「うっしー、手冷たいねぇ」
「心が温かいのよ」
とある日。ガッチさん宅で飲み会をしようと四人で集まった。足りなくなった酒を追加で買いに行こうとコンビニに向かったときのこと。
「そういうガッチさんは手温かいじゃん。心が冷たいんじゃない?」
「ソンナコトナイヨ」
「いっつも俺らのこと見捨ててんじゃん」
「えー?」
俺たちはいわゆるそういう関係だけど、これは二人だけの秘密。まだ誰にも言っていない。ガッチさんは隠す気はあまりないらしく、外でもこういう風にスキンシップをしてくる。かく言う俺は恥ずかしくてそんなことは自分からはできないでいた。
「本当にそう思う?」
「なにが」
「俺、お前らに優しくしてるよぉ?」
繋いでいる手を俺に見せつけながら、もう片方の手を頬に添える。
「特にうっしーには、ね」
大きな手が冷たくなった俺の頰をじんわりと温めてくれる。ちらっと見えるその舌にゾクゾクしながら、本人の顔を見つめて
「…嘘だ」
というと、腕をグイッと引っ張られる。
「証明しようか?」
俺もそこそこいい歳なんだけど、それよりも大人のこの人の余裕にムカついた。
俺の腕を引っ張って狭い路地に押し込むと、さっきも見えた舌が俺の口を無理やりこじ開ける。触れ合う舌が気持ちよくて、腰のあたりがゾクゾクした。
(熱…っ)
体感が寒いだけに口の中はとてつもなく熱くて、その寒さすら忘れそうになる。
「っは…はぁ… 」
「ね?優しいでしょ?」
違ったわ。余裕なんて全然ないじゃん。しかも優しくもなんともねぇし。
まだ肩で息をしている俺の腕を引いて、再びコンビニに向かう。
「さーおさけかいましょー!」
「…ムカつく」
Fin.