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上野文
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#悲しい
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kirisu
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畝澄ヒナ
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恵の心配は杞憂に終わるだろう。
そう思いつつも、心のどこかで小鳥遊さんを警戒していたけれど、すれ違った時に感じよく微笑んで挨拶してくれるし、立ち話をしても嫌な事を言われない。
鏑木さんたちは、これ以上私に関わるつもりはないみたいだし、仕事の妨害もないと思っている。
けど、私を鬱陶しそうに見てくるので、快くは思っていないんだろう。
それに引き換え小鳥遊さんは、用事があって秘書課に行った時、すぐ席を立って私に対応してくれる。
多分、他の人から嫌な事を言われる前に、すぐ終わらせる事によって、守ってくれているんだと思う。
だから、警戒していた気持ちはどんどん薄れ、「いい人だなぁ」としみじみ思うようになっていった。
気がつけば、ランチも私と恵、小鳥遊さんの三人で食べるのがデフォになっていた。
恵は彼女をあまり快く思っていないみたいなので、大丈夫かな? と心配だったけれど、表向きは話を合わせてくれている。
塩対応もしないし、普通に接してくれているので、もしかしたら恵も小鳥遊さんへの評価を改めたのかな? と感じていた。
「上村さん、今日のリップの色可愛いですね。どこのですか?」
小鳥遊さんにそう尋ねられたのは、お手洗いでだった。
最近はランチを終えて恵と別れたあと、少し小鳥遊さんと話すのがルーティンになっていた。
メイク直しをしていた時にリップの色を聞かれた私は、リップケースのお尻を見る。
「あー、カネボウの……。ルージュスターヴァイブラント……、の、V17……みたいです」
「発色良くてツヤもいいし、素敵ですね。まねっこしてもいいですか?」
「あ、はい。どうぞどうぞ」
コスメ好きとしては、自分がきっかけで誰かに広まっていくのは嬉しいものだ。
「ありがとうございます! ちなみにベースメイクとかはどうしてます?」
「BAさんに『ベースをクレドで揃えたら崩れません』って言われて、信じてます」
「それは心強い太鼓判ですね。アイシャドウは?」
「発色がいいのが好きなので、ディオールとかYSLとかをよく使います。あとはスックとかも」
「ハイライターって迷いません?」
「分かります! 私、その日の気分で色んなの使ってるかな。リキッド系のハイライターは、ちょっとファンデに混ぜたりします」
「なるほど! あ~、ピアス可愛い。……ん? これってショーメじゃないですか? さり気ないから気づかなかった!」
あまりオフィスにギラギラしたハイブランドはつけられないけれど、尊さんがこないだ『ん』って某アニメの少年みたいにくれた。
もらったのはショーメのハニカム柄が印象的なビー・ドゥ・ショーメだ。
尊さんいわく『一見普通のフープピアスに見えるから、オフィスでもつけられるだろ』らしい。
「もしかして〝彼〟からの贈り物ですか?」
「んー……、まぁ、あの……、はい……。自分では買えないので……」
「いーなぁ。素敵! 愛されてますね~。私も彼におねだりしちゃおっかな」
金銭が絡む事に対してうかつな事は言えないので、私はとりあえずニコニコしておく。
「……あ、そうだ。上村さん、お近づきの印にこれプレゼントしちゃいます。お嫌いじゃなかったら」
そう言って、小鳥遊さんがランチバッグ(今日はお弁当だった)から出したのは、フラペチーノで有名な某コーヒーショップのチャームだった。
抹茶のフラペチーノがぬいぐるみになったチャームで、お馴染みのロゴもついていて非常に可愛い。
「えー!? いいんですか? めっちゃ可愛い!」
「ちょっと前にガチャが始まって、その商品で恐縮なんですが、可愛いなって思って。上村さん、フラペチーノ好きそうですし」
「あはは、大好きです! ありがとうございます! 大切にしますね」
チャームを受け取った私は、何かお礼をしないとな、と思いながら、お手洗いを出て小鳥遊さんと別れた。
**
「ふぅん」
小鳥遊さんからもらったチャームの話をすると、尊さんの反応はそれだけだった。
コメント
1件
うわあ第944話…! 小鳥遊さん、めっちゃいい人にしか見えないんだけど、逆にその“できすぎ感”がちょっと不気味でもあるよね…笑 主人公の警戒が薄れてく過程、すごく丁寧に描かれてて感情移入しちゃった😌 でも恵ちゃんの塩対応と尊さんの「ふぅん」が気になりすぎるんだが…?? まさかの展開くるやつ…!? 次話が待ち遠しすぎる〜🌸