「ねぇレトさん」
「ん?」
こたつでみかんを剥いていたとき。
「あのさ、冬のキスは雪のような口溶けってあるじゃないですか」
「ありますねぇ」
「あれってガチなのか試したい」
試す?俺で?
脳が溶けてるんとちゃいますか?
「嫌です」
嫌…というより、冬じゃなくたってさ…
キヨくんとのキスは…
ああああこれ以上は恥ずかしくて言えない!!
「なんでよ」
「だって…恥ずかしい」
「今更!?何回もしてるよね!?」
「いやっ…してるけど!」
そんなことを改めて言われると恥ずかしいに決まってる。俺は剥き終わったみかんを急いで口に入れた。
「うわっずりぃ…」
「〇#✕%&?」
「いやなに言ってるかわかんねーよ…」
これでキスなんてできないだろ!
ざまぁみろ!
「しょうがねぇな…」
俺が得意げにしていると、頬に感じる程よい温かさ。キヨくんの手だった。
「ぁに…」
「食べ終わった?」
「……」
たまにしか見せない、ものすごく優しい顔をしていた。
あ…これだめなやつだ…
その瞳に吸い寄せられるように、俺は閉じていた口を少しずつ開ける。
「かわいい顔…いただきます♥」
顔がゆっくりと近づいて、赤くチラついた舌が俺の唇をこじ開ける。
「ん…ふっ…」
弾力のある舌が俺の舌を絡めて離さない。こんなに熱いの…雪なんて解けちゃうじゃん…
「ふぁっ…きよく…」
「きもちい?」
「ん…」
コクコクと首を動かすと、満足そうに顔が離れていく。
「あ…」
「なに、その顔。もっとする?」
「や…いいです…」
ほんと…なんでこいつこんなに上手いの?
「あ、そういえば、チョコ買ってあるけど食べる?」
「…食べる。何買ったん?」
「メル●ィーキッス」
「うわ…」
狙ってんのかよ。
「これ食べてもう一回しようか」
「やらねーよ!!」
Fin.
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