ー注意ー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 先に進む前にお読みください ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こちら日常組の脱獄シリーズの二次創作です
話を簡潔に進めるための創作がございます。
ご本人様方とは全く関係ないです
荒らしやアンチはご遠慮ください
BL注意!
それでもいいよ!
という優しい方はそのままお進み下さい
視界が傾く。目の前に映る囚人たちは信じられないと言いそうな顔をしている。特に近くにいた美しい黄金は可哀想な程、顔を青ざめさせている。あぁ、そんな顔をしないでくれ、付け上がってしまう。既に伸ばしきった腕は届かない。潤む宝石が場違いにも美しい。完全に横になった視界で目の前の光景を写す。膝から崩れるように座り込んだ金色を支えようにも腕が、近寄ろうにも足が言うことを聞かない。なんて力不足なんだ、なんて惨めなんだ。全身が氷のように冷たい。何かが頬を伝う感覚とともに視界は暗転した。
目が覚めると目の前にはいつもの私室が広がった。頬を伝っていた一粒の水滴を拭いながら、現在の時刻を見る。いつも通りすぎる起床時刻に軽く嫌気がさす。だが、ゆっくりしてはいられない。いつもより重い体を無理やり起こす。ベットメイキングをし、制服に着替えると気持ちを切り替える。どんなに気分が沈もうが時は進む、囚人達の管理は勿論、書類仕事だってある、一分一秒も無駄にできない。書類整理をさっさと終わらせ、囚人達の朝食の準備をする。あぁそういえば8番が肉を食べたがっていたな、とぼんやりと考えながら、食料庫を見る。牛肉とリンゴ、パンを取り出し牛肉を焼き始める。その片手間にパンを食べ終えると同時にステーキが完成する。それらを回収し牢屋へ向かうと丁度いつもの時間だ。
「おはよう」
いつもの元気な声が聞こえるが、その声がひとつ足りない。時々あるおふざけかと思ったが、いつもより待ってやっても返事は無い。さすがにおかしく思い、牢屋に入ると返事のなかった囚人、8番は普通にいた、囚人牢にあるなけなしの毛布を頭から被り地べたに座っている様子は中々に奇妙だ。声を掛けているのに一向にこちらに気づかない様子に気分が悪くなる。正面に行くと、いつも美しい瞳は虚ろで、何かに怯えているように見えた。肩を揺らしてもこちらに気づかない8番への怒りは失せ、焦りが生じる。震える手を8番の顔へ持っていく
「リアム…かん…しゅ」
伸ばしかけた手が止まる。今、自分は何をしようとしたのか、やろうとしたことを誤魔化すようにそのまま8番にデコピンを喰らわせる。
「いてっ」
意識を取り戻した8番の顔を見た途端安心感と思った以上の間抜けズラで吹き出す。それにいじける8番にまた、笑いが込み上げてくる。目線を合わせると、先程の虚ろな目は無くなっているが、ジッとこちらを見ている。普段はきちんと見れない目は若干潤み揺らいでいる。見入ってしまいそうになる意識を紛らわすように
「どうした8番、ボーっとして。 体調でも悪いのか」
と、問いかけると、8番は動揺したのかその瞳をそらす。
「あ、いや、大丈夫っすよ」
それでもいつも通りに返事をする8番に不安を感じる。何がお前をそんなにさせたのか、不快感で顔が歪む。そんな俺の心情を察したかのように6番と9番が答える。どうやらベットから落ちたようだ、なんだ、そんなことかと安堵のため息をつく。しかし、当たり所が悪かったら怪我をするような環境だ。念の為、医務室に連れていく。8番に声をかけるが少し遅れる反応にモヤモヤとしてしまうが。
「そんなに急がなくても置いていかない」
少し駆け足気味な8番を落ち着かせるようにいつもより少しゆったりと歩く。徐々に重なる足音に先程の感情は忘れ愛しさを感じる。
医務室に着くと直ぐに8番を座らせ診断を始める。いつもは見ることもない橙の衣の下は健康的ながらも色白く、年齢相応の平均的な筋肉が付いている。しかし、その白皙にはうっすらと青くなっている部分があり痛々しかった。
「特に目立った外傷はないな、だが痣ができてるから少し冷やしておけ。」
冷凍庫から氷嚢を取り出し8番へ手渡す。ちべたっと言いながら患部へ当てているのを見て、息をふっと吐き出す。しかし、それきり8番は喋ることは無い。いつもならウザったいほどに五月蝿いくせに静かすぎて調子が狂う。
「おい、いつもより元気がないがどうした」
隣に座り目線まで合わせて、まるで8番を心配しているような言動と、こちらを見る8番に居心地が悪くなり帽子を深く被る。
「リアム看守は、死にませんよね?」
何を言っているんだ、という言葉は8番を見て止まる。まるで世界に絶望したような顔と言っていいほどの表情で、つい直感的に答える
「…私だって人間だ、いつかは死ぬだろうな。それに職業柄、一般人よりは危険が及ぶ」
だが、何故か答えはスルスルと出てくる。それが正解だと言われていたかのように。
「だがな、8番。」
先程までの絶望的な顔が一変し、惚けているような顔に、目を背けることもできない。
「お前を処刑するまで俺は死ねない。勿論、処刑した後もな」
そういった後の8番の顔は眩しいほど輝いていた。
ホワイトアウトした視界が少しずつ晴れていく。
夢を見ていたのはいつぶりだろうか、いや、これは走馬灯か?なんて思考を巡らせる。温もりで包まれた手をぼんやりと見る。震える手は縋るように俺の手に絡みつく。その手から腕へ、肩へ、となぞるように目線を上げていく。やっと映し出された顔は歪みきり、目をこれでもかという程に輝かせている、そこからこぼれる雫は水たまりができるのではないかという程落ちている。意識は冷静なくせに思考を纏めれない使えない頭でも、煌めく金色が美しい事はよくわかった。少しずつきつくなる手に返事をする様に力を込める。それに気づいた瞳は零れそうなほど見開かれる。そんな様子に少し笑ってしまう。
あぁ、暖かい手とは対照的に冷えていく体が恨めしい。遠くなる心地いい音に聞き入ったまま、ゆっくりと幕は閉じきった。
あとがき
閲覧頂きありがとうございました。
今回は前作の続き、というかリアム看守視点です。8番さんの無自覚な行動やどんな心情で看守が動いていたかが書けてすごく楽しかったです。無自覚両片思いっていいよね。本当は瞳の描写に宝石の名前を入れたかったんですけどピッタリの宝石の 石言葉がもう、友情すぎて辞めました。まぁ、展開は本編と同じ通りリアム看守は死亡という事で、ハピエン好きな人ごめんね!!!!書けないことはないんですけど今作以上に時間がかかる事が明白で辞めましたね。次回は他のネタ書きますけど、欲しかったら書きます。いつか
最後に前作へのいいね、ありがとうございます。もしよろしければ今作もいいね押していってください。
ありがとうございました。
コメント
2件
1000いいねありがとうございます!指は労わろう!
ごごっごご500いいね…ありがとうございます(困惑)