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「あ、めめ。お疲れ」
指定された雰囲気のいい飲み屋に到着して、案内された個室に入れば、先に着いていた阿部ちゃんが顔を上げる
「お疲れ様。お待たせ」
「そんな待ってないよ。ちょうど何か頼もうかと思ってたところ」
「そっか、とりあえず俺はビールにしようかな」
「了解。つまみも何個か頼んじゃおう」
「うん」
「じゃ」
「「お疲れ様です」」
飲み物が運ばれてきてカチンとグラスを合わせて乾杯する
「予定が合って良かった」
「ほんとにね。今日、康二は?」
「なんか家いるって言ってたんだけど、翔太といるみたいよ?」
「え?そうなの?」
携帯を確認すれば確かに翔太くんから連絡が入っていた
【今日は康二の家に泊まるから!】
ご丁寧に怒った顔の絵文字まで付いている
阿部ちゃんとの予定を合わせたら今日の夜がちょうど良かったんだけど、たまたま翔太くんと康二の2人も夕方からオフが被ったのだ
そんな2人を放ってまでやる程の会なのか、と翔太くんは今朝からちょっと機嫌が悪かった
とはいえ、翔太くんのオフが分かったのは数日前で、阿部ちゃんとの約束はそれより前に決まっていた
「あちゃ、ついにご立腹だ笑」
「俺も今日は、『盛り上がるようなら帰ってこぉへんくてもええよ』って冷たく言われたよ」
「康二の家に泊まるって言ってる笑」
「えぇ〜笑 俺は康二のところへ帰るつもりなんだけど笑」
「まぁ当然迎えにいくけどね笑」
「翔太、帰るかな」
「帰るよ、絶対」
帰らせるという意思を持って言えば、阿部ちゃんにじっと目を見られてニヤリと笑われる
「お願いしますよ。ま、一応康二には連絡しておく」
「ちょっと宥める時間はいるかもだけど」
「膝の上乗せて抱きしめて?」
「そう」
「頭撫でてキスして?」
「尖ってた唇がちょっとずつ引っ込んでいく」
「口がむにむにしてるのがねぇ、愛おしいよねぇ」
「寂しい思いをさせたことは反省してるけど、拗ねるのは甘えてるからだと思うと可愛くって仕方ないよね」
「宥めるのも全然嫌じゃないよね……構って欲しいのが目に見えて分かるし」
同じような情景を思い浮かべているのだろう
「康二もそうなんだ笑」
「たぶん翔太ほど意地っ張りではないから、宥める時間もそんなに長くはかからないけどね。たまにだけど拗ねる時は拗ねるよ」
「唇突き出してる顔は普段もよく見るけど」
「んー、あんなに可愛こぶってないね。普通にローテンションで拗ねるし、だんまりタイプ」
「そうなんだ」
「みんなが思ってるほど構ってちゃんではないし、自分の趣味も交友関係も楽しんでいるから滅多にないんだけどね〜。俺の勉強時間も大事にしてくれてるし。でもその分気づくのがいつも大体遅くなっちゃうんだよね…」
「あぁ、それはちょっと大変だね」
「だから気づいた時には大分拗ねてる…。でも、こっちがたくさん謝って、ちょっとずつ機嫌が治ってくると、ぽつぽつ文句を零し始めて」
「うん」
「ちゃんと聞いてあげて、好きって言ったり抱きしめたりして宥めると、最後にはしょうがないなぁって顔して笑ってくれる」
「へぇ、なんか意外」
「そうでしょ」
阿部ちゃんが得意気な顔をする
「自分しか知らない顔っていいよね」
「怒らせちゃったなぁってちゃんと反省はしてるんだけどさ。俺に甘えてるからこんな顔するんだなって思うとね、愛おしさが込み上げるよね」
「ふふふ、信頼されてるね」
「……それにしても珍しくない?先約破ってまで自分と過ごせなんて言うようなタイプじゃないでしょ?翔太は」
「そうなんだよね。だから昨日まではいつも通り何も言ってこなかったんだけどね」
「ふぅん、心当たりは?」
「最近ちょっと2人の時間が少なめではあったかな……寂しいのが溢れちゃったのかも」
「寂しさが溢れる?」
「我慢する人だから。たまーにね、どうしようもなく寂しくなるみたいでさ」
「へぇ?」
「そういう時はちょっと泣きそうな顔で甘えてくるんだよね」
「ツンデレじゃなくて?」
「それが平常装備ではあるんだけど」
「うん」
「切なくなるような声で名前を呼ぶの」
「うわぁ」
「毎回反省の嵐です」
「でも堪らないんだ?」
「愛おしさで胸が張り裂けそうになる。あぁもっと大事にしたいって思うから、そういう時は意地悪は一切なしで、とことん甘やかす」
「溺愛だね」
「いやぁ、溺れてるね。あんなに可愛い人いないよ」
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