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食事を済ませ、俺はひとり温泉へ。
いや、既に先客がいた。
あの夜でも輝く銀髪と猫耳は、ハヴァマールで相違ない。俺は早々に踵を返した。
「そんな殺生な、兄上!」
「兄妹と言っても、まだ会って一日だぞ。美少女すぎるお前と裸の付き合いなんてしたら、俺が鼻から血を大量に噴きだし、即死する」
「そうか、兄上は女体耐性が無さそうだな」
だからって足を出すんじゃありません。はしたない。……と、言いたいところだが、あまりの白い肌に俺は目を奪われそうになっていた。
……イカン。
考え方を変えよう。
「混浴という概念を捨てる。つまり、ハヴァマールの使っている温泉は女湯。俺が今から作る温泉が男湯となるわけだ。仕切りも緊急で作ってやる」
「――なッ!」
拠点の周辺は木々もないし、今なら楽勝で温泉を設置できる。だって、土を20個ですから!!
土47個 → 土27個
「ふはははははっ!!」
「兄上のバカ~~~~~~!!」
――そんなわけで、立派な温泉が完成してしまった。これは昔、書物で呼んだ『異国』にあるという『露天風呂』だな。素晴らしい出来だ。仕切りのついでに、屋根も追加した。この程度の島開発なら、割と何とかなるらしい。
「どうだ、ハヴァマール! 俺のスキルは万能だな!」
「島開発スキルは、最低限のDIYは可能だ。そのイメージが強ければ強いほど、完成度は高くなる。だから、これには驚いたよ、兄上」
でぃー・あい・わい? どこの言語だ? 初耳だな。もしかして『異国』の言葉だろうか。
「俺は昔から読書好きでね。城ではアホほど本を読んだ。だから知識はある」
「ほ~、道理でな。この露天風呂には驚かされた」
「兄を褒め称えよ、ハヴァマール」
「うんうん、兄上は凄い。生きてて偉い!」
「なんだその誉め方」
ちょっと馬鹿にされているような気もするけど、まあいいや。今は完成したばかりの温泉に浸かろうではないか。
[温泉][Lv.2]
[開発]
[効果]
屋内・屋外問わず設置可能。
疲労やケガを回復する。
レベルが高いほど回復力アップ。
最大レベルは『10』まで。
これで無人島の『Lv.6』になった。そうか、こんな簡単に島のレベルをアップできるわけか。明日にはワークテーブルの条件である『Lv.10』には到達できそうだな。
楽天的に捉えていると、ハヴァマールが悲鳴を上げた。
「きゃああっ、兄上!」
「ど、どうした!」
って、仕切りのせいで向こうの状況が分からん。出入口から経由していくしかない。俺は腰にタオルを巻き、走った。
女湯へ向かうと、そこには……!
『ギヒヒヒヒヒ……』
緑の悪魔・ゴブリンがいた。
ハヴァマールを襲おうとしていた。
マジかよ、いつの間にか侵入してやがったか……ハヴァマールを守るッ!!