◻︎時間の使い方
ぽちぽちと、スマホで文章を書いていく。
今日は朝から衣替えと、部屋の模様替えもやって少々お疲れ気味。
だけど、次に雪平さんと会う時までには少し書いておきたいと思った。
秘密基地に来れたのは14時をまわっていて、買い物もしないといけないからそんなに時間がない。
礼子は、デイサービスを必要とする人へパンフレットを持って説明に行って、そのまま帰宅する予定らしい。
「あっ!郵便局にも行かなきゃ」
せっかく一人で集中できると思ったのに、時間が足りない。
ぴこん🎶
《今日は、講演会の準備で市立図書館で調べ物をしてます。美和子さんは有意義に過ごせてますか?》
_____やった!雪平さんだ
図書館で調べ物かぁ。
忙しそうだなぁ。
あ、そうだ!
〈雪平さんは、いろんなお仕事をされてますけど、どうやって時間のやりくりをしてるんですか?〉
《時間ですか?そうですね…まず優先順位をつけます。そしてどうしても今日やらなければいけないことだけをやります。そして、明日できることは明日やります》
〈先にやったりしないんですか?〉
《明日でいいことは、明日やればいいんですよ。そうしないとキリがないですから。明後日でいいなら明後日にします》
〈なるほど。無理してまで明日のことを今日やらなくてもいいんですね。今日できることは今日やってしまうのかと思ってました〉
《若い頃はそれでもよかったし、それが当たり前でした。でもこの年になってからは、無駄にあくせくすることはやめました。そうしないと、今日の自分の時間がなくなってしまいますから》
〈今日取れなかった自分の時間が、明日取れるとは限らないですもんね。よし、私もそうしよう!〉
郵便局と、買い物は明日にまわして、今日の残りの時間は自分の時間にすることにした。
スーツの似合う、声に色気のある男と、毎日の生活に疲れた女がふとしたことで出会って、恋に落ちる…なんてベタなストーリーが浮かんだ。
_____男の外見は雪平さんをモデルにして、女は…
あぁでもないこうでもないと、貧弱なボキャブラリーから、なんとか文章を綴っていく。
そうやって、暗くなるまでしっかり自分の時間を過ごした。
たったそれだけのことなのに、今日はとても充実している気がした。
_____明日でいいことは明日やる
私もそれくらいの気構えでいこうと決めた。