にとっては凄く早いものに感じた。









月日が経つにつれて、赤ちゃんへの想いは募る一方。









だけど伝えるわけにもいかない。









だってもう僕は死ぬ人で、赤ちゃんは未来が待ってる人だから。





















水「ね、赤ちゃん…、最後のお願いしてもい~い…?」







赤「勿論ッ…、言ってみな…?」







水「紅葉が今みたいに色付いた時、僕に話しかけてねッ、‼︎」







赤「うんッ、了解…、笑」





















その3週間後、3年半にも満たない年月で、僕はこの世を去った。




























赤side








水には部活で知り合った時から、一目惚れみたいな恋をした。









これまで男同士の恋愛を見てこなかった事もあり、









その時改めて、男同士での恋愛もザラではないなと思った瞬間だった。









だから、余命宣告の話を聞いた時、









まるで全ての神経を切られたかのように痛んだ。









本当に大好きで、でも気持ちを伝える勇気なんかなくて。









そんな勇気がない俺を、水は最後まで隣に居させてくれた。









せめてもの償いで、お墓はちゃんと銀杏の木の近くにしたよ。









水はこの銀杏、見えてるのかな。




















赤「水…、今年も銀杏が綺麗だよ…」





















ちゃんと望み通りにしたよ、水。





















赤「…ねぇ、水。俺さ、水の事ずっと好きだったんだよ、勿論今も。」







赤「水はど~だったのかな…、」





















同じ気持ちなら嬉しいな。









どれだけ笑顔を作ろうとしても、目からは大粒の涙が溢れてくる。









水に気持ちを伝えれなかった後悔。









あの時言えば良かったな、なんて今更思う。





















水『ね~ね‼︎赤ちゃんはさ、好きな人いる?」







赤『ん~…一応、いる…』







水『えッ、誰!?✨』







赤『言うわけないじゃん…笑』







赤『そ~いう水は?』







水『僕もいるけどッ…‼︎』







赤『ッ…誰~、?笑』







水『恥ずかしぃ…から、言わないっ、‼︎』







赤(かわいい、…)





















“可愛い”とか”好き”だとか、あの時は恥ずかしくて言えなくて…、









今更告白するのは、少しずるいかな。






















赤「…ねぇ、水。大好きだよ…、?」







赤「また声聞かせてよッ、…」





















また”赤ちゃん”って、隣のクラスまで聞こえる声で呼んでよ。









せめて、俺の事は忘れないで欲しい。









だって俺は絶対水の事、忘れられないから。









ずっと水に想いを寄せて離れられないけれど、これくらいは許してよね。水。









だって、毎年この銀杏を見る度、









水の事を思い出しては、まだ水の事大好きだよ…なんて、









水の前で涙を落とすのだから。






















































end_.

























感動系書くの難しいです…🥹


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