テラーノベル
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花火大会の日から、数日が経った――。
あんなことがあったのに、
俺は、自分から何か行動を起こすことができずにいた。
ラウールにも、阿部さんにも。
ちゃんと答えを出さなきゃいけない。
そう思っているのに、
二人の顔を見るたびに、胸がざわついてしまう。
それでも――
二人は何も変わらなかった。
今までと変わらず、
何かと俺のことを気にかけてくれる。
そんな中、ここ最近――
二人が真剣な話をするために、
別室へ向かうことが増えていた。
💙(……何の話してるんだろ)
少しずつ、
俺は気になり始めていた――。
──────────────
お昼休み。
💚「りんご! お昼行こ!」
💙「あ、うん!」
最近の阿部さんは、
何かと俺と一緒にいたがる。
いつもと変わらないように見えるけど――
どこか、元気がない。
💙「……阿部さん」
💚「んー? 何?」
💙「最近、どうしたんですか?」
💚「え?」
💙「いや……」
💙「なんか、元気ないように見えて」
💚「……」
一瞬、阿部さんの表情が止まる。
そして、ふっと笑った。
💚「りんごは、よく見てるね」
💚「……そういうところ、やっぱ好きだよ」
💙「……っ」
胸が跳ねる。
何も言えなくなった俺を見て、
阿部さんは少し困ったように笑った。
💚「夏祭りの日から、りんごを困らせてる気がしてさ」
💚「ちょっと申し訳ないなって!」
いつものように、
明るく笑ってみせる。
だけど――
💙「……阿部さん」
💙「理由、他にもありますよね?」
💚「………」
阿部さんは黙り込んだ。
そして、小さく息を吐く。
💚「……実は今」
💚「同じグループの○○会社から、スカウトが来ててさ」
💙「……え?」
💚「まぁ、簡単に言えば……転勤かな」
💙「そんな……」
💙「俺、阿部さんがいなきゃ……」
💚「何言ってんの!」
💚「りんごはもう、俺がいなくても立派に働けてるじゃん」
💙「………」
💚「でもさ……」
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まきぴよ
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少しだけ視線を落とす。
💚「本音を言うなら……」
💚「ここを離れるのは、やっぱり寂しいなって」
💙「………」
💚「りんごとも……離れたくない」
その言葉を口にした阿部さんの顔は、
今まで見たことがないくらい、
切なかった。
💙「……」
💚「恋をすると、ほんと厄介だよねぇ」
少しだけ笑う。
でも、その目は笑っていなかった。
💚「ねぇ……りんご」
💚「泣かないでよ」
💙「……」
気づけば、
俺の目から涙がこぼれていた。
💚「俺まで泣きたくなるじゃん」
そう言って、
阿部さんは指先で俺の涙をそっと拭った。
💚「俺も……いろいろ覚悟はできてるからさ」
💙「……」
💙「俺にできることがあったら、言ってください」
💚「じゃあ――」
少しだけ悪戯っぽく笑って、
💚「俺と付き合ってくれる?」
💙「……っ」
💙「……阿部さん…俺っ…」
💚「……なんてね」
💚「冗談ですぅ」
いつもの阿部さんみたいに笑う。
💙「俺……」
💙「“後輩として”全力で阿部さんを支えますから!」
💚「………」
一瞬、阿部さんの目が切なく揺れた気がした。
それでも───────
💚「……ありがとう」
優しく、優しく。
俺の頭を撫でてくれた――。
──────────────
ラウールSide
阿部の転勤が、正式に決まった――。
今まで以上に、翔太と阿部は仕事でも協力し合い、
仕事終わりに二人で飲みに行くことも増えているようだった。
少し前に、俺は見てしまった。
阿部が、翔太の頭を優しく撫でている姿を――。
🤍(……あの二人、付き合ったのだろうか)
怖くて、聞けなかった。
もしそうだったら――
俺は、どうすればいい?
そんなことを考えているうちに、
仕事はどんどん立て込んでいった。
なかなか二人の間に踏み込むこともできないまま、時間だけが過ぎていく――。
────────────
夜───────
🤍「……はぁ」
仕事が一段落したところで、
体力の限界を感じ、少しだけ仮眠を取ることにした。
机に突っ伏し、目を閉じる。
そして――
💙「……ラウール!」
🤍「……ん?」
誰かに呼ばれ、ゆっくりと目を開ける。
そこには、翔太がいた。
💙「死んでるかと思った」
💙「ごめん。心配で……起こしちゃった」
🤍「翔太も遅くまでお疲れ様」
🤍「もう遅いから、早く帰って寝な?」
💙「それはラウールもでしょ」
そう言って、翔太が温かい飲み物を差し出してくる。
🤍「……部下に気を遣わせるなんて」
🤍「申し訳ないな」
💙「今さら何言ってんの?」
💙「なんか……距離感じるんだけど」
🤍「……あー、そうか?」
💙「うん」
心配そうに、俺の顔を覗き込む。
その距離に、胸がざわついた。
💙「でも、仕事の邪魔したくないし……」
💙「俺、帰るわ」
そう言って、立ち上がろうとする翔太。
その瞬間――
🤍「……待て」
思わず、翔太の手を握っていた。
💙「……っ」
🤍「……ごめん、もう少しだけ…」
自分でも驚くほど、切ない声が出た。
薄暗い部屋の中。
翔太の表情は、よく見えない。
けれど――
頬が少し赤くなっているような気がした。
💙「……手伝うよ」
🤍「いや、それは悪い」
💙「いいから」
🤍「……ごめん」
翔太はそのまま、俺の隣に座った。
二人で並んで、黙々と仕事を進めていく。
会話はほとんどない。
それでも――
今は、この時間が心地よかった。
このまま、時間が止まればいいのに。
そんなことを思ってしまう自分がいた――。
つづく。
コメント
7件
💚の言葉にギュッとなって涙が止まりません😭😭
😭😭😭
切ないッ...>_<。 転勤先問い詰めたろかな(迷惑) 行かないであべちゃぁぁぁん😭 さっき弟と死ぬほど笑ってMIさんの作品読んだら一気に感動しました(T ^ T) 笑い泣きから感動泣きしそうです(´;ω;`)